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婚姻したままの性別変更、家裁で許可 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月6日(金)
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異性婚の夫婦が同時に性別を変更すれば、夫婦が逆転しただけで異性婚のままで同性婚にならない。

トランスジェンダー同士の夫婦というレアなケースだが、「GID特例法」第3条1項2非婚非婚要件(現に婚姻していないこと)が「初めて突破された点で、画期的な判断。

しかし、非婚要件裁判の本筋は、女性と法律婚しているTrans-woman、男性と法律婚をしているTrans-manの性別変更が認められるか、否か。

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トランスジェンダーの夫婦、結婚したまま性別変更 家裁が異例の判断

戸籍上の性別の変更を求めたトランスジェンダーの夫婦に対し、東日本の家裁が、ともに申し立てを認める判断をしたことがわかった。性同一性障害特例法には、性別変更の際、現在結婚していないことを求める「非婚要件」があり、結婚している当事者の性別変更を認めるのは極めて異例。

申立人は、2023年に結婚した東日本在住の2人で、アルバイトのトランス男性(戸籍は女性)と公務員のトランス女性(戸籍は男性)。今年5月、同じ日に申し立てたところ、家裁は併合して審理をした。

家裁は4日付の審判で、2人はともに18歳以上(年齢要件)▽未成年の子がいない(子なし要件)▽変更する性別の性器に似た外観を備えている(外観要件)――という特例法の要件は満たすが、「非婚要件に欠ける」と認めた。

ただ、20年3月の最高裁決定を踏まえ、非婚要件が設けられた前提には、夫婦の一方の性別を変更すると「同性婚の状態」が生じ、異性婚しか認めていない現在の「婚姻秩序」に混乱を生じさせかねないことへの配慮があると指摘した。
 そのうえで、2人の場合、同時に性別変更の審判をすれば、同性婚の状態が生じる可能性はなく、非婚要件を欠いていても、変更を認めるのが相当と結論づけた。

性別変更の家事審判には民事裁判のように対立する当事者がいないため、性別変更を認めた今回の判断は確定する。他の裁判所を拘束する力はないが、同様の申し立てが広がる可能性がある。

識者「無用な離婚、迫らなかったが…」

性同一性障害特例法を巡っては、性別変更の要件の違憲性を指摘する司法判断が相次いでいる。生殖力の喪失を求めていた生殖不能要件について、最高裁が2023年10月、違憲・無効と判断。今年7月には広島高裁が外観要件について「手術が必須なら違憲の疑いがある」とした。
今回、焦点となったのは非婚要件だ。

夫婦の1人が性別変更を望む場合、離婚して変更するか、変更を断念して結婚を続けるかという選択を迫られる。

申立人のトランス男性は「私たちには、いったん離婚し、性別変更後に再婚する方法もあったが、あえて結婚したまま申し立てた。トランスジェンダーの家族のあり方を制約している非婚要件のおかしさを問いたかった」と語る。

審判は、夫婦の性別変更を認めたものの、非婚要件そのものに問題があるとは判断しなかった。京都産業大の渡辺泰彦教授(家族法)は「法律の文言通りに解釈せず、無用な離婚を迫らなかった点では評価できるが、根幹の問題は残ったままだ」と指摘する。

「同性婚の状態を防ぐ」として、非婚要件が設けられたのは03年。世界で初めてオランダで同性婚が実現した2年後で、多くの国に同様の規定があった。

だが、約20年たち、今年8月までに37の国・地域で同性婚が可能になった(マリッジフォーオールジャパン調べ)。日本でも同性婚を認めない民法などの規定は「違憲」「違憲の疑い」とする司法判断が続く。

今年7月には、結婚後に女性として暮らすようになったトランスジェンダーが戸籍上の性別変更を京都家裁に申し立て、非婚要件は「離婚を強制しており違憲・無効」などと訴える。今後、判断が出される見通しで、訴えが認められるまで闘い続けるという。(二階堂友紀)

『朝日新聞』2024年9月6日 6時00分
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