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米連邦最高裁、人工中絶権の合憲性を覆す [現代の性(一般)]

6月25日(土)

予想通り、アメリカ連邦最高裁が人工中絶権の合憲性を覆す決定。
49年、時代が逆行。

とはいえ、アメリカはピューリタンが作った国、そもそも、アメリカ(の半分)は、人権的に駄目な国なのだ

次は・・・、ということ。
>賛成意見を書いたトーマス判事は、中絶権の見直しに加えて今後は、避妊具の使用や同性愛行為、同性婚などの合法性を認めた過去の判例を見直すべきだと書き添えた。

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米連邦最高裁、人工中絶権の合憲性認めず 重要判決を半世紀ぶりに覆す

米連邦最高裁は24日、アメリカで長年、女性の人工妊娠中絶権は合憲だとしてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を示した。この判決を受けて、アメリカでは女性の中絶権が合衆国憲法で保障されなくなる。

最高裁(判事9人)は、妊娠15週以降の中絶を禁止するミシシッピー州法は、「ロー対ウェイド」判決などに照らして違憲だとする同州のクリニックの訴えについて、6対3で違憲ではないと判断した。下級審では、違憲との判決が出ていた。

「我々は、憲法が中絶する権利を付与しないと考える(中略)そして、中絶規制する権限は国民と、国民が選んだ代表に戻さなくてはならない」と、判決文には書かれている。

今回の判決は、約半世紀前に連邦最高裁が定めた判例を、同じ最高裁が自ら覆したことになり、きわめて異例。今後、アメリカ国内で激しい論争と政治対立を引き起こすとみられている。

今回の判決は、保守派判事6人とリベラル派判事3人の思想的な違いがそのまま反映されたものとなった。判事9人のうち、保守派のサミュエル・アリート、クラレンス・トーマス、ニース・ゴーサッチ、ブレット・キャヴァノー、エイミー・コーニー・バレット各判事は、明確に「ロー対ウェイド」判決を覆す判断に賛成した。このうち、ゴーサッチ、キャヴァノー、コーニー・バレット各氏は、ドナルド・トランプ前大統領に指名され就任した保守派。

穏健派とされるジョン・ロバーツ最高裁長官は、別の意見を書き、ミシシッピー州の中絶禁止は支持するものの、それよりさらに踏み込んだ判断には反対したと述べた。

対して、反対意見を書いたリベラル派は、スティーヴン・ブライヤー、ソニア・ソトマヨール、エレーナ・ケイガン各判事。3人は、「この法廷のために悲しみ、さらにそれ以上に、憲法による基本的な保護を本日失った何百万人ものアメリカの女性のために悲しむ」と書いた。

他方、賛成意見を書いたトーマス判事は、中絶権の見直しに加えて今後は、避妊や同性愛行為の自由、同性婚などの合法性を認めた過去の判例を見直すべきだと書き添えた。

今回の判決をめぐっては、米政治ニュースサイト「ポリティコが今年5月に保守派判事の意見書草稿を入手して報じていた。その中で、筆者のアリート判事は「ロー対ウェイド」判決について、「はなはだしく間違っている」と書いていた。報道を受けて、ジョン・ロバーツ最高裁長官は文書が本物だと認めていた。

アメリカでは、1973年の「ロー対ウェイド」事件に対する最高裁判決が、女性の人工中絶権を認める歴史的な判例として約半世紀にわたり維持されてきた。そのため、中絶に反対する勢力と、女性の選択権を堅持しようとする勢力が長年、この判決をめぐり争ってきた。

「ロー対ウェイド」事件について当時の最高裁は、賛成7、反対2で、胎児が子宮外でも生きられるようになるまでは女性に中絶の権利があると認めた。これは通常、妊娠22~24週目に相当する。これを受けてアメリカでは約半世紀にわたり、妊娠初期の3カ月間は中絶の権利が全面的に認められてきた。妊娠中期の中絶には一定の制限がかけられ、妊娠後期の中絶は禁止されてきた。

しかし、最近では一部の州が独自に、中絶を制限もしくは禁止する州法を成立させていた。

基本的権利を最高裁が=大統領
ジョー・バイデン米大統領はこの日の最高裁判決を受けて、「最高裁にとって、そしてこの国にとって悲しい日だ」と述べ、最高裁は「多くの国民にとってあまりに基本的な憲法上の権利」を「制限するのではなく、あっさり奪い取った」と批判した。また、判決は「極端な思想」が具体化したものだとも述べた。

「呆然としてしまう」とバイデン氏はホワイトハウスで報道陣に述べ、「近親相姦によってできた子供を、女性がずっとおなかで育てなくてはならないと想像してみるといい。これは残酷なことだ」と批判した。

バイデン大統領は報道陣を前に、中絶が制限されている州の女性が、中絶を認める他の州へ移動する「その基本的な権利を、私の政権は守る」と述べ、女性が移動する権利に州政府が介入することは認めないと話した。

大統領はさらに、中絶権をめぐる闘いは「終わっていない」として、「有権者は意見を表明する必要がある」と述べた。今年11月には議会中間選挙や各州政府の選挙があるのを念頭に、「今年の秋、ローが投票の対象になる。個人の自由が投票の対象になる。プライバシーの権利、自由と平等の権利、これがどれも、投票の対象になる」と、大統領は強調した。

判決の影響は
「ロー対ウェイド」判例が認めた憲法上の保障を最高裁自らが否定したことで、アメリカの各州はそれぞれ独自の州法で中絶を禁止できるようになる。半数以上の州が新しく、規制を強化したり、禁止することになるとみられている。

13の州ではすでに、連邦最高裁が「ロー対ウェイド」判決を覆せば自動的に中絶を禁止する、いわゆるトリガー法が成立していた。このうち、ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマの各州では、最高裁判決を受けて中絶禁止法が施行された。ほかの多くの州でもこうした法律が成立するとみられる。

これを受けて、アーカンソー州やルイジアナ州などで中絶手術を提供していた、いわゆる「中絶クリニック」が診療を中止し始めた。

アメリカで女性に中絶手術を提供してきた医療団体「プランド・ペアレントフッド」の調査によると、妊娠可能年齢の女性約3600万人が、今回の最高裁判決によって、中絶手術を受けられなくなるという。

中絶に関する世論が割れている、ペンシルヴェニア、ミシガン、ウィスコンシンなどの州では、中絶の合法性が選挙ごとに争われる可能性が出ている。他の州では、中絶を認める州に個人が移動して中絶手術を受けたり、郵便で中絶薬を取り寄せたりすることの合法性などが、個別に争われる可能性がある。

民主党知事は中絶権を州法に
中絶をただちに禁止しようとする各州とは逆に、カリフォルニア、ニューメキシコ、ミシガン各州などでは与党・民主党所属の州知事が、「ロー対ウェイド」判決が覆された場合に備えて、人工中絶権を州の憲法で保障する方針を発表している。

ロイター通信によると、バイデン政権(民主党)のカマラ・ハリス副大統領は23日、民主党が州政府を握る7つの州の州司法長官と協議し、中絶権を守る方法について話し合っている。

歓迎と悲嘆と
主張が最高裁に認められた形になったミシシッピー州のテイト・リーヴス知事は、判決をただちに歓迎し、同州が「この国の歴史における最大の不正義のひとつを克服するため、国の先頭に立った」と声明を発表した。

「この決定は直接、より多くの心臓が脈を打ち、より多くのベビーカーが押され、より多くの成績表が手渡され、より多くのリトルリーグの試合が開かれ、より多くの良い人生が送られることになる。喜ばしい日だ!」と知事は書いた。

長年にわたり「ロー対ウェイド」判決を批判してきた保守派のマイク・ペンス前副大統領は、判決が「アメリカの人たちに新しい始まりを与えた」と歓迎した。

「生きるための2度目のチャンスを与えられた今、生命の神聖性がアメリカの全ての州の法律に復帰するまで、我々は安穏としてはならないし、手を緩めてはならない」と、副大統領はツイッターで書いた。

これに対して、女性の選択権を支持してきたリベラル派で民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、「共和党が支配する最高裁」が、共和党の「暗く、極端な目標」を実現したと批判。

ペロシ氏は、「アメリカの女性たちは今日、自分の母親よりも自由が制限されている」、「この残酷な判決はとんでもないもので、あまりにつらすぎる」などとツイート。

アメリカの権利団体「アメリカ自由人権協会(ACLU)」は、「これがいかにひどい瞬間か、否定しない」とツイート。「裁判所が何と言おうと、誰も自分の意志に反して妊娠を継続させられるべきではない(中略)中絶は私たちの権利だ。そのための闘いは決してやめない」と書いた。

「BBCニュース」2022年6月25日 00:52
(英語記事 Roe v Wade: US Supreme Court strikes down abortion rights)
https://www.bbc.com/japanese/61929747?fbclid=IwAR0BH16aypZjFEmzHkk4RlaTGgfd8eVn905m_tpcPsY_QD62yCHWhuxpr28
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6月24日(金)夜中、仕事 [日常]

6月24日(金) 晴れ   東京  32.6度  湿度60%(15時)

南からの熱風で、一気に気温上昇、真夏日に。

夜中、ゲスト講義(12月)関連の書類1つ記入して、メールで送信。

松濤美術館の「図録」に掲載される論考の初校ゲラをチェックして、メールで送信。

2時40分、疲れてきたけど、もう一仕事。
再来週の講義録の手直し。

3時半、寝よう。


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頑張れ~ぇ! [政治・選挙]

6月24日(金)
レッドアンブレラに囲まれた要さんの笑顔がすてき。
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最前列のお兄さん2人も、ファンぽくて良い。

よだかれんさんの、選挙活動の画像を見ていると、Trans-womanがなぜ選挙に強いか、わかるような気がする。
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要はアピール力が高いのだ。

とはいえ、「れいわ」が2議席以上確保しないと、当選の可能性はないわけで(1議席目は優先枠の人)、厳しい戦いだが。


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岩波書店の広報誌『図書』2022年7月号に [お仕事(執筆・成果)]

6月24日(金)

岩波書店の広報誌『図書』2022年7月号に、エッセー「いろいろつながる話—日本とアジアのセクシュアリティ」が掲載されました。
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掲載号が二転三転しましたが、若い頃、いろいろ勉強させてもらった雑誌に、この歳になって載せてもらえて、とてもうれしいです。

内容は、7月1日頃から、web岩波「たねをまく」に転載されて読めるようになるとのことで、またお知らせします。

また、7月14日刊行予定の拙著『歴史の中の多様な「性」—日本とアジア 変幻するセクシュアリティ」(四六判392頁、税込3410円)の広告も同誌に掲載されました。
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「かつて、「性」はかくも豊かだった」というコピーは、担当編集者さんが考えてくれました。
気に入っています。
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「終活」の経過と、これから [お仕事(執筆)]

6月24日(金)

2020年10月頃に始めた「終活」のうち、①②が終わり、③も進んでいる。
① 2010年代以降に書いた論考を一書にまとめる。 →岩波書店から
② 1950年代の性風俗雑誌のコレクションを資料として後世に伝える。 →丸善雄松堂から
③ 1990年代~2000年代前半に収録したビデオの保全・資料化。 →関西大学

これから、死ぬまでにやらなければならないこと。
④ 亡父から聞き取った戦後史を一書にまとめる。 →『父に聞いた戦後』
⑤ 日本における「性転換」「性同一性障害」の社会史を一書にまとめる。 →『性別移行の社会史』
⓺ 戦後日本の「女装」の社会文化史を一書にまとめる。 → 『戦後日本「女装」の社会文化史』

ということで、あと3冊、頑張ろう。

⑤⓺は既述の論考を配列・リライトし、穴になっている章を埋めれば、なんとかなる。
問題は出してくれる出版社があるかどうか?
④は素材だけある書き下ろし。今秋、執筆開始予定。取材旅行(広島県の呉、信州の飯田)にも行かないと。
分量的には新書サイズか。

1つ忘れていた(笑)
④の前に、某出版社から『(なんちゃって)ジェンダー&セクシュアリティ論入門』を出すのだった。
これは、既述の講義録をベースで、リライトしてもらえるから、それほど負担ではない。


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「社会文化史データベース ―性風俗稀少雑誌コレクション」 がリリース [性社会史研究(性風俗雑誌)]

6月23日(木)

丸善雄松堂から「社会文化史データベース ―性風俗稀少雑誌コレクション」 がリリースされました。
https://j-dac.jp/shakaibunka/
1950~60年代の性風俗雑誌29 誌 458 冊、約 8 万頁、4 万コマ、記事数 1 万点超のデータベースです。
リンク先から、解説・解題が読めます。
また、記事タイトルの検索もできます(いずれも無料)。
本文の閲覧(アクセス権)は有料になります。

私としては、苦労して集め、大切にしてきた雑誌が、こうした形でデーターベースになり、社会文化史の資料として広く国内外の研究者に利用していただくとともに、次の世代に伝え残すことができましたこと、たいへんうれしく、感慨深く思います。

浜松町の丸善雄松堂に、打ち合わせのために最初に赴いたのが2020年12月15日、それから1年7カ月でリリースになったのは、担当編集者のMさんの誠実かつ有能な仕事ぶりの成果で、心から御礼申し上げます。

また、ご仲介をいただきました藤野裕子さん(早稲田大学准教授)、推薦文をいただきました井上章一さん(国際日本文化研究センター所長)、加藤政洋さん(立命館大学教授)、ありがとうございました。

お蔭で冥途に旅立つ前に、1つ肩の荷を減らすことができました。
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6月21日(火)明治大学文学部「ジェンダー論」第10講 [お仕事(講義・講演)]

6月21日(火)

9時、起床。
朝食はアマンドショコラとコーヒー。
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11時半、家を出る。
東急目黒線→都営地下鉄三田線の急行で神保町駅へ。

いつものように靖国通りの「ドトール」で軽く昼食。
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12時50分、明治大学(駿河台)の講師控室に到着。
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13時半、文学部「ジェンダー論」第10講「トランスジェンダーと社会(2)ーー」。
遅れを取り戻すべく頑張ったが、「双性原理」の解説が残ってしまった。
来週、頑張ろう。

15時10分、終了。

久しぶりに駿河台下の「丸亀製麺」へ。
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その後、「サンマルクカフェ」で査読論文を読む。

18時過ぎ、帰宅。
苦手な、中途半端な気温+高湿度で、ビタミンB1が流出し、バテバテ。
アリナミンEXを補充して、少し回復。

夕食は、家猫さんが買ってきたスペイン料理。
パエリャ
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タパス。
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就寝、3時半。




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国際水連、トランスジェンダー選手の女子競技への出場を禁止 [現代の性(性別越境・性別移行)]

6月20日(月)

女子競技の公平性の維持という観点を重視し、かつ、「オープン」枠を設けることで、Trans-woman選手の競技への参加も妨げていない点で、とても妥当な決定だと思う。

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国際水連、トランスジェンダー選手の女子競技への出場を禁止

国際水連、トランスジェンダー選手の女子競技への出場を禁止

国際水泳連盟(FINA)は19日、トランスジェンダーの選手について、男性の思春期をわずかでも経験した場合は、女子競技への出場を認めないことを決めた。

FINAはこの日、世界選手権大会が開催されているハンガリー・ブダペストで臨時総会を開き、新方針を決定した。

性自認が出生時の性別と異なる選手のため、大会において「オープン」というカテゴリーの設置を目指すことも決めた。

新たな方針は、FINAのメンバー152人の71%の賛成で可決された。FINAは、トランスジェンダーの選手の「完全参加に向けた第一歩に過ぎない」とした。

新方針に関する34ページの文書は、男性から女性になったトランスジェンダーの選手でも、「タナー段階2(身体的発育が始まる時期)以降の男性の思春期をまったく経験していないか、12歳前の、どちらかであれば」、女子のカテゴリーへの出場資格があるとしている。

この決定により、オリンピック出場を目指しているトランスジェンダーの米大学生選手リア・トーマスさんは、女子のカテゴリーに出場できなくなる。

FINAのフサイン・アル・ムサラム会長は、今回の決定について、「選手たちが競技に参加する権利を守る」と同時に「競技の公平性を守る」ことにも取り組むものだと説明。

「FINAは常にすべてのアスリートを歓迎する。オープンカテゴリーの創設によって、すべての人が高いレベルで競う機会を得る。前例のないことで、FINAが先導しなくてはならない。その過程で自分もアイデアを出して発展させていけるのだと、すべてのアスリートに実感してほしい」と述べた。

賛否の声
イギリス元五輪代表女子水泳選手のシャロン・デイヴィスさんは、女子のハイレベルの大会にトランスジェンダーの選手が出場するのに反対してきた1人だ。今回の決定を受け、「FINAを本当に誇りに思う」とし、次のようにBBCスポーツに話した。

「水泳はさまざまな人を受け入れるスポーツだ。誰でも一緒に泳いでもらいたい。しかしスポーツの基本は、公平性だ。男女両方にとって公平なくてはならない」

「スポーツには本質的に排他的な面がある。15歳の少年を12歳未満の大会で競わせたり、ヘビー級のボクサーをバンタム級に出場させたりしない。パラリンピックにさまざまなクラスがあるのは、すべての人に公平な機会を与えるためだ」

「スポーツにおけるクラス分けの意義は、まさにそこにある。今までは女性だけが一方的に損をしそうになっていた。女性は公平なスポーツに参加する権利を失っていた」

一方、性的少数者のLGBTの擁護団体「アスリート・アリー」は、新しい方針を「差別的、有害、非科学的で、2021年のIOC(国際オリンピック委員会)の原則に沿わない」と批判した。同団体は2月に、米学生選手トーマスさんを支援する書簡をまとめていた。

同団体の政策・プログラム担当のアン・リーバーマンさんは、「新方針で示されている女子カテゴリーへの出場資格の基準は、すべての女性の身体を取り締まるものだ。実施に当たっては必然的に、女子カテゴリーに出場しようとする選手のプライバシーと人権を著しく侵害することになる」と述べた。

「BBSニュース」2022年6月20日
https://www.bbc.com/japanese/61862354?fbclid=IwAR14hqtbhGxZNgxzremdzc_hwCjHX5GHc2hsJkQbIloRqj0E0RU-LsBM9p0
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大阪地裁判決を読む [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月20日(月)

大阪地裁判決①
(2-ア) 人類には、男女が共同で生活を営み、自然生殖により子が生まれることにより子孫を残し、次世代へと承継してきた実態が歴史的・伝統的に存在しており、婚姻制度は、このような関係に対し、社会の自然かつ基礎的な集団単位として識別、公示する機能を持たせ、法的保護を与えるものである。

結婚の機能について、ここまで言い切ったことに驚く。
この結婚についての基本認識を崩すのは、容易なことではない。
社会認識として、生殖と結婚のリンクはかなり強固。

大阪地裁判決②
婚姻によって享受し得る利益には、相続や財産分与等の経済的利益のみならず、当該人的結合関係が公的承認を受け、公証されることにより、社会の中でカップルとして公に認知されて共同生活を営むことができることについての利益(公認に係る利益)も含まれ、このような利益は、婚姻した当事者が将来にわたり安心して安定した共同生活を営むことに繋がるもので、自己肯定感や幸福感の源泉といった人格的尊厳に関わる重要な人格的利益であるといえ、異性愛者だけでなく同性愛者にもこのような利益が認められる。

だからこそ、婚姻平等が必要なのではないか。
「人格的利益」を認めつつ、その適用の不平等を放置するのは、あきらかにおかしい。
論理が破綻している。

大阪地裁判決③
他方、本件諸規定(憲法24条・民法)により、異性愛者は自由に異性と婚姻ができるのに対し、同性愛者は望みどおりに同性と婚姻をすることはできないという重大な影響が生じている。 本件諸規定の下でも、同性愛者が望む同性のパートナーと婚姻類似の結合関係を構築、維持したり、共同生活を営んだりする自由が制約されるものではなく、契約や遺言など他の民法上の制度等を用いることによって一定の範囲では婚姻と同等の効果を受けることはできるとしても、このような方法は、異性カップルが享受し得る婚姻の法的効果に及ぶものではないし、このような対応では同性カップルが社会の中で公に認知されて安心して安定した共同生活を営むために必要な人格的利益である公認に係る利益が満たされないという問題は残される。

「同性愛者は望みどおりに同性と婚姻をすることはできないという重大な影響が生じている重大な影響が生じている」、「社会の中で公に認知されて安心して安定した共同生活を営むために必要な人格的利益である公認に係る利益が満たされない」というのなら、それを解消する法的手段がとられるべき。
それを放置し、改善を怠ることを認めるのは論理矛盾。

大阪地裁判決④
>同性愛者にも異性愛者と同様の婚姻又はこれに準ずる制度を認めることは、憲法の普遍的価値である個人の尊厳や多様な人々の共生の理念に沿うものでこそあれ、これに抵触するものでないことからすると、憲法24条1項が異性間の婚姻のみを定めているからといって、同性間の婚姻又はこれに準ずる制度を構築することを禁止する趣旨であるとまで解すべきではない。

「婚姻又はこれに準ずる制度」ここ1つのポイントだと思う。
別のところでも、「婚姻類似の制度」と言っている。
どうも、裁判官は、現行の婚姻制度には入れられないが、別に「婚姻に準じる(類似の)制度」を作るように言っているように見える。







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同性婚訴訟、大阪地裁判決、全面敗訴 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

6月20日(月)

同性婚訴訟、大阪地裁判決、全面敗訴。

近年の司法(裁判所)の行政府への過剰な忖度姿勢からして、予想はしていたが、とても残念な結果。

【判決理由】
現行制度において「同性愛者と異性愛者の間に差異はあるものの、そのほかの制度である程度解消されており、同じ婚姻制度を適用するのか、別の制度を設けるのかは民主的な手続きで決める必要がある。現状の差異は、立法裁量権を超えているとまでは言えない」
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「同性婚不受理」初の合憲判決 原告側請求を全て退ける 大阪地裁

同性同士の結婚を認めていない民法や戸籍法の規定が憲法に違反するかが争われた訴訟で、大阪地裁=土井文美(ふみ)裁判長=は20日、規定に憲法違反はないと判断し、原告の同性カップルが求めた国の賠償責任は認めなかった。

東京や福岡など全国5地裁に起こされた同種訴訟で2件目の地裁判決。札幌地裁は2021年3月に初の違憲判決を出しており、司法判断が分かれる形になった。原告側の請求が全て退けられるのは初めて。

大阪訴訟の原告は京都や香川、愛知の3府県で暮らす3組6人の同性カップル。19年2月に提訴し、国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた。

原告側は、民法や戸籍法の規定に基づき婚姻届を受理しない国の現行制度が、憲法24条で保障される「婚姻の自由」を侵害し、14条の「法の下の平等」にも反すると主張。婚姻による法的・経済的な権利や利益を得られないことは不当な差別だとしたうえで、国会が立法措置を長期にわたり講じなかった違法性も訴えていた。

憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」すると定める。国側は「両性」は男女を意味し、憲法が同性間の結婚を想定していないと指摘。男女が子どもを産み育てながら共同生活を送る関係の保護が婚姻制度の目的だとして、差別には当たらないと反論していた。

同性婚訴訟を巡っては、札幌地裁が21年3月、同性カップルが婚姻の法的効果の一部ですら受けられていないのは憲法14条に違反するとして、初の違憲判断を示した。一方で、24条は「異性婚を定めたもの」で合憲と指摘。立法府で同性婚の保護を巡る議論が始まったのは15年以降で、国会が直ちに違憲状態を認識するのは困難だったとして賠償請求も退けた。【安元久美子】

『毎日新聞 』2022/6/20 14:04(最終更新 6/20 21:47) 933文字
https://mainichi.jp/articles/20220620/k00/00m/040/073000c?fbclid=IwAR08g8xS_CoPMMfeZzWGVOag65V9hHk1MwAVsTomVtzeGXfvgKzjOqx58JY
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