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1990年代、新宿の女装者の性的指向と性行動 [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

1月28日(火)

少し前に、こんなことを書いた。

1990年代の新宿の女装世界の「客には「女装者愛好男性」(自分は女装しないが女装者が好きな男性)がたくさんいるので、しばしば性愛関係が生じる」
「新宿の女装者は、程度の差はあれ、男性とのセクシュアリティに(身体的かつ性愛技巧的に)対応できないと、やっていけない」

このこと、実はセクシュアリティの理論的な問題に波及するように思う。

現代的なセクシュアリティ理論では、性的指向(Sexual orientation)が重視される。
そして、性的指向と性行動が強くリンクされる。

具体的に言えば、性的指向が男性に向かっているから、男性との性行動が行える。
逆に言えば、性的指向が男性に向いていなければ、男性との性行動は行われない。

それは、概ね間違っていないと私も思う。
しかし、その性的指向と性行動のリンクを絶対視する考え方には疑問を抱く。

私が観察した新宿の女装者の場合、必ずしも性的指向が男性に向いていなくても、男性との性行為は可能だった。

その要件は、
① 女性好きの男性を性的に誘引できるレベルの容姿であること。
② 男性器(ペニス)を受け入れることができる身体であること。
③ 男性を性的に満足させる(射精にいたらせる)性的技巧を持っていること。

まあ、「男嫌い」では無理だが、必ずしも「男好き」でなくても、①なら男はいくらでも寄ってくるし。②③なら性的に対応できる。

性的指向が女性に向いている男性でも、目の前にいるのが女装者であることがわかっていても、ペニスが勃起してしまえば、性行動はできる。

性的指向と性行動のリンクを絶対視する論者には理解不能だろうが、それが実態だった。
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