SSブログ

1950年代の「転性手術」 [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

8月23日(金)

1950年代の日本で「性転換手術」が行われていたことを疑う人たちがいる。

まず、手術の難易度を検討してみよう。

睾丸摘出手術は、局所麻酔でもできる比較的簡単な手術。

陰茎切除(実際は陰茎解体)&造膣手術は、全身麻酔のそれなりの大きな手術だが、独自の技術ではない。

女性でも、母親の胎内での性分化のトラブルで、膣がない人や極端に狭い人がいる。
そうした女性のための膣形成手術は戦前から行われていた。
男性から女性への「転性手術」の際の「造膣」は、その技術転用にすぎない。

つまり、技術的には十分に可能。

「転性手術」第1号の永井明→明子さんの造膣手術の執刀が産婦人科の医師(石川正臣日本医科大学教授)だったのは、そういう(膣欠損の女性の修復手術の技術転用)事情。

ちなみに、永井さんが受けた術式は、執刀医による詳細な解説があり、人工膣の内張は陰嚢の皮膚を利用した。

1950年代の日本の「転性手術」の技術レベルは高く、1951年2月の永井さんの手術は、1951年5月のイギリス空軍中尉Robert Marshall Cowell(女性名:Roberta Elizabeth Marshall Cowell)の手術より早く、戦後世界で最も早かったと思われる。

永井明子(左)とロベルタ・コーウェル
永井明子4(2).jpgRoberta Cowell3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました