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未亡人サロン「メイフラワー」(銀座二丁目)の広告 [性社会史研究(一般)]

10月10日(金)
資料を採録していて、たまたま見かけた「未亡人サロン」の広告。
未亡人サロン(メイフラワー・19561218) (2).jpg
(『内外タイムス』1956年12月18日号)
「メイフラワー」という店で、銀座二丁目の「越後屋ビル」6階にあった。

「未亡人サロン」とは、戦争や戦災で夫を失った女性(戦争未亡人)たちが接客するサロンのこと。
太平洋戦争・日中戦争では、数多くの「戦争未亡人」が生じ、その数は40万人にも及んだ。
一家の主を失った彼女たちの多くは、生計を立てるのに苦労し、中には飲食接客業に就く人もいた。
そうした女性たちの働き場が「未亡人サロン」だった。

「未亡人サロン」の女性たちに向けられる男性たちの欲望の視線は2つあった。
ひとつは、「玄人」の接客業(女給や芸者)ではなく「素人」の女性であるということ。
もうひとつは、男を知らない「生娘」ではなく、男性との性体験があるということ。
だから「口説きさえすれば容易に落ちるだろう」というハードルの低さを男たちに思わせる。
営業的からすれば、まさにそう思わせることができれば、成功で、「未亡人」系の店は、サロン、バー、おでん屋など、いずれもけっこう繁盛したようだ。

この「メイフラワー」という店、ちょっと調べてみたら、まったく同時期の1956年(昭和31)発行の中野日出男『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社)に、次のように紹介されている。
「また未亡人サロンでは、メイフラワー(二の二、越後屋六階)が東京ではナンバー・スリーとは下らない大サロンで正人真正銘の未亡入が百四十名いるという。」
http://sanki.blog.ocn.ne.jp/04_sejo_lab/2013/09/18924_31_1265.html

「大箱」のけっこう有名な店だったようだ。
でも、「正真正銘の」とわざわざ書くあたり、戦後11年経って、そろそろ「正真正銘の」じゃない「(偽)未亡人」が出現していたことを思わせる。