1929年の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)11~20位 [性社会史研究(遊廓・赤線・街娼)]
2月7日(金)
1929年(昭和4年)の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)
11位は奈良県。
娼妓数493人、人口1万人あたり8.27人。
貸座敷指定地は4箇所で、奈良市と郡山町。
奈良市木辻町・瓦堂町の「木辻遊廓」325人が最大。
次いで、郡山町の「洞泉寺遊廓」の161人。
県南部などには指定地はない。
12位は愛知県。
娼妓数2021人、人口1万人あたり7.87人。
貸座敷指定地は4箇所。
名古屋市中区「旭廓」は娼妓数1497人で全国4位の規模。
名古屋市では南区熱田の「稲永遊廓」の176人。
旧・三河国では、岡崎市「伝馬板屋」が200人、豊橋市「東田」が148人。
全国5位の人口規模の割に指定地が少なく、名古屋市への集中度が高い。
13位は、兵庫県。
娼妓数2064人、人口1万人あたり7.80人。
貿易港である神戸市「福原遊廓」の1057人が最大で、全国7位の規模。
次いで、西宮「浦町」339人、明石「新地」130人、姫路「梅ヶ坪」99人。
淡路島は洲本「漁師町」46人。
貸座敷指定地は10箇所。
ほとんどは瀬戸内海沿岸で、内陸部は多紀郡八上村(現:丹波篠山市)「池上」の29人のみ。
日本海側には指定地はない。
14位は山形県。
娼妓数833人、人口1万人あたり7.71人。
最大は、県都(城下町)山形市「小姓町」の169人。
次いで、鶴岡134人、日本海航路の港町・酒田105人、上杉氏の城下町・米沢56人、新庄34人、上ノ山34人と続く。
湯ノ浜(49人)、湯田川(24人)、赤湯(17人)、温海(13人)などは、地名からして温泉立地。
貸座敷指定地25箇所は、北海道、三重県、山口県に続き全国4位。
全県的にまんべんなく、こまめに指定されている印象。
15位は北海道。
娼妓数 2102人、人口1万人あたり7.48人。
貸座敷指定地51箇所は全国1位。
函館「大森」366人と札幌「白石」314人が道内の二大遊次いで次いで、根室「梅ケ枝町」196人、旭川「中島」181人、室蘭「幕西町」117人、釧路「米町」100人、小樽「入船」96人、同「手宮」79人、帯広「木賊原」71人、網走「北見町」56人、旭川「曙」43人、滝川37人、苫小牧32人、留萌31人と続く。
旭川は「曙」が旧廓、「中島」が新廓で、合わせると224人で3位相当になる。
小樽も「入船」「手宮」が拮抗していたが、合わせると175人で5位相当になる。
それぞれの地域で開拓拠点となった町には例外なく遊廓が設けられたが、娼妓数30人以上は51の指定地のうち15箇所に過ぎず、比較的小規模な指定地が多かった。
岩見沢 24人、歌志内12人、羽幌村10人は炭鉱立地。
離島にも指定地があり、利尻島(3+10人)、礼文島(3+7人)にそれぞれ2箇所、国後島、択捉島にも1箇所。
16位は熊本県。
娼妓数 994人、人口1万人あたり7.34人。
熊本市に近い「二本木遊廓」(行政区は飽託郡古町村)が娼妓数763人で圧倒的に大きく、全国でも10位の規模。
次いで、八代「紺屋町」の156人、
指定地は4箇所と少ない。
あとは三角の49人、天草・牛深町の26人。
17位は栃木県。
娼妓数783人、人口1万人あたり6.86人。
宇都宮「河原町」122人が最大。
次いで、堀米(現:佐野市)77人、御厨村大字福居(現:足利市)71人。
貸座敷指定地は22箇所で、関東地方最多、全国でも7位。
隣の群馬県(廃娼県)と著しい対照をなしている。
県内を南北に縦貫する街道の宿場起源が多い。
日光街道の宿場、小山20人、石橋(現:下野市)17人、徳次郎(現:宇都宮市)17人、今市32人。
日光例幣使街道の宿場、富田20人、合戦場(現:栃木市)62人、金崎(現:栃木市)71人、鹿沼「五軒町」34人、
奥州街道の宿場、氏家21人、喜連川「川松波」23人、大田原町「深川」30人。
また那須地方は、烏山59人、黒羽32人、黒磯20人、矢板「松の木」20人と、指定地が多い。
足尾「向原」(17人)は鉱山立地。
全体に実態に即して、こまめに指定している印象。
18位は福岡県。
10 169 娼妓数1687人、人口1万人あたり6.68人。
博多の郊外の「新柳町」(筑紫郡住吉町字春吉)の636人が最大。
筑前・豊前エリアでは、関門海峡の要衝で貿易港でもある門司「馬場」の250人、城下町・小倉「旭町」の107人、若松「連歌町」の93人、八幡の46人。
筑豊では、直方の72人。
筑後エリアでは、久留米「原古賀」の244人、大川「向島」の130人、大牟田市「新地」の103人。
貸座敷指定地は10箇所、中規模以上の指定地がほとんどで、小規模な指定地は1箇所だけ(芦屋「東町」6人)。
ある程度、絞り込んで指定している印象。
19位は高知県。
娼妓数469人、人口1万人あたり6.53人。
高知市の西郊の「玉水新地」(土佐郡旭村)の279人、東郊の「下知新地」(土佐郡下知村)の128人が大きい。
指定地は5箇所。
あとは、西部の中村「岩崎新地」31人、港町の宿毛「松田川新地」18人と須崎「琴平新地」13人。
20位は岐阜県。
娼妓数742人、人口1万人あたり6.30人。
貸座敷指定地は4箇所と少ない。
県都・岐阜市「金津遊廓」の427人が圧倒的。
次いで、大垣「旭」158人、多治見「西ヶ原」98人。
飛騨は高山「花岡」59人だけ。
1929年(昭和4年)の道府県別の娼妓の数(人口1万人あたり)
11位は奈良県。
娼妓数493人、人口1万人あたり8.27人。
貸座敷指定地は4箇所で、奈良市と郡山町。
奈良市木辻町・瓦堂町の「木辻遊廓」325人が最大。
次いで、郡山町の「洞泉寺遊廓」の161人。
県南部などには指定地はない。
12位は愛知県。
娼妓数2021人、人口1万人あたり7.87人。
貸座敷指定地は4箇所。
名古屋市中区「旭廓」は娼妓数1497人で全国4位の規模。
名古屋市では南区熱田の「稲永遊廓」の176人。
旧・三河国では、岡崎市「伝馬板屋」が200人、豊橋市「東田」が148人。
全国5位の人口規模の割に指定地が少なく、名古屋市への集中度が高い。
13位は、兵庫県。
娼妓数2064人、人口1万人あたり7.80人。
貿易港である神戸市「福原遊廓」の1057人が最大で、全国7位の規模。
次いで、西宮「浦町」339人、明石「新地」130人、姫路「梅ヶ坪」99人。
淡路島は洲本「漁師町」46人。
貸座敷指定地は10箇所。
ほとんどは瀬戸内海沿岸で、内陸部は多紀郡八上村(現:丹波篠山市)「池上」の29人のみ。
日本海側には指定地はない。
14位は山形県。
娼妓数833人、人口1万人あたり7.71人。
最大は、県都(城下町)山形市「小姓町」の169人。
次いで、鶴岡134人、日本海航路の港町・酒田105人、上杉氏の城下町・米沢56人、新庄34人、上ノ山34人と続く。
湯ノ浜(49人)、湯田川(24人)、赤湯(17人)、温海(13人)などは、地名からして温泉立地。
貸座敷指定地25箇所は、北海道、三重県、山口県に続き全国4位。
全県的にまんべんなく、こまめに指定されている印象。
15位は北海道。
娼妓数 2102人、人口1万人あたり7.48人。
貸座敷指定地51箇所は全国1位。
函館「大森」366人と札幌「白石」314人が道内の二大遊次いで次いで、根室「梅ケ枝町」196人、旭川「中島」181人、室蘭「幕西町」117人、釧路「米町」100人、小樽「入船」96人、同「手宮」79人、帯広「木賊原」71人、網走「北見町」56人、旭川「曙」43人、滝川37人、苫小牧32人、留萌31人と続く。
旭川は「曙」が旧廓、「中島」が新廓で、合わせると224人で3位相当になる。
小樽も「入船」「手宮」が拮抗していたが、合わせると175人で5位相当になる。
それぞれの地域で開拓拠点となった町には例外なく遊廓が設けられたが、娼妓数30人以上は51の指定地のうち15箇所に過ぎず、比較的小規模な指定地が多かった。
岩見沢 24人、歌志内12人、羽幌村10人は炭鉱立地。
離島にも指定地があり、利尻島(3+10人)、礼文島(3+7人)にそれぞれ2箇所、国後島、択捉島にも1箇所。
16位は熊本県。
娼妓数 994人、人口1万人あたり7.34人。
熊本市に近い「二本木遊廓」(行政区は飽託郡古町村)が娼妓数763人で圧倒的に大きく、全国でも10位の規模。
次いで、八代「紺屋町」の156人、
指定地は4箇所と少ない。
あとは三角の49人、天草・牛深町の26人。
17位は栃木県。
娼妓数783人、人口1万人あたり6.86人。
宇都宮「河原町」122人が最大。
次いで、堀米(現:佐野市)77人、御厨村大字福居(現:足利市)71人。
貸座敷指定地は22箇所で、関東地方最多、全国でも7位。
隣の群馬県(廃娼県)と著しい対照をなしている。
県内を南北に縦貫する街道の宿場起源が多い。
日光街道の宿場、小山20人、石橋(現:下野市)17人、徳次郎(現:宇都宮市)17人、今市32人。
日光例幣使街道の宿場、富田20人、合戦場(現:栃木市)62人、金崎(現:栃木市)71人、鹿沼「五軒町」34人、
奥州街道の宿場、氏家21人、喜連川「川松波」23人、大田原町「深川」30人。
また那須地方は、烏山59人、黒羽32人、黒磯20人、矢板「松の木」20人と、指定地が多い。
足尾「向原」(17人)は鉱山立地。
全体に実態に即して、こまめに指定している印象。
18位は福岡県。
10 169 娼妓数1687人、人口1万人あたり6.68人。
博多の郊外の「新柳町」(筑紫郡住吉町字春吉)の636人が最大。
筑前・豊前エリアでは、関門海峡の要衝で貿易港でもある門司「馬場」の250人、城下町・小倉「旭町」の107人、若松「連歌町」の93人、八幡の46人。
筑豊では、直方の72人。
筑後エリアでは、久留米「原古賀」の244人、大川「向島」の130人、大牟田市「新地」の103人。
貸座敷指定地は10箇所、中規模以上の指定地がほとんどで、小規模な指定地は1箇所だけ(芦屋「東町」6人)。
ある程度、絞り込んで指定している印象。
19位は高知県。
娼妓数469人、人口1万人あたり6.53人。
高知市の西郊の「玉水新地」(土佐郡旭村)の279人、東郊の「下知新地」(土佐郡下知村)の128人が大きい。
指定地は5箇所。
あとは、西部の中村「岩崎新地」31人、港町の宿毛「松田川新地」18人と須崎「琴平新地」13人。
20位は岐阜県。
娼妓数742人、人口1万人あたり6.30人。
貸座敷指定地は4箇所と少ない。
県都・岐阜市「金津遊廓」の427人が圧倒的。
次いで、大垣「旭」158人、多治見「西ヶ原」98人。
飛騨は高山「花岡」59人だけ。
2025-02-07 13:20
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