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福岡県でHIV感染・AIDS発症が急増 [現代の性(HIV・性病)]

9月19日(火)

グラフを見るとかなり衝撃的。
感染・発病者が少し減った2015年との比較で61%増になっているわけだが、2014年の70人と比べても2016年は22人も増えているので、福岡で感染実数が急激に伸びているのは間違いない。
状況はかなり深刻。

このレベルだと、1人もしくは数人の性行動が活発な感染者がウィルスを撒いているという現象だけではなく、記事が指摘しているような社会的な要因(アジア諸国との人的交流の活発化)を考えなければだと思う。

ただ、感染経路は、同性間性的接触が約6割という全国的な傾向と差異はないようだ。
つまり、アジアのゲイの人たちとの人的交流が活発化し、そこが起点となって福岡県を中心とする九州のゲイコミュニティの中で感染が広がっているのだろうか?

そこらへん、事情に詳しい方のご教示を請う。

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九州でエイズ感染急増 16年福岡は61%増 佐賀、熊本過去最多
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福岡県を中心に、九州でエイズ患者やエイズウイルス(HIV)感染者が増えている。東京や大阪など都市部を含めて全国的には減少か横ばい傾向にあるだけに、九州の増加が目立つ。専門家は、感染者の多いアジアとの往来が増えてウイルスが持ち込まれるケースや、予防啓発活動の不十分さが一因とみており「危機的状況で、より効果的な予防啓発が必要だ」と警鐘を鳴らしている。

国のエイズ発生動向調査によると、2016年の福岡県のHIV感染者、エイズ患者の新規報告者数は、いずれも46人で計92人と過去最多。15年と比べて61%増えており、特に40代や50歳以上が増加している。佐賀計9人、熊本計19人も過去最多となった。16年の地域別では九州が計169人で32%増。これに対し、関東・甲信越は695人で4%増と横ばい、近畿は265人で11%減など、5地域は前年より減少していた(福岡県以外は速報値)。

新規報告者数(15年)で全国の感染者・患者の内訳は、日本人男性が約9割、感染原因は同性間性的接触が最多の約6割だった。福岡県も全国と同様の傾向だが、患者が3割程度の全国データに対して、福岡県の患者比率はほぼ半数で、発症してから報告されるケースが際立っている。

エイズ治療の九州ブロック拠点病院、国立病院機構九州医療センター(福岡市)のAIDS/HIV総合治療センターの山本政弘部長は「福岡での感染の広がりが九州全体に広がっている印象。患者の比率から、実際の感染者は報告よりもかなり多いはずだ」と指摘する。

各自治体では無料検査を定期的に実施。山本部長は「感染、発症が分かっても、今は薬でウイルスの増殖を抑えられる。検査を受けて早期に発見・治療できれば、感染者自身の健康も維持でき、感染拡大のリスクも減らせる。心当たりがある人は早く検査に行ってほしい」と呼び掛けている。

『西日本新聞』=2017/09/19付 朝刊=
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/359651/
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SHIP にじいろキャビン開設10周年記念シンポジウム講演レジュメ [お仕事(講義・講演)]

SHIP にじいろキャビン開設10周年記念シンポジウム
「LGBTコミュニティ、この20年の歩み~司法とメディアの移り変わり」
                2017.09.18(慶応義塾大学・日吉)

メディアにおけるLGBTの扱い方を振り返る 
                 三橋 順子(みつはし じゅんこ)
            (明治大学非常勤講師・性社会文化史研究者)

はじめに ―L/G/B/Tとは?―
・ 性的な少数者の主な4つのカテゴリーの英語の頭文字を合成したもの。
 L レズビアン(Lesbian:女性同性愛者)
 G ゲイ(Gay:男性同性愛者)
 B バイセクシュアル(Bisexual:両性愛者)
 T トランスジェンダー(Transgender:性別越境者)

1 テレビの中のL/G/B/T -現状-
(1)ゲイ(G)
・ トランスジェンダーに比べて同性愛についての報道は少なかった。
  → 2015年以降「同性婚」問題で増加
・ ゲイ(男性同性愛者)が登場する場合、ほとんど過剰に“女らしい”ゲイ(「おネエ」)ばかりで、“男らしい”ゲイはほとんど登場しない。 
  → ゲイ世界の現実と著しく乖離 
  → ゲイのイメージの歪曲(「おネエ」性の強調)
・ 女装したゲイ、女性的なゲイでないと、テレビに出られない現状。
  → GのT擬態現象

(2) レズビアン(L)
・ レズビアン(女性同性愛)についてはほとんど報道されず、登場しなかった。 
  → 「佐良直美事件」(1980年)の呪縛
  → レズビアンの不可視化 
  → 2015年以降「同性婚」問題でやや増加
  → 現状、タレントとしては、ほとんど牧村朝子さん一択

※ 男性的なGや、Lのタレントさんがいないわけでない。
カミングアウトしないから、いないことになっているだけ。
  → なぜカミングアウトしないのか?
  → カミングアウトすると仕事がなくなるテレビ業界の体質

(3)バイセクシュアル(B)
・ カズレーザー、檀 蜜 etc → どこまで実態的?

(4) トランスジェンダー(T)
・ Trans-womanは人材豊富 カルーセル麻紀、はるな愛、中村中、佐藤かよ、KABAちゃん(新)
・ Trans-manは少ない
  → Trans-manの不可視化
  → テレビ登場は杉山文野さんほとんど一択

小結
・ テレビ・メディアとの関係において、Trans-womanが(マッチョな)G、L、B、Trans-manに比べて圧倒的に優勢。
・ それは、一時的なものではなく、歴史的に形成されたもの。
・ さらに言えば、日本文化の深層につながる文化的なもの → 双性原理

※ メディアにおける学術的なコメント需要
・ 当事者性を持ちつつ学術的なコメントをする人が少ない。
 L (不在)
 G 鈴木 賢(明治大学教授・法学)
   風間 孝(中央大学教授・社会学)
   谷口洋幸(高岡法科大学准教授・ジェンダー法学)
 B 青山 薫(神戸大学教授・社会学)
 T 仕方なく私
  → もっと増えてほしい

2 トランスジェンダーとメディアの歴史
(1) 1960年代後半~1980年代
・ テレビ放送開始(1953年)10数年後の1960年代後半には、もうトランスジェンダー的な人が「11PM」(日本テレビ系)などの深夜番組に出演していた。
  → カルーセル麻紀、青江のママ、光岡優(銀座ホステス)
  → 欧米諸国に比べて格段に早い
  → 倫理規定の制約で深夜枠しか出られなかったが(2000年頃まで?)
  → 「変わった人」「面白いことを言う人」ではあったが、必ずしも「笑いの対象」ではなかった

(2) 1980年代末
・ 1988年10月、お昼の人気番組「タモリの笑っていいとも」(フジテレビ系)のコーナーとして
「MrレディーMrタモキンの輪!」が設けられ、翌1989年9月にかけて全50回28名の「ニューハーフ」が登場し、1989年には「Mr.レディ」ブーム現象に。
  → 六本木のニューハーフ矢木沢まりが映画『Mr.レディ 夜明けのシンデレラ』(東宝、1990年1月)の準主演に抜擢。
  → 「女らしさ」「美しさ」への関心 
  → 「笑い」は主ではない

(3) 1990年代前半
・ 1992年10月、上岡龍太郎司会の「ムーブ」(TBSテレビ系)が「Mr.レディ50人が大集合」を放送。
・ 以後、1995年頃まで番組改編期を中心にニューハーフを出演者 とする特番(「ニューハーフ50人」「ニューハーフ100人」)が数多く放送される。
  → 大勢のニューハーフをスタジオに集めて、笑いをとれるようなことをやらせ、それをスタジオのゲストに批評させる形式
  → 「ナニワ(大阪)のニューハーフ」ブーム
    (ベティ春山、春野桃子、奥田菜津子、春菜愛など)
  → 社会的認知の向上
  → 笑いの対象としての「ニューハーフ」

【参考映像1】 「帰ってきたニューハーフ100人」(日本テレビ1996年3月?日放送)
・ 1990年代前半の番組改編期の特番として数多く放送されたニューハーフ番組の末期のもの。
・ 100人のニューハーフに笑いをとれるようなことをやらせ、スタジオのゲストに批評させる形式。
・ 抽出場面は、ニューハーフに料理を作らせ、それを幼稚園児に選ばせる「ニューハーフ100人 園児が選ぶ料理人No1は誰?」のシーン。
 (注目点) 
・ 料理を作ることが、無条件に「女らしさの象徴」になっている。
・ 若き日のはるな愛(当時は春菜愛)が登場。その扱われ方(ジェンダー的に→ 美醜の演出)。
・ 最後の批評場面での、加賀まりこ(女優)、加納典明(写真家)、飯島愛(タレント)のやり取り。

(4) 1990年代後半~2000年代前半
・ 1996年頃~2000年代、性別移行を病気として認識する「性同一性障害」概念に基づく番組が数多く放送される。
  → 性別移行の病理化(精神疾患化)にマス・メディアが協力
  → 医療・福祉の対象としての「かわいそうな性同一性障害者」イメージの流布
  → 世界の中で突出して病理認識が広がる

【参考映像2】「ニュース・ステーション 性を変えたい人」(テレビ朝日 1999年6月25日放送)
・ 「日本初」(←嘘)の男性から女性への性転換手術(現在では「性別適合手術」という)が行われた当日の報道番組の枠内での特集。
・ 「性同一性障害」という「病気」(精神疾患)の「患者」の「治療」(医療行為)としての性転換手術という構図とその正当性を、さまざまな画像イメージと当事者のインタビューで視聴者に印象付ける。
 (注目点)
・ 医療行為であることを印象付ける表象(病院、白衣の看護婦、注射)
・ 当事者(MtF)の「女らしさ」を表象する映像(ぬいぐるみ、化粧品、アクセサリー)
・ 当事者のGIDと非GIDを差異化する語り(差異化言説)。
  「私は趣味でやっているとかいうわけではありませんし」

(5) 2000年代後半
・ 2006年10月『おネエ★MANS!』(日本テレビ系)が放送開始。
  → 2006年~現在 「おネエ」番組の流行、バラエティ番組における「おネエ枠」
  → 全国放送でこれだけTが出演しているのは、おそらく世界で日本だけ?(タイも)
  → 女装のゲイ(G)とTrans-woman(T)の混乱
・ はるな愛の大ブレイク(2008年~)
  → 大企業のCMで一流男優とTrans-womanが共演、欧米ではあり得ない。

(6) 2010年代
・ 2015年~ トランスジェンダーを前提としない(「おネエ枠」でない)出演・起用
 (例) 能町みね子の相撲評論(NHK相撲中継、『週刊文春』のタモリ氏との対談)
     三橋順子の『AERA』のコメント(特集・LGBTブームという幻想)

(7) 将来的に
・ 最終的には、「特別枠」ではなく、個々のトランスジェンダーの能力が適切に評価されることが望ましい。
・ 現在はまだそこに至る途上。

まとめ
・ テレビ・メディアにおいて、50年以上の活動の末に、それなりの顕在化と社会的認知を達成し、「埋没化」の方向すら出てきているTrans-womanと、今なお顕在化が不十分なL、G、B、Trans-manとの間には、大きな状況の差がある(一周遅れ状態)。
・ L、G、B、Trans-manの顕在化と社会的認知の向上が今後の課題。

【参考文献】
三橋順子「テレビの中の性的マイノリティ」
 (『週刊金曜日』2009年6月12日号 特集「考える メディア」)
三橋順子「トランスジェンダー文化の原理 ―双性のシャーマンの末裔たちへ―」
 (『ユリイカ』2015年9月号 青土社 2015年9月)
三橋順子「日本トランスジェンダー小史 ―先達たちの歩みをたどる―」
 (『現代思想』2015年10月号 青土社 2015年10月)
三橋順子「日本におけるレズビアンの隠蔽とその影響」
 (『ジェンダー研究 /教育の深化のためにー早稲田からの発信―』彩流社、2016年)
三橋順子「マツコ・デラックスを現代の『最強神』と呼ぶべき、深淵なる理由―祭礼と女装の歴史にみる『双性原理』―」
 (「現代ビジネス」2017年5月23日)http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51743


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9月18日(月・祝)SHIP にじいろキャビン開設10周年記念シンポジウム [お仕事(講義・講演)]

9月18日(月・祝)

体調が良くないので、昨夜は早めにベッドへ。
ところが周期的に襲う鋭い胃痛でなかなか眠れず。

今朝は鋭い痛みは治まったが、まだ鈍痛がある。
昨日からまともな食事はしていないので、かなり弱っている。

でも、シンポジウムのパネラーなので出掛ける。
戦場(いくさば)で倒れるなら武士の本懐。(←大袈裟だにゃ)

12時、家を出る。
駅まで歩く間、やはり足元が微妙におぼつかない。

12時半、日吉駅に着いて、慶応義塾大学の銀杏並木(緩い坂道)を上るだけで、息が切れる。

主催者が提供してくださった崎陽軒の「中華弁当」を涙を飲んでお断りし、ブルーベリー・ヨーグルトだけの昼食で、シンポジウムに臨む。

14時15分、SHIP にじいろキャビン開設10周年記念シンポジウム「LGBTコミュニティ、この20年の歩み~司法とメディアの移り変わり」開会。
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↑ ほぼ満席の大盛況。

自分の出番になったら、不思議なことに、それまでときどき差し込んでいた胃痛をほとんど感じなくなった。
「メディアにおけるLGBTの扱い方を振り返る」というテーマでほぼ予定通り、お話することができた。
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2017-09-19-1
ディスカッションもなんとか体力がもった。
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懇親会は、座った席が悪く、かつ、お酒が全く飲めず、食べられるものも限られ、けっこうストレス。

二次会では、地元民のお務め(店探し)を果たす。

0時、武蔵小杉駅前で皆さんを見送ったところで、電池切れ。

ともかく、体調不良で、主催の方や同席のパネラーの方に迷惑をかけずに済んで安堵。



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