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1929年の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)21~30位 [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]

1929年の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)21~30位

21位は香川県
娼妓数456人、人口1万人あたり6.22人。
最大は、県都(城下町)高松「八重垣」の114人。
次いで、丸亀市「西平山町」の77人だが、丸亀には「福島」69人もあり、合わせて146人で、都市としては丸亀が最多。
貸座敷指定地は7箇所で、四国では一番多い。
琴平「富士見町」76人は、金比羅様の、善通寺「砂古」41人は弘法大師(空海)誕生の地で、門前町。
多度津「西浜」45人、坂出「沖湛浦」24人は瀬戸内海の港町。

22位は富山
娼妓数469人、人口1万人あたり6.02人。
貸座敷指定地は14箇所。
越中富山藩(前田分家)10万石の城下町・富山市「東新地」が最大規模だが、それほど抜けてはいない。
次いで、北陸街道の宿場で商工業の中心地・高岡「羽衣新地」66人、氷見「有磯新地」48人、伏木「玉川新地」38人と続く。
道下村(現:魚津市)「魚津新地」27人、滑川町「常盤新地」26人、石動(現:小矢部市)「福町新地」23人、泊(現:朝日町)「神田新地」11人は、北陸街道の宿場。
宿場や港町が多く指定されているが、砺波郡などの農村部にも指定地がある。
全県的にまんべんなく指定している印象。

23位は長野県
娼妓数940人、人口1万人あたり5.47人。
貸座敷指定地は11箇所。
県庁所在地であり、善光寺の門前町であり、、北国街道の宿場(善光寺宿)である長野市(鶴田新地)252人が最多。
続いて、城下町で北国街道の宿場でもある上田「常盤城」167人、中信の城下町・松本「横田」108人、南信の城下町・飯田「二本松」110人。

坂城(現:佐久市)59人は北国街道の坂木宿。
上諏訪(高島)50人は、城下町で甲州街道の宿場。
岩村田(現:佐久市)49人、下諏訪42人、塩尻30人、(現:長和町)「新町」18人は中山道の宿場。
平隠(現:山ノ内町)「湯田中」55人は温泉立地。

城下町と中山道、北国街道の宿場町が多く、小規模な所は指定していない。。
中山道の木曽谷の宿場(奈良井、福島、妻籠、馬籠宿など)に指定地がないのは、近世以降の衰退が顕著だったからだろう。

24位は青森県
娼妓数460人、人口1万人あたり5.23人。
貸座敷指定地は15箇所。
最多は、津軽の城下町・弘前市「北横町」「寿町」の104人。
次いで、県都であり、青函連絡船の港・青森市「吉原」の95人、八戸に近い小中野「新地」81人。
以下、七戸「新地」30人、野辺地30人、黒石「裏町」29人、五戸「新地」20人。留崎「新地」(現:三戸町)小中野村19人、大湊「新地」12人。
鯵ヶ沢「新地」15人、木造「松原」9人、深浦6人など日本海岸の漁村にも指定地がある。

25位は佐賀県
娼妓数337人、人口1万人あたり4.87人。
貸座敷指定地は7箇所82軒。

県都(城下町)佐賀市に近い北川副村「今宿」の 140人が最大。
佐賀市周辺には、東川副村「諸富」30人もある。

日本海側は、唐津「満島」(行政区は満島村)78人、呼子「殿の浦・片島」47人、伊万里「船屋町」21人。
ただし、「遊廓一覧」が「東松浦郡佐志村 佐志 2軒 1人」と記すのは不可解。
ほぼ同時期1930年(昭和5年)発行の「全国遊郭案内」には、「佐志村遊廓は佐賀縣唐津町佐志村西にあつて」「貸座敷は十軒、娼妓約九十人位」としていて、「遊廓一覧」のこの部分に誤脱がある可能性が高い。
「遊郭案内」の記述を採用して、「佐志」10軒、90人とすれば、「満島」の上にくる。

武雄「蓬莱町」20人は温泉立地。

全体に絞り込んだ指定をしていて、その点、隣の福岡県に似ている、

なお、「佐志」の数値を修正すると、佐賀県は、貸座敷90軒、娼妓426人、貸座敷1軒あたり、娼妓5.19人、人口1万人あたり6.16人となり、人口当たりのランクは22位に上がる。

26位は石川県
娼妓数455人、人口1万人あたり4.85人。
貸座敷指定地は17箇所。
加賀100万石の城下町・金沢市は「東廓」「愛宕」「西廓」「石坂」「北廓」の5箇所合わせて135人。

金沢以外では、小松51人、松任(現:白山市)「辰巳町」28人、鶴木(現:白山市)17人、美川(現:白山市)「南町」10人。
金石(現:金沢市)8人は港町。
大聖寺(現:加賀市)「聖廓」4人は城下町。

能登は、七尾「尾廓」50人、輪島34人、宇出津(現:能登町)「棚木」9人、飯田(現:珠洲市)8人、小木(現:能登町)8人、福浦(現:志賀町)5人は、いずれも港町

かなり小規模の場所まで指定している。
 
27位は新潟県
娼妓数923人、人口1万人あたり4.77人。
貸座敷指定地は19箇所と、かなり多い。  
県都であり港湾都市である新潟市「下町」436人が圧倒的。
以下、長岡「文治町」191人、高田「五分一」122人、新発田「三宜町」94人、三条「五の町」83人、
柏崎「海岸通」69人、直江津「塩屋新田」54人、五泉「八幡町」32人、小千谷「畑中」31人、中条「新町」29人、村松「曙町」28人、新津「橋向」25人と続く。
寺泊「山の上」16人、出雲崎「間」9人と日本海岸の漁村にも指定地がある。

佐渡は4箇所、両津「浦町」138人は県内3位の規模。
小木「濱町」35人、相川「水金町」24人、二見22人。

全体に、まんべんなく指定している。

28位は岡山県
娼妓数613人、人口1万人あたり4.77人。
貸座敷指定地は9箇所
最多は、県都である城下町・ 岡山市「中島」356人。
次いで、内陸部の津山「廻」77人。
以下、日比「新地」(現:玉野市)48人、笠岡「伏越」42人、倉敷「川西」38人、玉島(現:倉敷市)「柏崎」28人、下津井12人、牛窓10人と瀬戸内海癌の港町が並ぶ。
内陸部が手薄い印象。

29位は滋賀県
娼妓数321人、人口1万人あたり4.64人。
県都で宿場町の大津「上柴屋町・下柴屋町」の117人が最大。
次いで、城下町・彦根町の55人、琵琶湖の港・長浜「妙法寺」49人。      

貸座敷指定地は11箇所。
指定地は湖南・湖東に偏り、湖西にはない。
草津「東新地」23人、水口「石倉新地」8人は東海道の宿場町。
八日市「延命新地」30人と近江八幡20人は商業都市。

30位は福島県
娼妓数653人、人口1万人あたり4.33人。
貸座敷指定地は27箇所と多く、北海道、三重県に次ぎ、山口県と並んで全国3位。
しかし、100人を超えるような大きな指定地はなく、中規模以下の指定地ばかり。

中通りは奥州街道の宿場に多く指定されている。
白河(63人)→矢吹(9人)→須賀川(14人)→郡山(24人)→本宮(13人)→二本松(11人)→福島(61人)→瀬上(52人)→桑折(29人)→藤田(15人)→(人)

川俣(26人)、保原(25人)、梁川(18人)は養蚕地帯。
飯坂(39人)は温泉立地。

浜通りは、平(現:いわき市)の48人が最多。
城下町・三春は28人、小野新町(現:小野町)25人、城下町・中村(現:相馬市)15人、原町15人。
湯本村(現:いわき市)10人は炭鉱立地か。

会津は、若松城下に近い町北村(現:会津若松市)が68人県内最多。
次いで、喜多方(23人)、坂下(14人)。

まんべんなくこまめに指定しているという点で、西隣の山形県、南隣の栃木県と似ている。
明治期に、山形→栃木→福島と県令を歴任した人物に三島通庸(薩摩藩出身)がいる。
何か関係があるかも知れない。。



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