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20世紀末(1990年代前半)の商業女装クラブ(その28)ファッションへの関心 [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

1月24日(金)

「エリザベス会館」の会員さんたちの多くは、世の中でどういうファッションが流行っているか、ほとんど関心がなかった。

ルームで競馬新聞やプロレス雑誌を読んでいる人は珍しくなかったが、女性ファッション雑誌を読んでいる人は稀だった。

この現象は簡単な理屈で説明できる。

「エリザベス」に多いフェティシズム的傾向が強い女装者にとっては、自分が執着がある、性的に興奮する服を着ていればそれで満足だからだ。

だから服装のTPOや、四季の移ろいに対応する気がない。
幸い談話室は寒暖差が少ない「常春の世界」だし。

たとえば、レオタード&水着フェチの人は、年がら年中、それを着ている。
制服フェチの人は、年齢やTPOに関係なく制服姿だ。
振袖フェチ」の人は年中、振袖だ。
本人的には、それで満足で、心地よいのだから。

ファッション的に固着している。
だから、世の中でどういうファッションが流行っているか、関心がない。

このタイプの人は、たまにある外出イベントは、だいたい「お留守番」になる。
手持ちの服が、外気温や出掛ける場所に対応できないからだ。

ところが、私のような、女としての自分を、時間的に限定的であっても、世の中(社会)に置いてみたいタイプは、そうはいかない。

外気温への服装対応は必然だし、ファッションも,ある程度、TPOを意識しないといけない。
早い話、ただでさえ身長や体格的に浮いているわけで、これ以上、浮きたくはない。

世の中でどんなファッションが流行っているか、それなりに関心をもたないと、やっていけない。

そのあたりの感覚の差、「エリザベス」に通うようになって、2年ほど経った頃(1992年頃)から「なんか自分とは違うな」という感じで、意識するようになった。


スリーシーズン活躍した赤と黒のプルオーバー。
1990年10月22日撮影。
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(左)夏の外出着 1991年6月3日撮影
    珍しくロングスカートを着たら「順子、どうしたの?風邪でもひいた?」と言われた・
(右) 秋の外出着 1991年10月31日撮影
    青緑のワンピースとボレロ。




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