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収容中のトランス女性、ホルモン療法できず [現代の性(性別越境・性別移行)]

6月27日(木)

神奈川弁護士会 Good job!

この人物(被告)は、性同一性障害の診断を受け、性腺も摘出しているので、2016年の政府の国会答弁「医師がホルモン療法を必要と認める場合は、国の責務として行われる」に相当するはず。

専門医の診察と適切な投薬を行わないのは、拘置所の怠慢。

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収容中のトランス女性、ホルモン療法できず  弁護士会「人権侵害」

横浜拘置支所(横浜市港南区)が、トランスジェンダー女性の収容者に対し、主治医に確認するなどせずホルモン療法を受けさせなかったのは人権侵害だとして、神奈川県弁護士会が同支所に対し、今後は治療の経過や専門的知見を十分に踏まえて、医学的な措置の必要性を判断するよう勧告した。

同弁護士会によると、勧告は13日付。このトランスジェンダー女性は幼少期から男性とされることに違和感を覚え、1995年5月ごろから女性ホルモン剤を注射してきた。訴えによると、同支所に収容された2021年6月~8月ごろ、女性ホルモン補充療法を受けさせてほしいと頼んでも受けることができず、理由を尋ねても「不開示」と言われ、教えてもらえなかった。ホルモン療法を受けられなかった影響で、下腹部の痛みや息苦しさなどの症状が出たという。

同支所は同弁護士会の照会に対し、ホルモン療法の必要性について、主治医へ確認はしていないと回答。医師による診察は受けさせたと回答したが、性別不合の専門性がある医師だったかについては明確に答えなかった。

同支所は取材に対し、「性同一性障害者等の処遇にあたっては、個々の事情に応じて適切な配慮を行っているところであり、今後とも適切な処遇に努めてまいります」とコメントした。(中嶋周平)

『朝日新聞』2024年6月26日 21時16分

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「トランス女性」にホルモン療法せず 神奈川県弁護士会が人権侵害と横浜拘置支所に勧告

トランスジェンダー女性の入所者にホルモン療法を行わなかったのは人権侵害に当たるとして、神奈川県弁護士会は26日、横浜拘置支所(横浜市港南区)に専門的知見を踏まえて判断するよう勧告したと発表した。

勧告書によると、人権救済を申し立てたのは40代のトランス女性。戸籍上は男性だが、性同一性障害と診断され、女性ホルモンの注射を受けるほか、生殖腺を摘出している。

2021年2月に都筑署に逮捕され、6月に横浜拘置支所に移送された。署は主治医の意見に基づいてホルモン剤を投薬したが、支所は主治医に確認を取らず、支所の医師の判断でホルモン療法を行わなかった。

刑事施設に収容されたトランスジェンダーらの処遇を巡っては、政府が16年、質問主意書に対する答弁書で「医師がホルモン療法を必要と認める場合は、国の責務として行われる」という見解を示している。これを踏まえ、勧告では性同一性障害の専門性を有する主治医に確認しなかった拘置支所の対応を問題視。「性自認が尊重される権利などを侵害した」と結論付けた。

支所は取材に「性同一性障害者の処遇にあたっては、個々の事情に応じて適切な配慮を行っている」とコメントした。

県弁護士会はあわせて、横浜刑務所が20年7月、医師の判断を仰がずに収容者の薬を取り上げたことについて、医療を受ける権利を不当に侵害したと認定し、警告したと発表した。(森田真奈子)

『東京新聞』2024年6月27日 07時00分

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自民党の「性的マイノリティに関する特命委員会」の報告書 [現代の性(性別越境・性別移行)]

6月27日(木)

自民党の「性的マイノリティに関する特命委員会」の性別変更の要件を定めた性同一性障害特例法改正の方向性を記した報告書の概要があきらかになった。

2023年10月25日最高裁「違憲」決定を踏まえると、「GID特例法」改正の落とし所は、それほど広くない。

現行の3条1項4号(生殖機能喪失要件)の削除は決定、5号(外性器近似要件)は、建前的には広島高裁の判断待ちだが、実際は違憲判断が想定されるので、ほぼ削除が確実。

3号(現に未成年の子がないこと要件)は、6月21日の最高裁判決で実質性が失われ、もともと合理性に乏しい要件なので削除の方向。

つまり現行の5要件で残るのは、1号(成人要件)と2号(非婚要件)のみとなる見通し。

手術要件(4+5号)の削除に代わる新たな要件として、性別移行の実質性の担保、興味本位の乱用への対策として、「「性別不合」が一定期間続き、性自認に基づき社会生活を送っていること」を加えることは、与党(自民+公明党)内でほぼ合意していると思われる。

今後の議論のポイントは、この「経過観察要件」の「一定期間」をどの程度にするか?

自民党内には「10年」とする意見もあるようだが、それでは、おそらく「違憲」になる。

専門家の意見を踏まえれば、3~1年の範囲だろう。

加えて、「性別不合」診断について、「医師の診断の適切性を確保する」方策が議論ポイントになる。

これは、いわゆる「即席診断」を防止する意味で必要だと思うが、医師法(診断書は医師なら誰でも書ける)との絡みあってなかなか難しい。

私見では、「性別不合」の状態にあることは、枠組み(前提)ではなく、要件の1つにすべきだと考えるが、自民+公明案では、そうはならないだろう。

したがって、名称も現行を踏襲して「性別不合の状態にある者の性別の取扱いの特例に関する法律」になると思う。

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性別変更に新要件提起 自民報告書、特例法改正で

自民党の性的マイノリティに関する特命委員会は27日までに、性別変更の要件を定めた性同一性障害特例法改正の方向性を記した報告書をまとめた。生殖能力要件を憲法違反とした昨年10月の最高裁決定を踏まえ、生殖能力要件を削除するとともに、外観要件にかわる新たな要件を規定すべきだと提起した。同日の党政調審議会に報告した。

報告書によると、外観要件にかえて、心と体の性が一致しない「性別不合」が一定期間続き、性自認に基づき社会生活を送っていることを新要件とした。医師の診断の適切性を確保するための措置も求めた。

「共同通信」2024年6月27日(木) 11:50配信
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