婚姻したままの性別変更、家裁で許可 [現代の性(性別越境・性別移行)]
9月6日(金)
異性婚の夫婦が同時に性別を変更すれば、夫婦が逆転しただけで異性婚のままで同性婚にならない。
トランスジェンダー同士の夫婦というレアなケースだが、「GID特例法」第3条1項2非婚非婚要件(現に婚姻していないこと)が「初めて突破された点で、画期的な判断。
しかし、非婚要件裁判の本筋は、女性と法律婚しているTrans-woman、男性と法律婚をしているTrans-manの性別変更が認められるか、否か。
トランスジェンダーの夫婦、結婚したまま性別変更 家裁が異例の判断
戸籍上の性別の変更を求めたトランスジェンダーの夫婦に対し、東日本の家裁が、ともに申し立てを認める判断をしたことがわかった。性同一性障害特例法には、性別変更の際、現在結婚していないことを求める「非婚要件」があり、結婚している当事者の性別変更を認めるのは極めて異例。
申立人は、2023年に結婚した東日本在住の2人で、アルバイトのトランス男性(戸籍は女性)と公務員のトランス女性(戸籍は男性)。今年5月、同じ日に申し立てたところ、家裁は併合して審理をした。
家裁は4日付の審判で、2人はともに18歳以上(年齢要件)▽未成年の子がいない(子なし要件)▽変更する性別の性器に似た外観を備えている(外観要件)――という特例法の要件は満たすが、「非婚要件に欠ける」と認めた。
ただ、20年3月の最高裁決定を踏まえ、非婚要件が設けられた前提には、夫婦の一方の性別を変更すると「同性婚の状態」が生じ、異性婚しか認めていない現在の「婚姻秩序」に混乱を生じさせかねないことへの配慮があると指摘した。
そのうえで、2人の場合、同時に性別変更の審判をすれば、同性婚の状態が生じる可能性はなく、非婚要件を欠いていても、変更を認めるのが相当と結論づけた。
性別変更の家事審判には民事裁判のように対立する当事者がいないため、性別変更を認めた今回の判断は確定する。他の裁判所を拘束する力はないが、同様の申し立てが広がる可能性がある。
識者「無用な離婚、迫らなかったが…」
性同一性障害特例法を巡っては、性別変更の要件の違憲性を指摘する司法判断が相次いでいる。生殖力の喪失を求めていた生殖不能要件について、最高裁が2023年10月、違憲・無効と判断。今年7月には広島高裁が外観要件について「手術が必須なら違憲の疑いがある」とした。
今回、焦点となったのは非婚要件だ。
夫婦の1人が性別変更を望む場合、離婚して変更するか、変更を断念して結婚を続けるかという選択を迫られる。
申立人のトランス男性は「私たちには、いったん離婚し、性別変更後に再婚する方法もあったが、あえて結婚したまま申し立てた。トランスジェンダーの家族のあり方を制約している非婚要件のおかしさを問いたかった」と語る。
審判は、夫婦の性別変更を認めたものの、非婚要件そのものに問題があるとは判断しなかった。京都産業大の渡辺泰彦教授(家族法)は「法律の文言通りに解釈せず、無用な離婚を迫らなかった点では評価できるが、根幹の問題は残ったままだ」と指摘する。
「同性婚の状態を防ぐ」として、非婚要件が設けられたのは03年。世界で初めてオランダで同性婚が実現した2年後で、多くの国に同様の規定があった。
だが、約20年たち、今年8月までに37の国・地域で同性婚が可能になった(マリッジフォーオールジャパン調べ)。日本でも同性婚を認めない民法などの規定は「違憲」「違憲の疑い」とする司法判断が続く。
今年7月には、結婚後に女性として暮らすようになったトランスジェンダーが戸籍上の性別変更を京都家裁に申し立て、非婚要件は「離婚を強制しており違憲・無効」などと訴える。今後、判断が出される見通しで、訴えが認められるまで闘い続けるという。(二階堂友紀)
『朝日新聞』2024年9月6日 6時00分
異性婚の夫婦が同時に性別を変更すれば、夫婦が逆転しただけで異性婚のままで同性婚にならない。
トランスジェンダー同士の夫婦というレアなケースだが、「GID特例法」第3条1項2非婚非婚要件(現に婚姻していないこと)が「初めて突破された点で、画期的な判断。
しかし、非婚要件裁判の本筋は、女性と法律婚しているTrans-woman、男性と法律婚をしているTrans-manの性別変更が認められるか、否か。
トランスジェンダーの夫婦、結婚したまま性別変更 家裁が異例の判断
戸籍上の性別の変更を求めたトランスジェンダーの夫婦に対し、東日本の家裁が、ともに申し立てを認める判断をしたことがわかった。性同一性障害特例法には、性別変更の際、現在結婚していないことを求める「非婚要件」があり、結婚している当事者の性別変更を認めるのは極めて異例。
申立人は、2023年に結婚した東日本在住の2人で、アルバイトのトランス男性(戸籍は女性)と公務員のトランス女性(戸籍は男性)。今年5月、同じ日に申し立てたところ、家裁は併合して審理をした。
家裁は4日付の審判で、2人はともに18歳以上(年齢要件)▽未成年の子がいない(子なし要件)▽変更する性別の性器に似た外観を備えている(外観要件)――という特例法の要件は満たすが、「非婚要件に欠ける」と認めた。
ただ、20年3月の最高裁決定を踏まえ、非婚要件が設けられた前提には、夫婦の一方の性別を変更すると「同性婚の状態」が生じ、異性婚しか認めていない現在の「婚姻秩序」に混乱を生じさせかねないことへの配慮があると指摘した。
そのうえで、2人の場合、同時に性別変更の審判をすれば、同性婚の状態が生じる可能性はなく、非婚要件を欠いていても、変更を認めるのが相当と結論づけた。
性別変更の家事審判には民事裁判のように対立する当事者がいないため、性別変更を認めた今回の判断は確定する。他の裁判所を拘束する力はないが、同様の申し立てが広がる可能性がある。
識者「無用な離婚、迫らなかったが…」
性同一性障害特例法を巡っては、性別変更の要件の違憲性を指摘する司法判断が相次いでいる。生殖力の喪失を求めていた生殖不能要件について、最高裁が2023年10月、違憲・無効と判断。今年7月には広島高裁が外観要件について「手術が必須なら違憲の疑いがある」とした。
今回、焦点となったのは非婚要件だ。
夫婦の1人が性別変更を望む場合、離婚して変更するか、変更を断念して結婚を続けるかという選択を迫られる。
申立人のトランス男性は「私たちには、いったん離婚し、性別変更後に再婚する方法もあったが、あえて結婚したまま申し立てた。トランスジェンダーの家族のあり方を制約している非婚要件のおかしさを問いたかった」と語る。
審判は、夫婦の性別変更を認めたものの、非婚要件そのものに問題があるとは判断しなかった。京都産業大の渡辺泰彦教授(家族法)は「法律の文言通りに解釈せず、無用な離婚を迫らなかった点では評価できるが、根幹の問題は残ったままだ」と指摘する。
「同性婚の状態を防ぐ」として、非婚要件が設けられたのは03年。世界で初めてオランダで同性婚が実現した2年後で、多くの国に同様の規定があった。
だが、約20年たち、今年8月までに37の国・地域で同性婚が可能になった(マリッジフォーオールジャパン調べ)。日本でも同性婚を認めない民法などの規定は「違憲」「違憲の疑い」とする司法判断が続く。
今年7月には、結婚後に女性として暮らすようになったトランスジェンダーが戸籍上の性別変更を京都家裁に申し立て、非婚要件は「離婚を強制しており違憲・無効」などと訴える。今後、判断が出される見通しで、訴えが認められるまで闘い続けるという。(二階堂友紀)
『朝日新聞』2024年9月6日 6時00分
「女性スペース法案」の疑問点 [現代の性(性別越境・性別移行)]
9月5日(木)
自民党有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」がまとめた「女性スペースは身体的特徴で」とする議員立法の法案要綱、現実問題として、自民党提案の議員立法法案として国会に提出するのは難しいと思うが、疑問点を指摘しておく。
① 日本の法制度では、法的な性別は、戸籍の「続柄」に基づくのが大原則。
それを、崩すことが可能なのか?
② そもそも「身体的特徴」を法的にどう定義し、それを誰がどのように担保するのか?
③ 「女性スペース」だけをことさらに保護し、「男性スペース」を保護しないのは、日本国憲法の大原則である「男女平等」に反しないか?
④ 性別適合手術を受けないで戸籍を男性から女性に変更した性同一性障害者は違法な存在ではない。
それをターゲットに生活の実際を規制する法律が許されるのか?
⑤ 2023年10月25日最高裁決定で示された、性同一性障害者にとって「性自認に従った法令上の性別の取扱いを受ける」ことが「重要な法的利益」という認定に反し、違憲立法になる可能性が高いのではないか?
------------------------------
自民・女性を守る議連「女性スペースは身体的特徴で」 法案の要綱了承、総裁選候補に訴え
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」で共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相=4日午後、自民党本部
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」で共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相=4日午後、自民党本部
自民党有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)は4日、党本部で会合を開き、公衆浴場や旅館の共同浴室の利用について、男女は身体的な特徴で区別すると定めた議員立法の法案要綱を了承した。党総裁選(12日告示、27日投開票)の候補者に示し、それぞれの政策への反映を求めていく。
要綱は公共の女性トイレやパウダールームなどの施設管理者に対し、女性の安全・安心の確保を図るため、施設の構造や設備に関わる対策、巡回、利用者の範囲に関する周知など必要な措置を講じるよう求めた。今後要綱をもとに部会などでの党内審議を目指す。
女性スペースの利用基準について、「心の性」ではなく、あくまで身体的特徴での区別を強調した背景には、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた「法的女性」が認められた場合などに備え、性自認は女性と主張する性犯罪目的の元男性らが女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
議連共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は、会合で「女性の安心・安全を1ミリたりとも損ねない。社会の安定秩序は守るべきだ」と述べた上で、「自民党が保守政党であるという前提で総裁選をやるならば、この話は(論戦に)かけてもらいたい」と強調した。
共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相も「男性器がある人が(女性用の)公衆浴場やトイレを利用するのではないか、女性の安心・安全を確保するための必要な法律を作ってくれという声が大きかった」と指摘し、「責任政党として、すべての女性の安心・安全、女子スポーツの公平性を保たなければならない」と語った。
『産経新聞』2024年9月4日 18:47
https://sankei.com/article/20240905-RVPMLVTZMNHXDIZF26NHZ66S64/
自民党有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」がまとめた「女性スペースは身体的特徴で」とする議員立法の法案要綱、現実問題として、自民党提案の議員立法法案として国会に提出するのは難しいと思うが、疑問点を指摘しておく。
① 日本の法制度では、法的な性別は、戸籍の「続柄」に基づくのが大原則。
それを、崩すことが可能なのか?
② そもそも「身体的特徴」を法的にどう定義し、それを誰がどのように担保するのか?
③ 「女性スペース」だけをことさらに保護し、「男性スペース」を保護しないのは、日本国憲法の大原則である「男女平等」に反しないか?
④ 性別適合手術を受けないで戸籍を男性から女性に変更した性同一性障害者は違法な存在ではない。
それをターゲットに生活の実際を規制する法律が許されるのか?
⑤ 2023年10月25日最高裁決定で示された、性同一性障害者にとって「性自認に従った法令上の性別の取扱いを受ける」ことが「重要な法的利益」という認定に反し、違憲立法になる可能性が高いのではないか?
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自民・女性を守る議連「女性スペースは身体的特徴で」 法案の要綱了承、総裁選候補に訴え
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」で共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相=4日午後、自民党本部
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」で共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相=4日午後、自民党本部
自民党有志議員でつくる「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)は4日、党本部で会合を開き、公衆浴場や旅館の共同浴室の利用について、男女は身体的な特徴で区別すると定めた議員立法の法案要綱を了承した。党総裁選(12日告示、27日投開票)の候補者に示し、それぞれの政策への反映を求めていく。
要綱は公共の女性トイレやパウダールームなどの施設管理者に対し、女性の安全・安心の確保を図るため、施設の構造や設備に関わる対策、巡回、利用者の範囲に関する周知など必要な措置を講じるよう求めた。今後要綱をもとに部会などでの党内審議を目指す。
女性スペースの利用基準について、「心の性」ではなく、あくまで身体的特徴での区別を強調した背景には、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた「法的女性」が認められた場合などに備え、性自認は女性と主張する性犯罪目的の元男性らが女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
議連共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は、会合で「女性の安心・安全を1ミリたりとも損ねない。社会の安定秩序は守るべきだ」と述べた上で、「自民党が保守政党であるという前提で総裁選をやるならば、この話は(論戦に)かけてもらいたい」と強調した。
共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相も「男性器がある人が(女性用の)公衆浴場やトイレを利用するのではないか、女性の安心・安全を確保するための必要な法律を作ってくれという声が大きかった」と指摘し、「責任政党として、すべての女性の安心・安全、女子スポーツの公平性を保たなければならない」と語った。
『産経新聞』2024年9月4日 18:47
https://sankei.com/article/20240905-RVPMLVTZMNHXDIZF26NHZ66S64/
「性別不合に関する診断と治療のガイドライン」 [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月29日(木)
日本精神神経学会の性別不合に関する委員会と日本GI(性別不合)学会合同による「性別不合に関する診断と治療のガイドライン」が公表された。
https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=23
ICD-11の施行(2022年1月1日)から2年8カ月、ようやく、日本でも「性同一性障害」という病名が消えた。
残るは「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」。
当然のことながら、次の改正では「性同一性障害」は消え、「性別不合」に置き換わることになる。
日本精神神経学会の性別不合に関する委員会と日本GI(性別不合)学会合同による「性別不合に関する診断と治療のガイドライン」が公表された。
https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=23
ICD-11の施行(2022年1月1日)から2年8カ月、ようやく、日本でも「性同一性障害」という病名が消えた。
残るは「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」。
当然のことながら、次の改正では「性同一性障害」は消え、「性別不合」に置き換わることになる。
「性転換手術」や「転性手術」は歴史的用語 [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月23日(金)
私は「性転換手術」や「転性手術」は歴史的用語だと考えるので、使う場合は、必ず「」(鉤括弧)を付けるようにしている。
しかし、「性別適合手術」が「正しい用語」とする考えには同意できない。
むしろ、誤訳に近い意訳だと考えている。
なぜなら、「Sex Reassignment Surgery」の「Reassignment」には「適合させる」の意味はないから
だ。
学術的な適訳は「性別再指定手術」もしくは「性別再割り当て手術」だと考える。
1955年設定のドラマの台詞について「性別適合手術と言うべきだ」みたいな主張をする「活動家」がいるが、「頭、大丈夫?悪い虫、わいてない?」と心配になる。
「性別適合手術」なんて言葉は、1955年には影も形もないのだよ。
私は「性転換手術」や「転性手術」は歴史的用語だと考えるので、使う場合は、必ず「」(鉤括弧)を付けるようにしている。
しかし、「性別適合手術」が「正しい用語」とする考えには同意できない。
むしろ、誤訳に近い意訳だと考えている。
なぜなら、「Sex Reassignment Surgery」の「Reassignment」には「適合させる」の意味はないから
だ。
学術的な適訳は「性別再指定手術」もしくは「性別再割り当て手術」だと考える。
1955年設定のドラマの台詞について「性別適合手術と言うべきだ」みたいな主張をする「活動家」がいるが、「頭、大丈夫?悪い虫、わいてない?」と心配になる。
「性別適合手術」なんて言葉は、1955年には影も形もないのだよ。
NHK朝ドラ「虎に翼」に中村中さん出演 [現代の性(性別越境・性別移行)]
映画『ブルーボーイ事件』 [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月17日(土)
飯塚花笑監督の最新作映画『ブルーボーイ事件』が撮影完了との情報。
日本の「性転換手術」の歴史の大きな転換点になった事件の初の本格的な映画化。
試写をみせてもらうのが楽しみ。
「ブルーボーイ事件」(1965年立件、1970年有罪確定)以前の「性転換手術」はまったく問題にされていない。
また以後に国内で行われた「性転換手術」も1つも立件されていない。
つまり、刑事事件になったのは「ブルーボーイ事件」が唯一。
飯塚花笑監督の最新作映画『ブルーボーイ事件』が撮影完了との情報。
日本の「性転換手術」の歴史の大きな転換点になった事件の初の本格的な映画化。
試写をみせてもらうのが楽しみ。
「ブルーボーイ事件」(1965年立件、1970年有罪確定)以前の「性転換手術」はまったく問題にされていない。
また以後に国内で行われた「性転換手術」も1つも立件されていない。
つまり、刑事事件になったのは「ブルーボーイ事件」が唯一。
「性自認至上主義」は妄説 [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月15日(木)
自分が主張する性別(性自認)が、そのまま社会で通用するなら、性別越境者は誰も苦労しない。
そう簡単な話でないことは、少しでも社会経験がある性別越境者なら誰でもわかっている。
個々人のジェンダー・アイデンティティは尊重されるべきだが、性自認をそのまま社会的性別として通用させるのは、現実としてきわめて困難。
はっきり言って「性自認至上主義」は、よほど世間知らずの「活動家」の妄言(たわごと)。
性別越境の当事者性がある人は、自己決定と性他認の両方を意識して、自分なりの着地点を見つけていると思う。
「性自認至上主義」を振り回すのは、シスジェンダーの「活動家」、とりわけGに目立つように思う。
せめて、性別認識論の起訴くらいは学んで欲しい。
自分が主張する性別(性自認)が、そのまま社会で通用するなら、性別越境者は誰も苦労しない。
そう簡単な話でないことは、少しでも社会経験がある性別越境者なら誰でもわかっている。
個々人のジェンダー・アイデンティティは尊重されるべきだが、性自認をそのまま社会的性別として通用させるのは、現実としてきわめて困難。
はっきり言って「性自認至上主義」は、よほど世間知らずの「活動家」の妄言(たわごと)。
性別越境の当事者性がある人は、自己決定と性他認の両方を意識して、自分なりの着地点を見つけていると思う。
「性自認至上主義」を振り回すのは、シスジェンダーの「活動家」、とりわけGに目立つように思う。
せめて、性別認識論の起訴くらいは学んで欲しい。
政局と「GID特例法」改正の見通し [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月14日(水)
秋の政治スケジュールは、おそらくこんな感じ。
9月 自民党総裁選挙、新総裁を選出。
10月 臨時国会冒頭で岸田内閣総辞職、新首班指名。
11月 ご祝儀支持率が下がらないうちに衆議院解散・総選挙。
ということで、秋の臨時国会は審議時間が乏しい。
「活動家」が主張する「GID特例法」の早期の(拙速な)改正は困難で、審議入りは、早くても来年の通常国会(1~6月)になると思われる。
政権交代がなければ(ないと思う)、「GID特例法」の改正は、すでに報道されている自民・公明党の委員会の「方向性」が基本になるはず。
つまり、3条1項4号(生殖機能喪失要件)は削除決定的、5号(外性器形態近似要件)も削除の方向。·
『情況』2024年8月号掲載の論考でも指摘したが、難題は、性別不合の診断書の信頼度を高める方策。
「医師法」の規定(医師なら誰でも診断書を書ける)との兼ね合いが難しい。
しかし、ここをちゃんとしないと、法改正の意味が大きく損なわれる。
私見では、現在、任意団体である「GI学会」が行っている専門医の認定を、法人格がある学会にスライド(格上げ)して公的な性格をもたせた上で、診断書の書き手を認定医に限定するしかないと思う。
となると、法改正にはさらに時間がかかるかもしれない。
その結果、法律と裁判所の判例が齟齬する状態が長引き、判例に従った比較的緩い運用が続くことになるだろう。
秋の政治スケジュールは、おそらくこんな感じ。
9月 自民党総裁選挙、新総裁を選出。
10月 臨時国会冒頭で岸田内閣総辞職、新首班指名。
11月 ご祝儀支持率が下がらないうちに衆議院解散・総選挙。
ということで、秋の臨時国会は審議時間が乏しい。
「活動家」が主張する「GID特例法」の早期の(拙速な)改正は困難で、審議入りは、早くても来年の通常国会(1~6月)になると思われる。
政権交代がなければ(ないと思う)、「GID特例法」の改正は、すでに報道されている自民・公明党の委員会の「方向性」が基本になるはず。
つまり、3条1項4号(生殖機能喪失要件)は削除決定的、5号(外性器形態近似要件)も削除の方向。·
『情況』2024年8月号掲載の論考でも指摘したが、難題は、性別不合の診断書の信頼度を高める方策。
「医師法」の規定(医師なら誰でも診断書を書ける)との兼ね合いが難しい。
しかし、ここをちゃんとしないと、法改正の意味が大きく損なわれる。
私見では、現在、任意団体である「GI学会」が行っている専門医の認定を、法人格がある学会にスライド(格上げ)して公的な性格をもたせた上で、診断書の書き手を認定医に限定するしかないと思う。
となると、法改正にはさらに時間がかかるかもしれない。
その結果、法律と裁判所の判例が齟齬する状態が長引き、判例に従った比較的緩い運用が続くことになるだろう。
「キャンセル」するならご勝手に [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月13日(火)
私は、性自認は当事者にとっては重要であっても、社会における性別認識においては万能ではないと考える。
その点で、性自認を過剰に重視した主張をする「活動家」諸氏とは、考えが異なる、
また、ジェンダー・アイデンティティとは、性自認(自己が主張する性別認識)と性他認(他者から与えられる性別認識)と複雑なフィードバックの結果、形成されるものと考えるので、性自認=ジェンダー・アイデンティティとは考えていない。
そうして形成されたジェンダー・アイデンティティであっても、なお主観的要素が強いことは否めない。
したがって、ジェンダーアイデンティティを安易に法制度のベースにすることには慎重でありたい。
ジェンダーアイデンティティの継時性と安定性の判定が重要になる、
こういう考え方が、「活動家」諸氏の意に沿わないことは、私もよく分かっている。
しかし、自分の考えを変える気はないし、「活動家」に忖度する気もない。
キャンセルするなら、どうぞご勝手に。
私は、性自認は当事者にとっては重要であっても、社会における性別認識においては万能ではないと考える。
その点で、性自認を過剰に重視した主張をする「活動家」諸氏とは、考えが異なる、
また、ジェンダー・アイデンティティとは、性自認(自己が主張する性別認識)と性他認(他者から与えられる性別認識)と複雑なフィードバックの結果、形成されるものと考えるので、性自認=ジェンダー・アイデンティティとは考えていない。
そうして形成されたジェンダー・アイデンティティであっても、なお主観的要素が強いことは否めない。
したがって、ジェンダーアイデンティティを安易に法制度のベースにすることには慎重でありたい。
ジェンダーアイデンティティの継時性と安定性の判定が重要になる、
こういう考え方が、「活動家」諸氏の意に沿わないことは、私もよく分かっている。
しかし、自分の考えを変える気はないし、「活動家」に忖度する気もない。
キャンセルするなら、どうぞご勝手に。
パリ五輪女子ボクシングの「性別問題」 [現代の性(性別越境・性別移行)]
8月1日(木)
パリ五輪の女子ボクシング66kg選手に出場して「トランスジェンダーが女子選手をボコボコにした」と批判されているイマネ・ケリフ選手(アルジェリア)は、男性→女性のトランスジェンダーではない。
ケリフ選手は2021東京五輪にも出場している(準々決勝で敗退)。
この時には、なにも問題になっていない。
しかし、2023年の世界選手権で、「女子選手」失格となっているので、性分化疾患(DSDs)の可能性がある。
DSDsの機序は複雑で、性染色体がXY型でも身体的に女性型であることもある。
トランスジェンダーと性分化疾患の問題は分けて考える必要がある。
本来なら、国際競技団体であるIBA(国際ボクシング協会)の判断(「女子選失格失格)が優先されるべきだが、IBAがガバナンス問題などで、パリ五輪の競技運営権を失っているという事情が背景にある。
一方、IOC(国際オリンピック委員会)は、IBAの判断を無視して、パスポートの性別記載だけで、女子競技への参加を許可してしまった。
混乱の背景には、こうした競技運営権の混乱がある。
パリ五輪の女子ボクシング66kg選手に出場して「トランスジェンダーが女子選手をボコボコにした」と批判されているイマネ・ケリフ選手(アルジェリア)は、男性→女性のトランスジェンダーではない。
ケリフ選手は2021東京五輪にも出場している(準々決勝で敗退)。
この時には、なにも問題になっていない。
しかし、2023年の世界選手権で、「女子選手」失格となっているので、性分化疾患(DSDs)の可能性がある。
DSDsの機序は複雑で、性染色体がXY型でも身体的に女性型であることもある。
トランスジェンダーと性分化疾患の問題は分けて考える必要がある。
本来なら、国際競技団体であるIBA(国際ボクシング協会)の判断(「女子選失格失格)が優先されるべきだが、IBAがガバナンス問題などで、パリ五輪の競技運営権を失っているという事情が背景にある。
一方、IOC(国際オリンピック委員会)は、IBAの判断を無視して、パスポートの性別記載だけで、女子競技への参加を許可してしまった。
混乱の背景には、こうした競技運営権の混乱がある。