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「GID学会」1日目(その5:勝手に懇親会) [現代の性(性別越境・性別移行)]

3月25日(土) 
GID学会(1日目)

19時、富士山駅の隣のビルの九州料理「かば屋」で、西田彩さんのお世話で(勝手に)懇親会。

「コロナ禍」前の「GID学会」では、まず、公式の懇親会があって、その後、二次会的に私的な懇親会に流れるパターンだったが、今回は公式の懇親会が設けられなかったので、こうなった。

参加者は30数人か。

私は、久しぶりに針間克己先生、康純先生、土肥いつきさん、倉嶋麻理奈さんらと懇談。
針間先生の「すとぷり(すとろべりーぷりんす)症候群」の話がとても興味深い(ブログに書いてください)。

今回、「GID学会」初参加の『トランスジェンダー問題』の訳者・高井ゆと里さん(群馬大学情報学部准教授:哲学)の隣に移動して、初参加の感想をうかがう。
「すごい世界ですねぇ」
まあ、そうだろう。
人文系の、ジェンダー問題に真っ当な見識がある研究者だったら、そう思うのが当然。
お医者さんの世界って、そういう意味では、かなりとんでもない世界なのだ。
そうした中で、針間先生や康先生は、とても真っ当な感性の先生なのだと思う。

22時、散会。
駅前にタクシーがいない。
15分ほど待って、運良く空車が来て、今夜のお宿「富士通オフィシャルホテル ハイランドリゾート」へ。
1人で寝るのが、もったいないようなお部屋。
IMG_4515.jpg
23時、就寝。


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「GID学会」1日目(その4:特別講演と一般演題5) [現代の性(性別越境・性別移行)]

3月25日(土) 
GID学会(1日目)

【特別講演】
小川洋一(山梨大学医学部皮膚科学教室)「ヒト正常皮膚を用いた皮膚免疫細胞の検討」
性別適合手術で不要になったペニスの包皮を使った研究。
豊富な資料提供で、いろいろなことが判ったらしい。

正常な皮膚には、「皮膚免疫」があり、HIVウィルスなどの侵入を防ぐ、という話なのだが、さすがに医学知識不足でわからない。
ただ、同じ皮膚でも部位によって、免疫機能に差があるらしい。
かぶれやすい部分とそうでもない部分の差なのかと理解。

ちなみに、乱暴な性行為によって、皮膚に傷ができ、皮膚免疫が機能しないような場合は「論外」とのこと。
現実に、HIV感染がいちばん多いパターンが「論外」なのは、ちょっと衝撃。


第2会場に移動。
閑散とした第1会場に比べ、こちらはかなり「密」。
【一般演題5:当事者・法律・思想】
星野進「パンセクシャルアイデンティティ形成のプロセスにおいて「性別という枠からの解放」という思想がどのように形成されるか」
明治大学・臨床心理学の修士課程。
早い話、佐々木掌子准教授のところの院生さん。
以前、佐々木ゼミの修論・卒論報告会で概要を聴いたことがある。

調査に応じたパンセクシュアル自認の6人すべて女性。

(私のコメント)
この性比の偏りはなぜなのか?
パンセクシュアル男性は少ないのか?
バイセクシュアル忌避との関係は?
「流行」現象なのではないか?(これは言わなかった)

矢野律亜「仏教思想は性同一性障害を否定するか~「性染色体」としての男根・女根概念を中心に」
密教学の修士の方。

誰も手を挙げないので、仕方なくコメント。
仏教における男根・女根概念は、「女根変じて男根と成る」ように、性同一性障害というより性分化疾患(DSDs)にともなう現象に関係するもの。
現代の概念を過去に遡及する場合は、もうすこし厳密にした方がいいと思う。

三浦悠介「GID診療における民間の生命保険商品活用と加入について」
GID医療(カウンセリングを含む)を受けた加入できる医療保険はない。

えっ? 私、普通に生命保険に加入できたけど・・・。

これで1日目、終了。

雨、ほぼ止んだ。
富士急行線月江寺駅まで歩き、富士山駅に移動。
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「GID学会」1日目(その3:GID医療の拡大と受診者の傾向の変化) [現代の性(性別越境・性別移行)]

3月25日(土) 
GID学会(1日目)
【シンポジウム1「次の時代のGI医療に求められる精神科医」】

川崎市の子どもは10万人、それで性別違和で悩む子どもが10人ということはない。
少なくとも0.1%はいるので、100人はいる。
近年は増加傾向なので、0.3%くらいと見れば、300人。
ともかく桁が間違っている。
地元のことなので、指摘しようと思ったが、針間克己先生が即座に挙手して指摘。

千葉県市川市の「行徳総合病院」、神奈川県鎌倉市の「横浜メンタルクリニック」、頑張っている。
いずれも「関東ジェンダー医療協議会」のメンバー。
意欲的な先生がいるのは、ありがたい。

杏林大学病院でGID診療の開始。
富山大学(医学部)を中心とした「北陸GIDサークル」の活動。
最大の朗報は、長年、GID医療の巨大な空白地帯だった東北で、4月から東北大学ジェンダー医療センターが動き始めるとのこと。

男性型胸郭形成術(乳房除去=胸オペ)、保険適用外だと60万円台だが、「混合診療」を回避するため
男性ホルモンを投与せず、健康保険適用になると、18~19万円。
費用の壁が大幅に低くなったことにより、受ける人が急増。

しかも、術後に男性ホルモン投与を始めると、手術への保険適用が取り消される可能性があるため、術後も男性ホルモン投与を望まない人が増えている。
つまり、乳房は除去するが男性ホルモンによる男性化は望まず、子宮・卵巣摘出→戸籍の性別を男性に変更コースに乗らない人(FtX)が増加。

男性型胸郭形成術の保険点数は、眼瞼下垂の修正手術と同じ2400点で、ほぼ同じことをする乳がんによる乳房全摘手術の27000余点に比べて大幅に安い。
このまま男性型胸郭形成術の希望者が増え続けると、病院経営を圧迫する可能性大。

針間克己先生(はりまメンタルクリニック)のコメント。
この数年、子どもの受診者が急増。
6~7割が発達障害をともなう感触。
不登校も多い。
女子の場合、男性化を望むわけではなく「女性になりたくない」「月経を止めて欲しい」。

「コロナ禍」以降、受診者の傾向にかなり大きな変化。
FtXタイプが急増し、従来型の男性化を強く望むFtMは減少。

近年のノンバイナリー・ジェンダーへの志向増加と重なる現象なのか。
その場合、身体の男性化、男性としての社会適応を目指すことを前提とした従来型の医療システムでは対応に限界があるように思う。
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