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2月15日(土)バンコクの夜(ゴーゴーバーめぐり)-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(2日目の4) [現代の性(WPATH 2014)]

2月15日(土)
(続き)
21時、東さん、友人のフィンランド人男性、メキシコ人男性、りりぃさん/佐々木掌子さん、あきこさん、私の7人で、タクシー2台に分乗して、夜のバンコク探訪に出掛ける。
まず、NaNa-Plazaへ(140B)。
私のカメラは電池切れなので、写真は佐々木掌子さんに撮ってもらった。
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Nana-Plazaの入口。
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↑ 広場には仮設の飲み屋が並ぶ(17日撮影)。
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屯っている人は、圧倒的に外国人観光客、とくに白人系の人が多い。
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ケバブ屋台の向こう側で髪をいじっている赤いドレスのきれいなお姐さんは、まず間違いなくLadyBoy(順子判定確率98%)。(17日撮影)
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遠景に写っている赤いドレスの人は微妙。背の高さとスタイルの良さはLadyBoyっぽいけど(右側のタイ人女性と比較)、腰骨の幅は女性っぽい(順子判定確率70%)。
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この「娘」は、まだ女性ホルモン投与を始めて間もないLadyBoyと思われる。
どうやったら見分けられるか、ときどき聞かれるけど、夜のバンコクの盛り場でスタイルの良いきれいなお姐さんがいたら8割方LadyBoyだと思った方がいい。

1軒目のゴーゴーBarに入る。
お客さんの入りが少ないせいか、あまり活気がない店で、舞台では6~7人のダンサーが気だるい雰囲気で身体を揺らしている。
女性は全部で15~20人くらいだろうか、LadyBoyと純女(生得的な女性)が混在している店のようだ。
小顔でスレンダー(←私好み)なかわいらしい感じで超短いフレアースカートを履いている「娘」が目にとまる。
隣の席の掌子さんに「あの娘、たぶんLadyBoyだよ」と言うと、「えっ! どうしてわかるのですか?」と尋ねられる。
肩幅と腰骨の幅の比率がいちばんのチェック・ポイント。
股間の膨らみ、喉仏、身体の丸みなどはいくらでも加工可能なので、判別ポイントとしてはあまり当てにならない。
加工不能な骨格の男女差が現れる部分を見る。
まあ、早い時期(15歳以下)から女性ホルモン投与をしていると、骨末端形成が不十分になり肩幅は女性的になるが、それでも腰骨(骨盤の形)が女性化するわけではないので、しっかり観察すれば、だいたいの見分けはつく(私の場合、判別キャリア20年だけど)。
「彼女」たちも必ずしも隠そうとしているわけでもなく、顎を上げて喉を指さして「ほら、喉仏あるでしょう」みたいなジェスチャーをする「娘」もいる(でも、喉仏、あまり目立たない「娘」が多い)。
ちなみに、この店の女性の連れ出し料金は2時間2000B(約6000円)とのこと。
ビールは1本(ハイネケン小瓶)190Bでまあ良心的。

すぐ近くの2軒目の店へ。
ここは女の子もお客さんも多く活気がある。
女の子は全員LadyBoy、ぜんぶで30人近くいるだろうか。
みんなLadyBoyなので判別のトレーニングにはならないが、やはり観察しているとおもしろい。
豊胸は女性ホルモンだけの「娘」と手術で盛っている「娘」が混じっているが、「隆鼻」をしている「娘」が多い。
タイ人本来の鼻を考えると、7割くらいは手術している感じがする。
商業系のトランスジェンダーの場合、上から下へ(顔→胸→股間の順)手術するというのが私の「理論」なので、それに適合するように思う。
(それに対して、日本の性同一性障害の人は、下=股間から手術する)
舞台の上なのに、髪や化粧を気にしている「娘」が目立つのも、トランス娘らしい。
表情が魅力的で自己アピールができる「娘」がいる一方で、表情が暗く硬い「娘」もいる。
「あれだと、指名がとれないだろうな」と、私としては後者の「娘」が気になってしまう(完全に「ママ」視線)。
ファッションはビキニの水着姿の「娘」が多いのだが、中に携帯電話(スマホ)をお尻に入れている「娘」がいる。
せっかくのヒップラインが台無し。
「チーママ、あれ、止めさせなさい」と言いたくなる。
フロアーで店を仕切っているお姐さん(たぶん、ダンサーから出世した人)に、手を振られたりやたらと注目される。
このままだと、それなりの対応(指名連発とか、チップ大盤振る舞いとか)しないといけなくなるので、適当なタイミングで退散。
まあ、30人のダンサーに100Bずつ「総花」付けても3000B(9000円)なんだけど、科研費で交通費出してもらっている立場上、それはちとまずいので。
この店の料金は、ドリンク300B、指名700B、連れ出し1時間2000B、2時間2500B。
2時間で比較すると、1軒目より500B高いが、店の「格」の差なのだろう。

もう1軒、ゲイ・ゴーゴーBarへ行くことになり、タクシーに分乗(160B)してスリウォン通りへ。
「ゲイ・ストリートの入口のアーケードの下で」と待ち合せたのに、いくら待っても東さんの部隊が来ない。
こんなに目立つアーケードって、他にはないのに・・・。
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↑ 路地の入口左側にファミリーマート。向かい側にセブンイレブン。
おまけに同じタクシーを降りた掌子さんまで行方不明。
やっと電話連絡がついたものの、あちらの居場所がどうも要領を得ない。
あきこさんと2人で30分近く探し回り、やっと発見。
ハッポン通りのまったく逆側にいた。
やっと、ゲイ・ストリートの入口に案内して、まずゲートを撮影。
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ストリートに入ってじっくり店を選ぼうと思ったら・・・、ああ、もう引き込まれている。
こういう場所って、ガッついてる風を見せたら駄目なんだけどなぁ。
店内に入って階段状の席に座って、すぐにペニスを立てた全裸の男の子が最前列の席に飛び込んでくる。
そのパターン、わかっているので、掌子さんと私は最後列に。
舞台上では、ビキニ・パンツ1つの男の子が10数人。
いわゆる「細マッチョ系」がほとんど、年齢は18~23、4歳といったところか。
そのうち立派なペニスを立てた男の子が登場して、同僚の男の子に後背立位で挿入。
私の見立てでは、挿入側の男の子のペニスの長さは18cmほど、タイ人としてはかなりの巨砲。
それを実に簡単に受け入れてしまうのだから、たぶん毎晩何回も挿入されていて、すっかり緩んでいるのだろう。
ちなみに、挿入される側の男の子のペニスはかなり小さ目。
こうした観察がやけに細かく冷静なのは、私が男の子にまったく性的関心がないから。
まあ、自分の好みのセクシュアリティの店だけ行って、先に帰るのも失礼なのと、場所の案内役で同行したが・・・、完全にシラケてしまう。
店のスタッフが「あの子は日本人だけど、指名しないか」と言う。
どうして日本人の青年がバンコクまで流れて来て、ゴーゴーBarで身体を張っているか、興味がなくはないが、いくら商売とはいえ、それを根掘り葉掘り聞くのは失礼だろうと思い止めた。
こういう客がいると店が困るのはよくわかっているので、前の席で男の子を指名したのを潮に「お先に失礼します」と挨拶して店を出る。
ちなみに、この店のシステムは、指名500B、キス1500B、連れ出し3時間1500B、オールナイト2500B。
つまり、ショートで客と相手をする場合、LadyBoyだと2時間2500B、男だと3時間1500B。
価格の単純比較だと5:3だが、時給比較では1250:500=5:2。
男がオールナイトで頑張ってもLadyBoyのショートと同価格。
売れっ子のLadyBoyなら1晩で2回転、3回転も可能だから、収入は2~3倍になる。
現代のタイやフィリピン、あるいは昭和戦前期の日本のような社会では、Sexworkの場合、男の子での稼ぎと「女」になっての稼ぎとでは、かなり稼ぎが違ってしまう。
したがって、社会的・経済的理由で、(男のままの)ゲイは少なくなり、(女になる)トランスが増える。
ゲイになるか、トランス(MtF)になるかということは、ある程度は、先天的な要素で決まっていると思うが、同時に環境的・社会的、さらには経済的な要素で変わってくる、と考えるべきだと思う。
同じことは、レズビアンになるか、トランス(FtM)になるか、についても言えて、社会圧のようなものを軽視すべきではないと思う。

せっかく来たのだから、ゲイ・ストリートを奥まで探検。
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↑ 店の前に客待ちの男の子が座っている。
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↑ ちょっと古風な言い方をすれば、東南アジア最大の男娼窟。
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↑ 「Dream Boy(夢幻男孩)」という店。
「男孩」は中国語で「男の子」の意味。
漢字表記が簡体字ということは、人民中国からのお客を想定しているということ。
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こちらは中国語(簡体字)、韓国語(ハングル)、日本語(片仮名)で「男の子」と書いてある店。
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↑ 初心そうな子は、呼び込みの兄ちゃんに抱きつかれて、路上でいじられる。
私に触ってくるような度胸がある呼び込みはまずいない。
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↑ 路地の奥にある「CLASSIC BOYS CLUB 曼谷経典男孩倶楽部」の入口。
2005年7月に「第1回 アジア クィア・スタディーズ国際学会」で初めてバンコクを訪れたときに、ナイトツアーで連れていかれた店。
あれから9年経ったが健在。
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看板を見るとサッカーの中継でもしてるように見えるが、実態は白の半袖シャツ+短パン(中学生の体育ファッション)の男の子がたくさんいる店。

お腹が空いた。
考えたら、今日はちゃんと夕食を食べていない。
もう0時を過ぎていて、選択肢は少ない。
ハッポン通りに「横浜系ラーメン・内田屋」という看板が出ていたので入る。
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店員がタイ人の女性というだけで、メニューもみかけも味もまったく日本と同じ。
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温玉ラーメン230Bというのも、日本円に直すと700円で価格的にも同じ。
ただし、230Bのヌードルを食べるタイ人はめったにいない。
なので、客は日本人ばかり。

掌子さん、あきこさん、私の3人でタクシーに乗る。
バンコクのタクシー運転手は「深夜はメーターは使わない決まり」「繁華街から乗るときはメーターは使わない」と必ず言う(嘘)
行先を告げて「100B」と言うと、運転手が「200B」と言う。
私が「150B」と言うと、たちまちOKして、うれしそうに車を出した。
50B(150円)値切るより、気分良く運転してもらった方が身の安全ということ。

2時5分過ぎ、Ramada Menam Riverside Hotelに帰還。
着物を脱いで、化粧を落として髪を崩し、今夜も倒れるようにベッドへ。
就寝2時半。



2月15日(土)Anantara Bangkok Riverside Resort & Spa-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(2日目の3) [現代の性(WPATH 2014)]

2月15日(土)
(続き)
自分のプレゼンが終わって、内庭に面した回廊でコーヒーをのんでいるうちに、すっかり気が抜けてしまった。
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↑ 順子オリジナル「二階文庫」結び(強拡大なのでやや不鮮明)
16時から、アジア・パシフィックの2つ目のシンポジウムがあるのだけど、失礼してしまう。
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【追記】
私が脱力してサボってしまった、16時からのMini-Symposia, Sponsored by WHO/UNAIDS/UNDP/UN Womenの第2弾、「Trans People in Asia and the Pacific: General and gender affirmative healthcare issues」(Organizer : Sam Winter, PhD.)についてプログラムだけメモしておく。
司会は、Pacific Sexual Diversity の Joleen Mataeleさん(Tonga)。
前半のプレゼン4本。
(1)Kate Cordova(Philippines)
(2)Laxmi Narayan Tripati(India)
(3)Jetsada ‘Note’ Taesombat(Thailand)
(4)Jack Byrne(New Zealand)
後半のパネル・ディスカッション。
Kevin Stevanus(Indonesia)
Emma Hoo(China)
Dorian Wilde(Malaysia)
Kasper Wan(Hong Kong)
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WPATH2014の会場のAnantara Bangkok Riverside Resort & Spaは、5つ星ランクの豪華なリゾートホテル。
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玄関を入ると、伝統楽器を演奏するタイ美人が迎えてくれる。
悠然と流れるチャオプラヤー川右岸のリバーサイド川に位置し熱帯の樹木が茂る庭園に囲まれた南国のオアシス。
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川に向かって開いたコの字型に低層(7階)の主棟と客室棟が配置され、中庭には大きなプールがある。
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建物は白亜のコロニアル様式(スペインの植民地の建築様式。白い建物、ポーチ、ベランダ、大きな窓などが特徴)を摸していて、いかにも欧米人が好みそうなデザイン。
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あちこちに象の像や古い荷車、そして花びらを浮かべた水盤が置かれ、「熱帯の楽園」が演出されている
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そして、川沿いには、立派な桟橋を備えた船着き場がある。
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お庭を散策してみる。
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↑ 今は乾季なのでお花は少ないが、水辺にはピンク色のブーゲンビリア。
庭園内に引き込まれた掘割を渡って、東さんの部屋がある南棟へ。
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岡山大学医学部(精神神経科)の松本洋輔先生がいらしてて、じきに佐々木掌子さんも来る。
佐々木さんと私は、6月に某学会で松本先生コーディネートのシンポジウムに参加することになっているので、なんだかシンポジウムの「顔合わせ」みたいになる。

東さんの部屋はリバー・ヴューなので景色がすばらしい。
Anantaraのすぐ下流には、旧いクルンテープ橋(Krungthep Bridge、626.25m、1959年完成、施工:富士車輛)と新しいラマ3世橋(1999年完成)が架かっている。
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ところで、南棟のエレベーターホールの壁に、東京の勝鬨橋によく似た開閉橋の古い写真が架かっている。
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これがクルンテープ橋なのではないか?と気づいた。
松本先生も同意見で、左右のトラスの形が古い写真と同じで、その間の平橋に見える部分が本来は開閉するのだろう。
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新橋のラマ3世橋をあれだけ高く架けたことからしても、現在でも大型船が遡上することがあり、その時にはクルンテープ橋が開くのだと思う。
1度、見てみたいものだ。
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(ネットで拾った画像。たぶんクルンテープ橋)
19時、「CPATH」(Canadan Professional Association for Transgender Health)に出席。
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カナダは13ある州・準州の内8つで、トランスジェンダーが医療にアクセスできる。
ただし、州によってかなり状況は異なり、いちばん進んでいるのはオンタリオ州(カナダ最大の都市トロントや連邦政府の首都オタワがある。カナダの人口の3分の1が集中)とのこと。
いつか「JPATH」が開催できる日が来るだろうか?
(続く)

2月15日(土)「Asian and Pacific trans community leaders working in health and rights」-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(2日目の2) [現代の性(WPATH 2014)]

2月15日(土)
(続き)
今回の「WPATH 2014」の大きな特色は、UNDP(国際連合開発計画)、UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)、WHO(世界保健機関)、UNWOMAN(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)の支援でスペシャルセッション・シリーズ(連続シンポジウム)「Trans People in Asia and the Pacific」が開催されたこと。
14時からのSession 2は、Chaophraya Ballroom, Room Bを会場に、その第1弾、Mini-Symposia, Sponsored by WHO/UNAIDS/UNDP/UN Women: 「Trans People in Asia and the Pacific: Cultural, legal and social environments」(Organizer : Sam Winter, PhD.)。
このシンポジウムは2部構成で、前半は持ち時間10分で5人がプレゼンテーション、後半は6人によるパネル・ディスカッション。
司会は、Asia-Pacific Transgender Network の Natt Kraipetさん(Tailand)。
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まず、前半のプレゼン5本。
(1)Joleen Mataele(Tonga)
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トンガ王国は、南太平洋のフィジーの東、ナウルの西に位置する。
トンガと言えば、先々代の国王トゥボウ4世が大の親日家で、トンガの若者を相撲界に送り込んできたこと(1974年来日、1976年廃業)を、私たちの世代以上だと覚えている人も多いと思う。
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伝統的なトンガの社会ではトランスジェンダーが社会と調和的に存在してきたこと。
トランスジェンダーへの差別が強まったのは、HIV感染の広がり以降(1980年代後半?)のこと。
(同性愛や異性装を禁じる)「聖書の規範」を安易に取り入れてはいけないこと。
トンガのトランスジェンダーの活動を知ることができたのは、今回の大きな収穫だった。
南太平洋(ポリネシア)のトランスジェンダーは、タヒチのマフ(Mahu=女写し)が有名だが(ハワイ諸島にもかってはマフがいた)、トンガにも同様のトランスジェンダー文化が確認でき、その広がりがポリネシア全域に及ぶ可能性が大きくなった。
伝統的なトランスジェンダー・カルチャーが西欧近代文明(「聖書の規範」や近代精神医学)の流入により否定され、社会と調和して生きていたトランスジェンダーが抑圧され、差別視されていく過程は、伝統的なトランスジェンダー・カルチャーを持っていたアジア・太平洋諸国では皆よく似ている。
ただ、そのタイミングに遅速があるだけで構造的にはほぼ同じである。
日本は1870年代にそれが始まり、トンガは1980年代に始まったというだけのこと。

(2)Junko Mitsuhashi(Japan)
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大河りりぃさんによると、1枚目のスライドがスクリーンに映し出された瞬間、「おお~」という声が会場から上がったらしい。
「掴みはOK」だったのだが・・・。
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「日本最初のSRSは1951年で、クリスチーナ・ジョルゲンセンの手術とほぼ同じ時期」と言ったのに、ほとんど反応がなかった。
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事前にきつく言われていた「時間厳守」ばかりが気になってしまい、私としてはいたって不出来なプレゼン。
せっかくこうした場を設けていただき、通訳をしてくださった東優子さんにたいへん申し訳なかった。
まあ、こうして観客席の後方からの写真を見ると、それなりに聞いてはもらえたのかもしれないが。
詳しい報告内容は下記をご覧ください。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-02-20-3

(3)Prempreda Pamoj Na Ayutthaya(Thailand)
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18世紀には、Kathoeiは「不毛」とか、植物の「種なし」の意味だった。
neither male nor female(男でもあり女でもある)の意味は19世紀以降。
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Lakhon nai is theatre of the woman of the paleace
(Lakhon nai という王宮の女性たちの劇団 1900年頃)
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Lakorn_Nok=Assumed theatre of the men out of the palace,at noble houses
(貴族の家で、王宮の外の男性による専属劇団)
高貴な人たちに奉仕する演劇が男女別になっていたことから、女性の劇団では男役が、男性の劇団では女役が必要になり、そこにKathoeiが関係する構図らしい。
演劇における男女の分離がトランスジェンダーと関連するのは、日本の歌舞伎の女形と構造的に似ている。
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↑ タイ舞踊。報告者自身らしく、照れている(↓)。
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intersex 状態ということで、性別の変更を認められた人。
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現在、「バンコク封鎖」をしている反政府勢力(民主派)とも連携。

(4)Manisha Dhakal(Nepal)
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ヒンドゥー教には、両性具有の神が多い。
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maruni という女性の衣服を身に着ける伝統的な男性ダンサーがいる。
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現代では、モデル、ダンサー、メイキャップアーティストなどいろいろな職業に進出している。
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一方、田舎では鞭打ち刑にされることも・・・。
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ネパールでは10月が祭月で故郷に帰る人が多いが、トランスジェンダーは保守的な田舎には帰りにくい。
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ネパールのトランスジェンダーの状況がよくわかり、大きな収穫だった。
困難な状況の中で、活動している方に敬服。

(5)Laxmi Narayan Tripati(India)
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スライド無しでの大演説。
その雄弁さに感服。
日本では、たとえ政治家でもこれだけの雄弁術を駆使できる人はいないだろう。
ただし、持ち時間を越え、しかも司会の制止を無視するのはいかがなものかと思う。

後半は6人によるパネル・ディスカッション。
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右奥から順に、
Magdalena Robinson(Philippines)
Emma Hoo(China)
Angela Ienes(Indonesia)
Khartini Slamah(Malaysia)
Jack Byrne(New Zealand)
Kasper Wan(Hong Kong)
1人2分間のショート・スピーチ。
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話しているのは、フィリピンのMagdalena Robinsonさんだが3人の脚に注目。
3人とも脚線美という話ではなく、そろって脚を組んでいること。
膝丈より短いスカートで低い椅子、しかも遮蔽板付きのテーブル無しだと、脚を組むしか防御手段がない。
ちょっと設営が無神経だと思う。
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インドネシアのAngela Ienesさんの話の中にチャラバイ(Calabai=南スラウェシのMtF) チャラライ(Calalai=南スラウェシのFtM)が出てきたが、インドネシアのような多民族・多宗教の国だと、地域によってだいぶ話が違ってくる。
ジャワ島など主流派のイスラム教社会と、バリ島のようなヒンドゥー教社会、南スラウェシのような土着的な宗教が強く残る少数民族社会では、トランスジェンダーの社会的状況はかなり異なる。
そこらへん詳しく聞きたかったが残念。
ここまでの3人は、持ち時間をちゃんと守ったが、4人目のマレーシアのKhartini Slamahさんが大演説。
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負けじと、5人目のニュージーランドのJack Byrneさんも大演説。
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6人目の香港のKasper Wanさんは自制していたが・・・。
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なぜか前半で大演説したインドのLaxmi Narayan Tripatiさんが出て来てしゃべりはじめる。
国際会議では発言時間は奪い合い、押しの強い国が発言枠を確保するということらしいが、日本人の感覚では司会者を無視した無法状態に近い。
結局、最初の3人は、2分間ずつしか発言の機会が与えられなかった。
国際的な場だからこそ、各国の代表に平等に発言時間が与えられるべきだと思うが、そういう理性的なことを考えるから、日本は国際会議で発言力がないのだろう。
15時30分、終了。
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休憩時間のロビー。WAPTHはWorld Association だが、実際には欧米の白人中心の組織であることがうかがえる。
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↑ ロビーで声をかけてくださった方(WHOのPengfei Zhao博士)。
「すばらしいプレゼンテーションでした」と言ってくださった。
お世辞でもうれしい(脱力)。

【おまけ】
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隣席で動画撮影するインドのお姐さん。
三つ編みにしてなお、お尻に届く髪の長さに驚いて、後姿を撮らせてもらった。
これだけの長さ、おそらく子供の頃から切っていないと思う。

2月15日(土)シンポジウム始まる-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(2日目の1) [現代の性(WPATH 2014)]

2月15日(土)  晴れ  バンコク  31.7度
5時50分、起床(Ramada Menam Riverside Hotel)。
シャワーを浴びて髪と身体を洗う。
シャワー・スペースが別になっているが、シャワー自体は高いところに固定されていていささか不便。
湯量は十分なのだが。
髪を乾かすドライヤーも、Maxにすると3分くらいで止まってしまい、その後1分くらい動かなくなる、厄介な代物。
いったいどこ製だろう?(予想はつくが・・・)
ちょっと手間取ったが、髪にあんこを入れて頭頂部で結わえて根巻と赤珊瑚の挿櫛をつける。
化粧と身支度。
紺地に白と青緑で大きな芙蓉の花を染め出した綿絽(紫織庵)。
薄いクリーム色の吸い上げ暈しの麻の半襟を付けた半襦袢。
帯は黄色基調の博多帯を下に、赤黒の半幅帯を上に巻いて、順子オリジナルのゴージャスな「二階文庫」結びにして、草色の夏の帯締を掛ける
柾目を浮き出した台に濃紺の麻の葉柄の鼻緒をすげた右近下駄(伊香保神社前・吉堅屋)。
赤地に手毬模様の手提げ袋。
7時40分、支度が出来上がる。
11階の部屋の窓から下界を眺める。
真下にプール、川沿いの白い屋根の平屋が、これから食べに行くリバーサイド・レストラン。
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左手にチャオプラヤー川、見えているビルはバンコクの西側の新市街クーロンサン地区。
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8時30分、佐々木掌子さんとロビーで待ち合せて朝食へ。
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リバーサイドのオープンテラスの席。
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ビュッフェのメニューは、タイ、インド、洋、中華、そして少しだけ和と多彩だが、いちばんおいしそうなインドとタイ系にする。
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↑ チキンカレーとチャパティ。
チャパティは小麦粉(全粒粉)を水に溶いて発酵させずに薄く延ばしてクレープ状に焼いたもの。
日本でよく知られているナンよりも庶民的なインドの主食。
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↑ センミー(極細)のクィティアオ(タイの米粉麺)。
鶏団子、もやし入り。
汁がちょっと薄味だったので唐辛子とナンプラー(魚醤)を入れて。
米粉麺というと、ベトナム料理フォーが有名だが、タイでもよく食べる。
掌子さんも私も「せっかくタイに来たのだから」とせっせと地元の料理を食べるが、周囲を見ると、必ずしもそうではない。
とくにアメリカの観光客は、ほとんどアメリカン・ブレックファースト(卵料理、ハムorソーセージorベーコン、ジュース、パン、コーヒーor紅茶)。
アメリカという国は世界中どこでもアメリカン・ブレックファーストが食べられるように世界の覇権を握ったのかもしれない。

朝食を食べながら掌子さんといろいろお話。
存在を知ったのは彼女がまだ大学院生だった頃(10年前?)で、GID学会などで、ほぼ毎年会っているが、ゆっくり話をするのは今回の旅行が初めて。
院生だった彼女も業績を積み重ねて、今ではGIDの臨床心理学では日本の第一人者と言っていい存在。
話していて、教えられることが多い。
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↑ Ramada Menam Riverside Hotelから川越しにAnantara Bangkok Riverside Resort & Spa(オレンジ色の屋根の建物群)を望む。
9時30分、ホテルを出て「WPATH2014 Symposium in Bangkok」の会場のAnantara Bangkok Riverside Resort & Spaに向かう。
昨夜、舟に懲りたのでタクシー。
橋の前で少し渋滞して15分ほどかかり、料金は63B(チップを乗せて80Bを渡す)。
ホテルのグランドフロアーにある「WPATH2014」の受付へ。
ここでまたトラブル。手続きのミスで私の名前が参加者名簿にない。
しばらく待機した後、東さんが力技で解決してくれて、ようやく会場に入れた。
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10~12時の部は、Charoennakorn Roomで開催されているSession 4 「Abstract Presentations: Legal Issues and Human Rights. Moderator」(司会:Jamison Green, PhD)に途中から出席。
(1) Leonie Cox, PhD, Christina Campbell, PhD.「An Overview of Australian InTrans*igence –A Systemic Pandora’s Box. Belinda Chaplin, RN,
BN(Hons1)」
(2)Simona Giordano, PhD「Ethical issues in the care and treatment of transgender children and adolescents」
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マレーシアなどでは政治的な問題より宗教規範の方が大きい。
生命倫理学の立場から積極的介入論。
年齢基準を設けず、個々のケースで対応すべき。
(3)Leonie Cox, PhD, Christina Campbell, PhD.「“Blokes Don’t Cry, So Man Up” – A Trans*gressive Life in Queensland Jails. Belinda Chaplin,RN, BN(Hons1)」
オーストラリアにおけるトランスジェンダーの服役者の扱い。
(4)Eszter Kismodi, JD, LLM.「Special Presentation: WHO Legal & Policy Program in Conjunction with ICD Field Testing」
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スイスの人権派弁護士で、まさに立て板に水の話し方で、スライドの問題整理の仕方を見ているだけでも、すごく頭が切れる人であることがわかる。
性別移行の脱病理化の急進派。
この問題、WPATHの中でも斬進派と急進派の意見の相違がかなりあるらしい。

12時過ぎ、ガーデン・レストランで昼食。
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↑ タイ料理
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↑ インド料理
泊まっているRamada Menam Riverside HotelよりAnantara Bangkok Riverside Resort & Spaの方が、料理は1ランクデラックス。
ただし、インド料理(カレー)はRamadaの方が辛くておいしい。
どうもAnantaraは、欧米人の舌に合わせ過ぎている気がする。
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左が大阪から参加の大河りりぃさん。
さあ、午後は私の出番、頑張らなくちゃ!
(続く)

2月14日(金)大雪の東京から常夏のバンコクへ-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(1日目) [現代の性(WPATH 2014)]

2月14日(水)  曇り  バンコク  32.4度
5時、起床。
お風呂に入って身体を温め、髪にあんこを入れて頭頂部で結わえてシュシュを巻く。
化粧と身支度。
グレーの地に黒の唐草模様のチュニック(長袖)、、黒のブーツカットパンツ、黒網の膝下ストッキング、黒のサンダル、黒のトートバッグ、黒のボア襟のポンチョ。
靴はショートブーツだと荷物になるので、濡れて寒いのは承知でサンダルに。
7時、家を出る(東京の7時の気温0.9度)。
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雪が本降りになる前に家を出たかったのだが、すでに積もり始めている状態。
駅までの20分間にどんどん本降りになる。
左手に傘を差し、右手に重い旅行バッグを曳いて道中、難渋。
さらに駅構内の移動が通常より早い出足のラッシュに遭遇して渋滞。
なんと、通常25分で着くはずの道のりに40分もかかってしまい、結局、予定していた7時40分発の「成田EX」を目の前で乗り過ごす。
次の「(快速)成田エアポート」でも間に合う(忙しいけど)ことはわかっていたけども、問題は雪の状態。
都心の降り方では、成田空港から飛行機が離陸できないのではないか?と心配になる。
幸い千葉市あたりから、雪が小止みになり、積雪もほとんどなくなったので、まあ大丈夫だろうと判断。
9時40分、成田空港に到着。
キャリーバッグの預け、ぎりぎりでセーフ。
ふ~、間に合った。
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搭乗口前の待合室で、今回、ご一緒する佐々木掌子さん(立教女学院短期大学専任講師:臨床心理学)と合流。
ANA10時50分発バンコク行き(NH953)に搭乗(飛行機はB767-300)。

今回のバンコク行きは、14日夜から18日まで、タイ・バンコクで開催される「WPATH(トランスジェンダーの健康のための世界専門職協会)2014 Symposium in Bangkok」に参加するため。
「WPATH 2014」は、「World Professional Association for Transgender Health(WPATHトランスジェンダーの健康のための世界専門職協会)」の2年に1度の世界大会で、23回目の今回は初めて欧米圏以外、アジアでの開催となる。
1年ほど前、何かの折に、東優子さん(大阪府立大学教授:社会学)に「順子さんをWPATHに連れていきたい」と誘っていただき、「バンコクなら(比較的近いから腰痛があっても)行けるかな?好きな街だし・・・」と、その気になった。
東さんとセックスワーカーの健康と福祉の活動家リリィさんは関西空港から深夜便で先発し、東京組はいろいろあって佐々木さんと私の2人だけ。
11時02分、離陸。
太平洋岸に大雪をもたらす発達中の低気圧の雲の上を飛んでいるので、下はずっと厚い雲。
しかも3400フィート(10363m)を飛んでいるのに、気流が悪く、ときどきかなり揺れる。
九州に差し掛かってやっと安定。
12時45分、鹿児島市上空を通過、対地速度は765km/s。
気流が安定したので昼食。
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洋食がカレーだったので(これから毎日食べるので)和食にしたのだが、なぜ「三元豚の焼肉重」にお蕎麦と饅頭がつくのか疑問。
13時35分、沖縄本島西北海上を通過。
少し雲に隙間ができてきた。
14時40分、台湾の最南端の鵝鑾鼻(がらんび)付近を通過して、バシー海峡から南シナ海に入る。
15時30分頃、やっと雲が切れて、青い海面が見えるようになった。
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ところが、インドシナ半島に近づくと、また雲がびっしり。
16時35分、ベトナムのダナン南方からインドシナ半島に入る。
16時45分、くっきした雲の境界(南北)を通過し、インドシナ半島の赤い大地が見えてきた。
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バンコク行きは3度目だが、いつもこの赤い土(ラテライト)を見ると、熱帯に来たことを実感する。
飛行機は東西の幅が無いべトナムを横切り、カンボジア北部をかすめるように通過して、タイ領内に入る。
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↑ 湖が見えたが人口湖(ダム湖)のようだ。
17時58分(日本時間)、バンコク・スワンナブーム国際空港に着陸。
フライト時間は6時間56分。
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ここで、時差(-2時間)を修正して、時計の針を2時間戻す(18時→16時)。
空港からホテルまでの交通機関は、タクシーか、鉄道(エアポートリンク)と高架鉄道(BMT)を乗り継ぐか。
2010年10月に開通したエアポートリンクには乗ったことがなかったのでちょっと惹かれたが、2人とも荷物が重いことを考えてタクシーを選択。
タクシーとなると、一般のタクシーか、リムジンか。
料金は3倍近く違うが、安全を考えてリムジンタクシーにする(1400バーツ、1バーツ≒3円)。
ところが、これが裏目。
「20分、待ってください」(え~、すぐ乗れないの?)
出口近くのベンチに腰掛けていると、外気が入ってくるので暑い。
夏仕様の服に着替えたいが、席を離れている間に車の準備ができるとまずいので、長袖のチュニックを腕まくりしただけで我慢。
結局、30分以上待たされて係員がやってきた。
外に出ると暑い! 一気に汗腺が開く感じ。
雪の東京とは気温差30度。
身体が対応できるだろうか?
16時50分、やっと乗車。
スワンナブーム空港はバンコクの東郊約25kmにある。
それに対して、ホテルはバンコクの西南部にあるので、都心を挟んで真反対。
リムジンなので言わなくても高速道路に乗ってくれて、その間は快適だったが、下道に降りてから夕方の渋滞につかまってしまった。
バンコクの道路渋滞はかなり深刻で、日本だと1970年代の状況に近いと思う。
渋滞した車の隙間をバイクがスラロームして行き、歩行者が無理やり横断するので事態がさらに悪化する。

18時30分、やっとRamada Menam Riverside Hotelに到着。
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チェックインしようとしたら、私の予約がややこしいことになっている。
パスポートの名義と通称名が違っているので、ダブルブッキング状態になっていた。
掌子さんが交渉して処理してくれたが、また10分ほどロス。
掌子さんが4階で、私が11階の部屋のカードキーを渡される。
ん?なんでそんなに離れる?

19時、お部屋に入る。
おおっ!
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デラックス・ツインではないですか。
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枕元の壁には大きな昔のバンコクの風景を描いた大きな壁画(模造)。
あとで、掌子さんが部屋を見に来て、「あたしの部屋はベッドは大きいけどシングルですよ。あたしが予約したのに! あっ、シャワースペースが別になってるぅ!」
掌子さんをなだめながら、125ドル(=12500円=37500バーツ)でこんな良い部屋でいいのか?と不安になる。

大急ぎで和装に着替え。
紺地に白と青緑で大きな芙蓉の花を染め出した綿絽(紫織庵)。
薄いクリーム色の吸い上げ暈しの麻の半襟を付けた半襦袢。
赤黒の半幅帯を文庫に結び、草色の夏の帯締を掛ける
柾目を浮き出した台に濃紺の麻の葉柄の鼻緒をすげた右近下駄(伊香保神社前・吉堅屋)。
赤地に手毬模様の手提げ袋。

19時半、ロビーで掌子さんと待ち合わせ。
「WPATH2014 Symposium in Bangkok」の会場のAnantara Bangkok Riverside Resort & Spaは、私たちが泊まっているRamada Menam Riverside Hotelからは、チャオプラヤー川(昔はメナム川と言っていた)を挟んだ下流の対岸にある。
(参加者が予定を上回り、会場のホテルに宿泊できなかった)
ホテルから会場へ行く舟があると聞いていたのだが、掌子さんがフロントに尋ねてくれるが、どうも要領を得ない。
やっと、20時に舟が出る(無料)らしいことがわかる。
で、どこから?
ボーイさんに場所を尋ねたが、肝心な所の英語が聞き取れない。
西欧の植民地支配を受けなかったタイ人は日本人と同様に英語は上手でない。
結局、親切なボーイさんが船着き場まで案内してくれる。
でも、上流の方を指さしてる。
私たちが行きたいのは下流なのに。
どうも直行便はなく、一度、上流に行って乗り継ぐらしい。
20時になっても舟は来ない。
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↑ ちょっと不安な日本娘。
10分遅れで舟が来た。。
「定時に来ると思っちゃあいけないのね」
「そうそう、ここは日本じゃなくタイなのよ」
10分足らず上流に遡り、舟着き場に着いた。
ここでやっとわかった。
リバーサイドにいくつもあるホテルの舟は、それぞれのホテルとこの渡し場(高架鉄道BMTシーロム線のサパーン・タクシン駅に連絡している)の間を往復しているのだ。
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で、私たちの目的地のAnantaraの舟は?
係員のおじさんに掌子さんが(以下、略)尋ねると「2分後に来るから、ここで待て」という返事。
長周期で揺れる浮桟橋なので、船酔いの兆候を感じ、岸壁に避難。
別の係員のおじさんに「Anantaraの舟はまだ?」尋ねると「20分後に来るよ」という返事。
結局、この舟着き場で20分以上待たされ、Anantaraの舟に乗り継げた。
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今度は下流に向かって10分ほど乗る。
20時50分、ようやくAnantara Bangkok Riverside Resort & Spa のリバーサイド・テラスで開催中の「WPATH2014」のWelcome Reception会場に到着(家を出てから16時間)。
お待たせしまった東さんに「やっと着きました」とハグ。
すぐに、東さんの浴衣の帯結びを直す。
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レセプションで浴衣を着るという東さんに「着いたら、着付けのお手伝いしますから」と安請け合いをしてしまった上に、遅れてしまい着付けを手伝えなかったのが、とても気になっていた。
思っていたより、ちゃんと着ていたので、良かったけど。
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やっと、ご飯にありつく。
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13時に機内食を食べた後、何も食べてなかったのでお腹ぺこぺこ。
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レセプション会場にいたのは1時間ほどだったけども、同じテーブルの方たちと挨拶。
疲れたけども、ともかく無事にバンコクに着けて、よかった。
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明日の本番、頑張ろう。
帰路は、会場で知り合ったあきこさんと3人でタクシー。
23時、Ramada Menam Riverside Hotelに戻る。
着物を脱いで、化粧を落として髪を崩し、ベッドに倒れる。
就寝、0時過ぎ。

ただいま~ぁ 「WPATH 2014」から帰国 [現代の性(WPATH 2014)]

2月19日(水)
14日の朝、吹雪の中、重い旅行バッグを曳きながら家を出て、常夏のバンコクへ(33度)。
14日夜から18日まで、タイ・バンコクで開催された「WPATH(トランスジェンダーの健康のための世界専門職協会)2014 Symposium in Bangkok」に参加してきました。
「WPATH 2014」は、「World Professional Association for Transgender Health(WPATHトランスジェンダーの健康のための世界専門職協会)」の2年に1度の世界大会で、23回目の今回は初めて欧米圏以外、アジアでの開催となり、世界各地から520名の参加者がありました。
今回の「WPATH 2014」の大きな特色は、UNDP(国際連合開発計画)、UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)、WHO(世界保健機関)、UNWOMAN(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)の支援でスペシャセッション・シリーズ(連続シンポジウム)「Trans People in Asia and the Pacific」が開催されたことです。
私は15日の午後に行われた「SESSION 1: Cultural, legal and social environments」で、日本のトランスジェンダーの歴史と現在について報告しました(写真1・2)。
(報告内容)
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-02-20-3
また。18日の午後には、UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)のインタビュー(広報用ビデオの撮影)をしてきました(写真3)。
ハードなスケジュールでしたが、いろいろ啓発されるところが多い有意義な会合でした。
そして、アジア・パシフックの仲間たちと交流できたのが、とてもうれしかったです。

そして19日0時45分にバンコク空港を発って、夜間フライトで7時38分に成田空港に着陸、10時40分、無事に自宅に戻りました。
いろいろ啓発されるところが多い有意義な会合でしたが、とてもハードなスケジュールで、加えて夜間フライトでほとんど眠れず、気温の激変にも対応できず、さすがに疲労困憊です。
ということで、会合の詳しい報告は、明日以降に・・・。
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15日、UNDP(国際連合開発計画)、UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)、WHO(世界保健機関)、UNWOMAN(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)主催の「Asian and Pacific trans community leaders working in health and rights」という会合の「SESSION 1: Cultural, legal and social environments」で、日本のトランスジェンダーの歴史と現在について報告
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同上。
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18日、UNAIDS(国際連合エイズ合同計画)のインタビュー(広報用ビデオの撮影)。
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19日、アジア・パシフック(フィリピン、インド、トンガ、タイ、香港、日本)の仲間たちと
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アジア・パシフックの仲間たちと(左から日本、香港、日本、ニュージーランド、マレーシア)

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