SSブログ

罰則をともなう「LGBT差別禁止法」の困難 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

2月10日(金)

罰則をともなう「LGBT差別禁止法」を提唱する人たちは、いったいどういう法案・条文を考えているのだろう?

そもそもの話、「差別」をどう定義するのだろう?
「LGBT理解増進法」には「差別」という言葉は出てくるが、「差別」の定義はない。

現在の日本の法律で「差別」を法律名称に入れているのは「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)」(障害者差別禁止法)だが、「差別」の定義はない。

それくらい法律で「差別」を規定するのは難しいということだ。

第七条(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)に「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」とある。

そこから導けば、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすること」それにより「障害者の権利利益を侵害」することが「障害者差別」ということになる。
(ただし、「差別」とは「差別的取り扱いをすること」という循環定義ではある)

これを準用して「障害」を「性的指向叉は性自認」に、「障害者」を「〇〇者」に置き換えれば、
「性的指向叉は性自認を理由として〇〇者でない者と不当な差別的取扱いをすること」それにより「〇〇者の権利利益を侵害」すること」となる。

「〇〇者」は「性的少数者」とすればよいように思うが、今度は「性的少数者」を法的に定義しなければならなくなる。
これも、じつに厄介だ。

だから、立憲民主党の「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案(LGBT差別解消法案)」では、「〇〇者」は一切出てこない(その点は「LGBT理解増進法」も同じ)。

ちなみに、この「差別解消法案」は、明らかに「障害者差別禁止法」の条文構成に依拠している。

次に「罰則」についてだが、「障害者差別禁止法」や「LGBT差別解消法案」には「罰則」の条文はあるが、これは秘密保持義務を破ったり、報告義務を怠ったりした者に対する罰則で、「差別」を行った者への罰則ではない。
問題があった者への対処は「助言、指導若しくは勧告」にとどまる。

つまり、法的に「差別」を定義し、差別行為の範囲を規定し、差別を行った者に罰則を科すことは、法理に基づいて法律の条文を設計・構成するという点で、客観的に言ってかなり困難で、手間と時間がかかるということ。

単純に言えば、違反者に刑罰を科すといっても、量刑の相場はどのくらいにするのだ?ということ。
まさか「懲役」ってことはないよね。

そこら辺まで考えて「罰則のある差別禁止法を!」と言っているのだろうか?

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました