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1929年(昭和4年)の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)1~10位 [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]

2月4日(火)

1929年(昭和4年)の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)

1位は大阪府。
娼妓数7403人で、人口1万人あたり 20.91人。
いずれも全国最多。
日本最大の遊廓も大阪市西区の「松島遊廓」(娼妓数3725人)。
次いで、南区「五花街」の1094人、西成区「飛田遊廓」1065人、西区「新町」622人と続く。

大阪市以外では、堺市の「栄橋」の648人が最多。
他には、南部の貝塚と北部の枚方だけで、大阪市内への集中度が高い。

当時の大阪は日本最大の「商都」であると同時に「娼都」だった。

2位は京都府。
娼妓数3242人、人口1万人あたりは、大阪府にわずかに及ばない20.88人。
最大は下京「七条新地」で、娼妓数988人。
次いで上京「北新地」の470人、下京「宮川町」の314人「祇園乙部」の262人、「島原」の237人と続く。
京都市外では伏見「中書島」が234人。
日本海側では、海軍の軍港がある舞鶴が「朝代」53人、「加津良」78人、「猪崎」(行政区分は天田郡庵我村)127人、「龍宮」205人で、4地区合わせて463人。

大阪、京都という関西の大都市圏が上位を占める。
人口あたりの娼妓数は、東京府のほぼ倍。
関西は、買売春という行為の社会的比重が高かったということ。

3位は沖縄県。
娼妓数1032人、人口1万人あたり17.85人。
那覇の「辻遊廓」に1点集中。
「辻」は単独遊廓として全国8位の規模。

ただし、沖縄の買売春の形態は「本土」とかなり異なる。
娼家には娘が2人(多くは養女)がいて、そこに複数の男性が通い供応(共同飲食、芸能、性交渉)を受ける。
客になるには事前に紹介が必要で、どちらの娘の客になるかが決められる。
フリの客は受けない。
擬似的な一妻多夫形態といえる。

1929年のデータは、貸座敷516軒、娼妓1032人で、きれいに1軒あたり2人になっている。

4位は神奈川県。
娼妓数2637人、人口1万人あたり16.28人。
最大は、幕末開港の「港崎遊廓」の系譜を引く横浜市「永真遊廓」で、真金町と永楽町を合わせて娼妓数1501人で、全国4位相当になる。
次いで、海軍の軍港・横須賀の「柏木田遊廓」で娼妓数343人。

川崎、神奈川、保土ケ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、小田原と、東海道の宿場起源の貸座敷指定地も多い。
結果、人口当たりの娼妓数は東京府の1.5倍。

5位は三重県。
娼妓数1832人、人口1万人あたり15.83人。
最多は、東海道の宿場で港の桑名(娼妓数156人)。
次いで、江戸時代以来、伊勢参宮の客を集めた宇治山田市の「古市遊廓」(娼妓数135人)。
伊勢神宮の地元である宇治山田は、古市も含め市内4箇所で娼妓数361人で、実質的にはここが最大。

四日市(83+9人)、石薬師(32人)、関(20人)などの東海道の宿場、久居(47人)、松坂(愛宕町134人、川井町109人)などの伊勢参宮道沿いん人ん人(101人)、亀山(75人)、伊賀上野(70人)などの城下町、さらに鳥羽(60人)、的矢(8+17人)、中井浦(58人)など志摩の漁港など、県内まんべんなく貸座敷指定地があり、指定地33箇所は、北海道に次いで全国2位。

買売春活動が活発な土地柄だったことを思わせる。

6位は広島県。
娼妓数1949人、人口1万人あたり11.52人。
県都広島市は「西廓」(船入町)と「東廓」(下柳町)を合わせて娼妓数618人。
次いで、海軍の軍港・呉市「旭遊廓」で娼妓数590人。

東部(旧・備後国)の城下町・福山市「新町遊廓」は娼妓数99人。
指定地のほとんどは、尾道(112人)など瀬戸内海航路の港町。
内陸部の三次などには指定地はない。

7位は東京府。
娼妓数5778人、人口1万人あたり10.68人。
娼妓の人数は大阪府に次いで全国2位だが、人口が多いのでこのランクになる。

「権現様(徳川家康)のお許し」「江都唯一」の格式を誇る「新吉原遊廓」(娼妓数2362人)、幕末のどさくさに公許された「根津遊廓」が1888年に東京湾岸の埋立地に移転した「洲崎遊廓」(娼妓数1937人)が二大遊廓で、それぞれ全国2位、3位の規模。

貸座敷指定地は9箇所。
新吉原、洲崎に、五街道の最初の宿場である「四宿」(品川、板橋、千住、内藤新宿)、甲州街道の宿場(調布、府中、八王子)を加えた9箇所という構造は、明治6年(1873)の貸座敷指定以来、変化はない。

おそらく、膨張する大東京の人口を背景にした買春需要に対応できていない。
結果、玉ノ井、亀戸などの私娼街が繁栄することになる。

8位は山口県。
娼妓数1174人、人口1万人あたり10.34人。
東京府とほぼ同レベル。
瀬戸内海航路の要所・下関市は市内7箇所の指定地合わせて、娼妓数527人で一大売春地帯になっている。

貸座敷指定地は27箇所で全国3位。
柳井「石原遊廓」77人、宇部「老松遊廓」76人、防府68人、徳山56人など瀬戸内海航路の港町に多い。
内陸部では、県庁所在地の山口市が娼妓数137人。
日本海側では、長州藩の城下町・萩「弘法寺遊廓」が54人。

9位は長崎県。
娼妓数2248人、人口1万人あたり9.65人。
大貿易港・長崎市は「出雲町」(娼妓数370人)、「稲佐町」(291人)、「戸町」(213人)を中心に、合わせて1149人。
江戸時代以来の伝統がある「丸山遊廓」は62人で、すでに衰退している。

次いで、海軍の軍港・佐世保(行政区は東彼杵郡早岐村)「田子の浦遊廓」の590人。
指定地は23箇所で、全国5位。
島嶼部を含め津々浦々にある印象。
島嶼部では、対馬・厳原「立亀遊廓」の75人が目立つ。

10位は福井県。
娼妓数542人、人口1万人あたり8.77人。

最大は県都・福井市「玉井町遊廓」の146人。
次いで、敦賀「東」97人、武生「新町」96人、大野「山王」65人、鯖江「弁天」55人、三国「出村」35人、小浜「三丁目」34人と続く。

人口が少ない県なので、各遊廓の規模は小さいが、各地域にまんべんなく指定地がある印象。

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1929年(昭和4年)の全国(47道府県)の遊廓 [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]

2月3日(月)

1929年(昭和4年)の全国(47道府県)の遊廓(植民地を含まず)

貸座敷指定地 528箇所
貸座敷    10828軒 
登録娼妓   49458人 

総人口(1930年)6445.0万人
貸座敷1軒あたりの娼妓の人数 4.568人
人口1万人あたりの娼妓の人数 7.674人

これだけの数字を算出するのに3日かかった(笑)
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