SSブログ

大嘗祭の本義 [世相]

11月15日(金)

令和の大嘗祭が終わった。
大嘗祭.jpg
大嘗祭について、折口信夫博士の「真床覆衾(まどこおふすま)」論をいまだに引っ張り出す人がいる。

「大嘗祭の核心は天皇を天皇たらしめる根源的な威力である天皇霊を新しい天皇が大嘗祭でふとんにくるまって身につけられる秘密の儀式である」(「大嘗祭の本義」1928年)

つまり、新天皇が真床覆衾にくるまることで天皇霊を継承する、聖婚儀礼という説だ。

一時期、通説のようにもてはやされたが、この説、実はなんの論拠(資料)もない。
はっきり言えば、折口先生の妄想である。

私の神道学・民俗学の先生の先生は折口博士の高弟の1人なので、私は折口先生の曾孫弟子の隅っこということになるが、この説ははっきり駄目だ。

大嘗祭の本義は、岡田荘司先生が言うように、新帝が天照大神を初めて迎え、神膳を供進しそれを共食する儀礼である。
「秘儀」でもなんでもなく、日本の祭祀の最も基本的な形(共食儀礼)に過ぎない。

そもそも、毎年行われる新嘗祭(にいなめさい=新穀感謝祭)が一世一代の儀礼に特化したものなのだから、当然のことだ。

ところで、岡田先生は、2019年3月に國學院大学教授を定年退職された。
先生が、まだ専任講師だったころ、先輩に連れられて研究室に行ったことがある。
そうか、あれからもう40年が経ったのか・・・。

【追記】共食儀礼とは
神と人がいっしょに飲食する儀礼。
実際には、いったん神前に供えた物(神饌)を下げて、神の前で人が飲食する形になる。
神前結婚式の三々九度の儀式や、神社に正式参拝した時のお神酒などにその形が残っている。
また、お祭りが終わった後で「打ち上げ」として飲み食いするのも、本来、「直会(なおらい)」という共食儀礼のひとつ。

海外でも見られるが、日本がいちばん濃厚に残っている。
さらに言うと、神饌を備える役、あるいは共食儀礼でお酒を注ぐ役は、元来、トランスジェンダーの人の役割である可能性を、私は指摘している。

nice!(0)  コメント(0)