松岡正剛先生、ありがとうございました [訃報・追悼]
8月21日(水)
編集家・書評家の松岡正剛さんの訃報を秘書の方からの電話連絡で知る。
8月12日に旅立たれたとのこと。
80歳だった。
1年ほど前、久しぶりに電話でお話しした時、お声のかすれが心配だった。
お別れが遠くない予感はあったが、それでもとても悲しい。
松岡さんとの出会いは、1998年の日本文化デザイン会議(秋田)だった。
松岡さん主宰・司会の座談会「男が男を好きになる」のメンバーとして呼んでいただいた。
その後も、松岡さんの講演会「連塾」やパーティなどのイベントに呼んでいただいた。
松岡さんのイベントの参加費はけっこう高いので、当時の私には参加できるような金額ではなかったが、いつも大幅割り引きで招いてくださった。
正直言うと、なぜそこまで目を掛けてくださったのか、よくわからない。
松岡さんのイベントでいろいろな方に紹介していただいた。
江戸文化論の大家・田中優子先生、新右翼「一水会」のさん、書家の小宮求茜さん、そして美輪明宏さん。
そうした著名な方たちとの出会いは、私がトランスジェンダーとして世に出て行く上で、勇気を与えていただいた。
2008年秋、私の最初の著書『女装と日本人』(講談社現代新書)が刊行されると、とても喜んでくださり、古今東西の名著の書評企画「千夜千冊」の第1274夜に取り上げてくださった。
とても名誉に思い、そしてうれしかった。
https://1000ya.isis.ne.jp/1274.html
一方で、「最初の著書で『千夜千冊』入りなんて」「ニューハーフ崩れごときの本が」という声も聞こえてきた。
それはともかく、『女装と日本人』は、刊行から16年が経つにもかかわらず、新陳代謝の激しい新書世界で、絶版になることなく、細々ながら売れ続けている。
これも松岡さんの評価のお陰だと、ありがたく思っている。
2022年に3冊目の著書『歴史の中の多様な「性」』(岩波書店)を刊行したとき、帯の推薦文をお願いした。
「先生、私もやっと岩波から単著を出せるところまで来ました」という恩返しのつもりだった。
最後にお話したのは、昨年2023年9月に刊行された『性の境界』(角川ソフィア文庫)に、「千夜千冊」1274夜が再録されることになり、私の近影を提供したことへの、お礼の電話だった。
「また会って話しましょう」とおっしゃってくださったが、かなわず、とても残念だ。
実は、訃報を知ったとき、私は滋賀県の「大津市歴史資料館」にいた。
そこは、松岡さんと縁が深い三井寺(園城寺)のすぐ隣だった。
不思議な因縁を感じ、三井寺の山門の前に戻り、合掌して、ご冥福を祈った。
松岡先生、ほんとうにいろいろ、ありがとうございました。
私は、もう少し頑張って、あと2~3冊、書くつもりです。
天上から、ご覧になっていてください。
編集家・書評家の松岡正剛さんの訃報を秘書の方からの電話連絡で知る。
8月12日に旅立たれたとのこと。
80歳だった。
1年ほど前、久しぶりに電話でお話しした時、お声のかすれが心配だった。
お別れが遠くない予感はあったが、それでもとても悲しい。
松岡さんとの出会いは、1998年の日本文化デザイン会議(秋田)だった。
松岡さん主宰・司会の座談会「男が男を好きになる」のメンバーとして呼んでいただいた。
その後も、松岡さんの講演会「連塾」やパーティなどのイベントに呼んでいただいた。
松岡さんのイベントの参加費はけっこう高いので、当時の私には参加できるような金額ではなかったが、いつも大幅割り引きで招いてくださった。
正直言うと、なぜそこまで目を掛けてくださったのか、よくわからない。
松岡さんのイベントでいろいろな方に紹介していただいた。
江戸文化論の大家・田中優子先生、新右翼「一水会」のさん、書家の小宮求茜さん、そして美輪明宏さん。
そうした著名な方たちとの出会いは、私がトランスジェンダーとして世に出て行く上で、勇気を与えていただいた。
2008年秋、私の最初の著書『女装と日本人』(講談社現代新書)が刊行されると、とても喜んでくださり、古今東西の名著の書評企画「千夜千冊」の第1274夜に取り上げてくださった。
とても名誉に思い、そしてうれしかった。
https://1000ya.isis.ne.jp/1274.html
一方で、「最初の著書で『千夜千冊』入りなんて」「ニューハーフ崩れごときの本が」という声も聞こえてきた。
それはともかく、『女装と日本人』は、刊行から16年が経つにもかかわらず、新陳代謝の激しい新書世界で、絶版になることなく、細々ながら売れ続けている。
これも松岡さんの評価のお陰だと、ありがたく思っている。
2022年に3冊目の著書『歴史の中の多様な「性」』(岩波書店)を刊行したとき、帯の推薦文をお願いした。
「先生、私もやっと岩波から単著を出せるところまで来ました」という恩返しのつもりだった。
最後にお話したのは、昨年2023年9月に刊行された『性の境界』(角川ソフィア文庫)に、「千夜千冊」1274夜が再録されることになり、私の近影を提供したことへの、お礼の電話だった。
「また会って話しましょう」とおっしゃってくださったが、かなわず、とても残念だ。
実は、訃報を知ったとき、私は滋賀県の「大津市歴史資料館」にいた。
そこは、松岡さんと縁が深い三井寺(園城寺)のすぐ隣だった。
不思議な因縁を感じ、三井寺の山門の前に戻り、合掌して、ご冥福を祈った。
松岡先生、ほんとうにいろいろ、ありがとうございました。
私は、もう少し頑張って、あと2~3冊、書くつもりです。
天上から、ご覧になっていてください。