性同一性障害、刑務所はどちらに? 受刑者が見直し訴え [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月4日(木)
私の考えは以下の通り。
(1)「懲役刑」が刑罰である以上、人権(とりわけ自由権)が制約される部分があるのは当然。
(2)法律に従って刑事罰を科す場合、法的な性別(戸籍上の性)が基本になるのは当然。
(3)その原則の上で、刑務所における処遇に困難がある場合、受刑者の健康と安全を考慮して待遇すべき。
結論的には男子刑務所の独居房で処遇すべきだと思う。
具体的には、法務省はが2011年に全国の拘置所や刑務所に対し、戸籍上の性別変更が済んでいなくても外見が男性から女性に変わっていれば、入浴や身体検査は基本的に女性職員の対応とするなど一定の配慮を求める通知を出しているので、それに従うべき。
そもそもの話、傷害致死罪で懲役7年というのはかなりの重罪で、その償いが第一であるべき。
ちなみに、今回、処遇の変更を訴えた受刑者は、下記の事件の被告だと思われる。
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【大阪】ニューハーフバー経営の男に懲役8年判決
夫同然の男性を包丁で刺して殺害した罪に問われたニューハーフバー経営の男に対し、
大阪地裁は、殺意を認めず懲役8年を言い渡しました。
大阪市浪速区でニューハーフバーを経営していた白石静香被告(41)は、今年1月、 養子縁組をして夫婦同然の関係にあった白石保さん(当時47)と口論になり、 自宅マンションの通路で保さんの腹や腕などを包丁で刺して殺害した罪に問われていました。
弁護側は、「包丁を振り回すようなけんかは毎日のようにあった。事件の時は誤って深く包丁が 突き刺さってしまい、殺意はなかった」と主張。一方、検察側は、「傷の深さから、殺意があった」とし、 懲役15年を求刑していました。
大阪地裁は、「防犯ビデオの映像から、被害者が静香被告の左手の包丁を取り上げようとした際に誤って右手の包丁が腹に刺さったもので、殺意はなく、傷害致死罪にとどまる」とし、 懲役8年の判決を言い渡しました。
「ABC NEWS」 2015年11月27日 18:56
http://webnews.asahi.co.jp/abc_2_005_20151127008.html
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日常的に包丁を振り回すような喧嘩をしていて、その挙句に刺し殺してしまったというのだから、同情の余地なし。
むしろ、両手に包丁をもって暴れていた状態で、よく殺人罪にならず、傷害致死で済んだと思う。
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性同一性障害、刑務所はどちらに? 受刑者が見直し訴え
心と体の性が一致せず、男性に生まれながら女性として社会生活を送ってきた人は、刑務所内でも女性として扱われるべきか。傷害致死罪で実刑が確定し、男性刑務所で服役中の性同一性障害の受刑者が処遇の見直しを求めている。弁護団は「本人が真に立ち直って罪を償うためにも、自覚する性別に従って服役できるようにすべきだ」と刑務所に申入書を出した。
処遇の見直しを求めているのは、神戸刑務所(兵庫県)で服役中の受刑者(42)。同居していた男性への傷害致死罪で今年6月に懲役7年の刑が確定した。
弁護団によると、男性として生まれたが、幼少期から女性と自覚。18歳で女性ホルモン投与を始め、20代で性別適合手術を受けた。ただ、戸籍変更にはさらに手術をして性器を希望する性別に合わせた形に変える必要があり、心身への負担が重いことから断念。2004年、戸籍は男性のまま女性名に変更する審判を大阪家裁に申し立て、認められた。
弁護団は7月1日、一時収容された大阪刑務所に申入書を提出した。それによると、04年に施行され、戸籍上の性別変更を可能にした性同一性障害特例法は、本人が自覚する性で社会生活を送る権利を保障していると指摘。この受刑者は要件を満たせず性別変更はできていないが、「戸籍以外は女性」の状態だとして、女性刑務所への収監が最適だと訴えている。
また、男性刑務所で服役を続けた場合も、ホルモン投与で女性的な体つきのため他の受刑者から性暴力を受ける恐れがあるとして、夜間のみ単独室で過ごせるよう要望。ホルモン投与の継続▽丸刈りを強要せず、女性用下着の着用を認める▽入浴や着替えなどの際は女性職員が対応する――などの措置を求めている。
7月7日付で神戸刑務所に移送された受刑者は現在、丸刈りにされ、単独室で昼も夜も生活している。受刑者を支援する仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)は「要望は個人のわがままではなく、女性としての尊厳を保つ上での最低限の権利だ」と訴える。刑事事件を担当した高山巌弁護士(同)も「男性として扱われることは受刑者として甘受しなければならないレベルを超えている」と話す。
法務省は「申し入れについては把握していない。刑事収容施設・被収容者処遇法に基づいて戸籍上の男女で区別し収容している」としている。
■原則は戸籍で対応
性同一性障害の人の処遇について、法務省は刑事収容施設・被収容者処遇法に基づき戸籍上の性別に従って対応するとの立場だ。一方で、11年には全国の拘置所や刑務所に対し、戸籍上の性別変更が済んでいなくても外見が男性から女性に変わっていれば、入浴や身体検査は基本的に女性職員の対応とするなど一定の配慮を求める通知を出した。
ただ、男性の髪形については、丸刈りや短髪にする原則を重視。ホルモン投与についても、「しなくても直ちに回復困難な損害は生じない」との姿勢だ。
これに対し今年6月、性別適合手術を受け、戸籍も女性になった受刑者が、拘置所でホルモン投与を受けられず、苦痛を受けたとして国に1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。
ある元刑務官は「当事者の思いはわかるが、集団での処遇が基本の日本では、人員や設備の面から個別対応には限界がある。現場の工夫だけでできる範囲を超えており、司法の判断によるべきだ」と指摘する。問題の背景に、戸籍上の性別変更の難しさがあるとする声もある。性同一性障害特例法が、生殖機能を欠き、結婚していないことなどを要件としているためだ。日本精神神経学会の調査では、実際に戸籍上の性別変更ができたのは、性別に違和感を覚えて受診した人の2割にとどまるという。
精神科医の康純・大阪医科大准教授は「刑務所は更生を促すための施設であり、本人の性別認識に沿った対応が立ち直りにも役立つはずだ」と話している。(大貫聡子)
■「常に好奇のまなざし」
「20年以上、女性として生活してきたのに、男性刑務所に服役しなければならないのは本当につらい」
刑確定前の6月、受刑者は勾留先の大阪拘置所で面会した記者にそう訴えた。髪を肩まで伸ばし、ホルモン注射によって胸はふくらみ、女性的な丸みを帯びた体つきをしていた。
事件は2015年に大阪市内の自宅マンションで起きた。事実上の夫として同居していた男性(当時47)とけんかになり、持ち出した包丁が相手に刺さり死亡させた。裁判では傷害致死罪を認め、謝罪の言葉を繰り返した。遺族とも和解が成立しているという。
08年に別事件で加古川刑務所(兵庫県)に服役した時も丸刈りにされ、女性用下着の着用も許されなかった。常に好奇のまなざしにさらされ、刑務官から性的な言葉をかけられたり、不必要に体を触られたりしたこともあったと話す。そうした経験から、常に男性たちに囲まれて過ごすことに恐怖を覚えるのだという。
刑務所ではしっかり罪と向き合い、出所後も遺族への謝罪を続けたいと考えている。
「愛する人を死なせたことは後悔してもしきれない。でも、私は女性として生きてきた。女性として罪を償わせてください」
『朝日新聞』2016年8月4日09時14分
http://digital.asahi.com/articles/ASJ7P4H1FJ7PPTIL00L.html
私の考えは以下の通り。
(1)「懲役刑」が刑罰である以上、人権(とりわけ自由権)が制約される部分があるのは当然。
(2)法律に従って刑事罰を科す場合、法的な性別(戸籍上の性)が基本になるのは当然。
(3)その原則の上で、刑務所における処遇に困難がある場合、受刑者の健康と安全を考慮して待遇すべき。
結論的には男子刑務所の独居房で処遇すべきだと思う。
具体的には、法務省はが2011年に全国の拘置所や刑務所に対し、戸籍上の性別変更が済んでいなくても外見が男性から女性に変わっていれば、入浴や身体検査は基本的に女性職員の対応とするなど一定の配慮を求める通知を出しているので、それに従うべき。
そもそもの話、傷害致死罪で懲役7年というのはかなりの重罪で、その償いが第一であるべき。
ちなみに、今回、処遇の変更を訴えた受刑者は、下記の事件の被告だと思われる。
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【大阪】ニューハーフバー経営の男に懲役8年判決
夫同然の男性を包丁で刺して殺害した罪に問われたニューハーフバー経営の男に対し、
大阪地裁は、殺意を認めず懲役8年を言い渡しました。
大阪市浪速区でニューハーフバーを経営していた白石静香被告(41)は、今年1月、 養子縁組をして夫婦同然の関係にあった白石保さん(当時47)と口論になり、 自宅マンションの通路で保さんの腹や腕などを包丁で刺して殺害した罪に問われていました。
弁護側は、「包丁を振り回すようなけんかは毎日のようにあった。事件の時は誤って深く包丁が 突き刺さってしまい、殺意はなかった」と主張。一方、検察側は、「傷の深さから、殺意があった」とし、 懲役15年を求刑していました。
大阪地裁は、「防犯ビデオの映像から、被害者が静香被告の左手の包丁を取り上げようとした際に誤って右手の包丁が腹に刺さったもので、殺意はなく、傷害致死罪にとどまる」とし、 懲役8年の判決を言い渡しました。
「ABC NEWS」 2015年11月27日 18:56
http://webnews.asahi.co.jp/abc_2_005_20151127008.html
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日常的に包丁を振り回すような喧嘩をしていて、その挙句に刺し殺してしまったというのだから、同情の余地なし。
むしろ、両手に包丁をもって暴れていた状態で、よく殺人罪にならず、傷害致死で済んだと思う。
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性同一性障害、刑務所はどちらに? 受刑者が見直し訴え
心と体の性が一致せず、男性に生まれながら女性として社会生活を送ってきた人は、刑務所内でも女性として扱われるべきか。傷害致死罪で実刑が確定し、男性刑務所で服役中の性同一性障害の受刑者が処遇の見直しを求めている。弁護団は「本人が真に立ち直って罪を償うためにも、自覚する性別に従って服役できるようにすべきだ」と刑務所に申入書を出した。
処遇の見直しを求めているのは、神戸刑務所(兵庫県)で服役中の受刑者(42)。同居していた男性への傷害致死罪で今年6月に懲役7年の刑が確定した。
弁護団によると、男性として生まれたが、幼少期から女性と自覚。18歳で女性ホルモン投与を始め、20代で性別適合手術を受けた。ただ、戸籍変更にはさらに手術をして性器を希望する性別に合わせた形に変える必要があり、心身への負担が重いことから断念。2004年、戸籍は男性のまま女性名に変更する審判を大阪家裁に申し立て、認められた。
弁護団は7月1日、一時収容された大阪刑務所に申入書を提出した。それによると、04年に施行され、戸籍上の性別変更を可能にした性同一性障害特例法は、本人が自覚する性で社会生活を送る権利を保障していると指摘。この受刑者は要件を満たせず性別変更はできていないが、「戸籍以外は女性」の状態だとして、女性刑務所への収監が最適だと訴えている。
また、男性刑務所で服役を続けた場合も、ホルモン投与で女性的な体つきのため他の受刑者から性暴力を受ける恐れがあるとして、夜間のみ単独室で過ごせるよう要望。ホルモン投与の継続▽丸刈りを強要せず、女性用下着の着用を認める▽入浴や着替えなどの際は女性職員が対応する――などの措置を求めている。
7月7日付で神戸刑務所に移送された受刑者は現在、丸刈りにされ、単独室で昼も夜も生活している。受刑者を支援する仲岡しゅん弁護士(大阪弁護士会)は「要望は個人のわがままではなく、女性としての尊厳を保つ上での最低限の権利だ」と訴える。刑事事件を担当した高山巌弁護士(同)も「男性として扱われることは受刑者として甘受しなければならないレベルを超えている」と話す。
法務省は「申し入れについては把握していない。刑事収容施設・被収容者処遇法に基づいて戸籍上の男女で区別し収容している」としている。
■原則は戸籍で対応
性同一性障害の人の処遇について、法務省は刑事収容施設・被収容者処遇法に基づき戸籍上の性別に従って対応するとの立場だ。一方で、11年には全国の拘置所や刑務所に対し、戸籍上の性別変更が済んでいなくても外見が男性から女性に変わっていれば、入浴や身体検査は基本的に女性職員の対応とするなど一定の配慮を求める通知を出した。
ただ、男性の髪形については、丸刈りや短髪にする原則を重視。ホルモン投与についても、「しなくても直ちに回復困難な損害は生じない」との姿勢だ。
これに対し今年6月、性別適合手術を受け、戸籍も女性になった受刑者が、拘置所でホルモン投与を受けられず、苦痛を受けたとして国に1千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。
ある元刑務官は「当事者の思いはわかるが、集団での処遇が基本の日本では、人員や設備の面から個別対応には限界がある。現場の工夫だけでできる範囲を超えており、司法の判断によるべきだ」と指摘する。問題の背景に、戸籍上の性別変更の難しさがあるとする声もある。性同一性障害特例法が、生殖機能を欠き、結婚していないことなどを要件としているためだ。日本精神神経学会の調査では、実際に戸籍上の性別変更ができたのは、性別に違和感を覚えて受診した人の2割にとどまるという。
精神科医の康純・大阪医科大准教授は「刑務所は更生を促すための施設であり、本人の性別認識に沿った対応が立ち直りにも役立つはずだ」と話している。(大貫聡子)
■「常に好奇のまなざし」
「20年以上、女性として生活してきたのに、男性刑務所に服役しなければならないのは本当につらい」
刑確定前の6月、受刑者は勾留先の大阪拘置所で面会した記者にそう訴えた。髪を肩まで伸ばし、ホルモン注射によって胸はふくらみ、女性的な丸みを帯びた体つきをしていた。
事件は2015年に大阪市内の自宅マンションで起きた。事実上の夫として同居していた男性(当時47)とけんかになり、持ち出した包丁が相手に刺さり死亡させた。裁判では傷害致死罪を認め、謝罪の言葉を繰り返した。遺族とも和解が成立しているという。
08年に別事件で加古川刑務所(兵庫県)に服役した時も丸刈りにされ、女性用下着の着用も許されなかった。常に好奇のまなざしにさらされ、刑務官から性的な言葉をかけられたり、不必要に体を触られたりしたこともあったと話す。そうした経験から、常に男性たちに囲まれて過ごすことに恐怖を覚えるのだという。
刑務所ではしっかり罪と向き合い、出所後も遺族への謝罪を続けたいと考えている。
「愛する人を死なせたことは後悔してもしきれない。でも、私は女性として生きてきた。女性として罪を償わせてください」
『朝日新聞』2016年8月4日09時14分
http://digital.asahi.com/articles/ASJ7P4H1FJ7PPTIL00L.html
2016-08-04 18:48
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コメント(3)
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>08年に別事件で加古川刑務所(兵庫県)に服役
懲りてないですね^^
それにしても、性同一性障害だけでも苦悩は半端じゃないでしょうに、繰り返し服役とは……
壮絶な人生に鳥肌が立ちます。
by ちこ (2016-08-05 10:14)
ちこさん、いらっしゃいま~せ。
そうなんです。
この人、服役、初めてじゃないんです。
2008年の事件がなんだったのか、つかめていません。
強い性別違和が社会的不適応を招いた不幸な事例と思われますが、それにしても、もう少し自制的であってほしいです。
by 三橋順子 (2016-08-06 02:06)
>もう少し自制的であってほしいです
その一語に尽きますね。一回経験して刑務所ではいやな思いをするのがわかってるのに、毎日のように包丁振り回す喧嘩って……同情する気が薄れます^^
by ちこ (2016-08-06 22:10)