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『朝日新聞』教育欄「いま子どもたちは 男装/女装」(第3回) [現代の性(いま子どもたちは 男装/女装)]

7月26日(金)
『朝日新聞』朝刊の教育欄「いま子どもたちは 男装/女装」の第3回。

この記事のポイントは「男装するうえで大事なのは、女子からの視線」「男装は、どこまでも『女の子のための世界』」ということ。
つまり、「男装女子」の世界は、男の子は関係ない世界であり、男性の視線や評価は排除される。

では「女装男子」の世界はというと・・・?
先のポイントを当てはめると、「女装するうえで大事なのは、男子からの視線」「女装は、どこまでも『男の子のための世界』」となるはずだが、それは20世紀、せいぜい00年代前半までの形態であり、現状は違う。
むしろ、「女装するうえで大事なのは、女子からの視線」「女装は、どこまでも『女の子のための世界』」が現状に近い。
つまり、「女装男子」の世界も、男性は関係ない世界であり、男性の視線や評価よりも、女性(同世代の女子)の視線や評価が重視される。
こうした女装をめぐる関係性の変化は、「変容する女装文化-異性装と自己表現-」(成実弘至編著『コスプレする社会 -サブカルチャーの身体文化-』せりか書房 2009年6月)や、「(講演録)『男の娘(おとこのこ)』なるもの―その今と昔・性別認識を考える―」(駒沢女子大学・日本文化研究所『日本文化研究』10号 2013年3月)で詳しく述べた。

早い話、「女装男子」の世界も「男装女子」の世界も、男性の居場所はないということ。
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(いま子どもたちは)男装/女装:3 
ツボわかる女子にほめられたい

「弟系かわいい男子」の男装をした瀬谷優莉香さん。髪には男装用のウィッグをつけている=水戸市
No.561
茨城県日立市に住む中学3年の瀬谷優莉香(ゆりか)さん(14)が男装を始めたのは1年半ほど前。学校から帰ると、その日の気分で男になったり、女になったり。
男になるのは、だいたい週3日。男を選んだ日は、「違う自分になりたい」と思っているときが多い気がする。
女は服とかしぐさとか態度とか、気をつけなければいけないことが多くて、面倒くさい。男なら、細かいことを気にしなくてもいい。
男装女子が変身する男の子には、いくつかのタイプがある。自己中心的な「俺様系」、知的で物静かな「クール系」、守ってあげたくなるような「弟系」……。どれも漫画やアニメのキャラクターがもとになっている。
優莉香さんは「弟系のかわいい男子」を目指している。「俺様系とか、いろいろ試したんですけど、自分の顔に合わなくて」。男物の服は、近くの安売りの店で購入している。
男装するうえで大事なのは、女子からの視線だという。
埼玉県在住の佐藤いずみさん(17)は、「女の子にキャーって言われたい」から男装をする。昨年末から、はやりの「男装写メ」を時々やっている。自分が男に見えるように工夫して撮る写真のことだ。かっこいい女性芸能人の男装にあこがれ、自分でもしてみたくなった。
まず、胸まである長髪を後ろで束ねて隠す。前髪を男の子のようなスタイルにして整髪料で固め、ぶかぶかのパーカを着て写真を撮る。
写真はツイッターに投稿。「男に見えたらRT(リツイート)」という指示(ハッシュタグ)をつけておくと、男装に興味がある人たちが写真を評価してくれる。
先日、写真を見た近所の男友だちから「お前、かっこいいじゃん」と言われた。
いずみさんは「男に言われても『あ、そう』って感じ」と苦笑する。「ちゃんとツボを分かってる女の子にほめられる方が、断然価値が高いんですよ」
男装は、どこまでも「女の子のための世界」らしい。(原田朱美)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307250599.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201307250599
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(以下、デジタル版のみ)
男装メークの極意知りたい ポイントは目元と眉

ヘアメークを勉強中のマエダさん=東京都渋谷区

東京・池袋の男装喫茶「80+1」で10代女子に人気の男装店員・竹村ロッシ瑛二さん

男装アイドルユニット「風男塾」のメンバー・赤園虎次郎さん

男装アイドルユニット「風男塾」のメンバー・雪村涼真さん

【原田朱美】男装女子は、男装する時も化粧をします。よく考えると、変だと思いませんか? 多くの男性はそもそも化粧をしません。「男に見えるための化粧」とはなんでしょう?
まず、本紙連載「いま子どもたちは 男装/女装」にも登場してくれた男装女子のマエダさん(18)にメークの基本を教わりました。彼女は今、ファッションやメークのプロを育てる「バンタンデザイン研究所」(東京都渋谷区)で学んでいます。
最大のポイントは、やはり目元。女性は、目を丸く大きく見せようとします。一方、男装の時は、切れ長の印象を目指します。上まぶたに二重のラインを書く時は、なるべく曲線ではなく、まぶたと平行な線に。女性は目尻を下げてタレ目にしようとしますが、男装時は、はね上げます。
こう書くと簡単そうですが、マエダさんは「うまくいかない場合、1時間くらいかけて何回もやり直します」といいます。たしかにこれは技術が高く、福岡市で会った男装女子(17)は「難しすぎるし、そもそも二重じゃないし、ウチらには無理ゲー」と笑っていました。
眉も大事。多くの男性は、女性よりも目と眉の間が近い。だから、女性が男装する場合、自分の眉の下側を書き足すそうです。これは、雑誌「セブンティーン」編集部でも同じことを聞きました。専属モデルたちの男装コンテストを企画した際、ヘアメークの担当者がそうしていたとか。
東京・池袋の男装喫茶「80+1」の男装店員、竹村ロッシ瑛二さんにも聞きました。「やんちゃな男の子」というイメージで、特に10代に人気の店員です。
やはり眉は大事だそうですが、あとはチークも。女性は、ほおを丸く見せるためにチークも丸くやわらかくのせますが、竹村さんはほお骨の下あたりに直線的に入れます。女性のメークではよく「やってはいけない」とされますが、それを逆手にとった形です。
意外だったのはこめかみ。こめかみにシャドーを入れると、「よりゴツく見える」そうです。男女の頭蓋骨(ずがいこつ)の違いも参考にしているとか。
男装アイドルユニット「風男塾(ふだんじゅく)」のメンバーたちはどうでしょうか。
男装メークのポイントを尋ねると、彼女たちは「え?」と戸惑っていました。なんでだろうと思ったら、「基本的にそんなに化粧をしていない」とのこと。
メンバーの1人、赤園虎次郎さんは「だって、男性って化粧しないじゃないですか」。まさに本稿の振り出しに戻る回答。同じくメンバーの雪村涼真さんは「すっぴんの方が、男っぽく見えますよ」。
そもそもメークって、女性が女性性を強調するためにするもの。「私は女の子です! かわいいでしょ」と、他人に訴えるために考えられた技術です(それが成功しているかは別として)。それをしなければ男っぽくなるというのは、一番シンプルかもしれません。まあ、素顔に自信がある人しかできないかもしれませんが……。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307260321.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201307260321

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Recar

先生、お暑い中またご多忙中、わざわざ私的コメントへお返事を戴き大変恐縮しております。また難しい過去の案件を蒸し返してすみません。
しかしながらGIDの取り巻く環境や社会的立ち位置、扱われかたがより精神医療からLGBTを含む先生の取り組んでいらっしゃる性文化へ大きくシフトし、または先生には大変失礼な言いかたですが『飲み込まれてしまった』といっても昨今の異性装文化は華やいでいると思います。これはもう私たちGIDにとって時代の流れや性風俗の一端として享受していくべき事なのでしょうか。
by Recar (2013-07-27 09:56) 

三橋順子

Recarさん、いらっしゃいま~せ。
1998~2008年の性同一性障害概念の大流行期には、異性装文化はほとんど注目されず、逼塞せざるを得ませんでいた。
異性装文化にとってはまさに「失われた10年」だったわけです。
それが2008年以降、再び異性装文化に関心が集まるようになってきました。
私としては、ようやく「元(日本の伝統的な形)に戻ってきた」と思っています。

GIDという病名がなくなっても、性別移行を医療福祉という観点で行うことは、別に否定されるわけではありません。
今後とも、医療体制の充実と人権擁護のシステム作りは進めていかなければならないと思います。

by 三橋順子 (2013-08-04 02:45) 

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