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東海林毅監督の新作映画『老ナルキソス』を観る [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

1月22日(日)

東海林毅監督の新作映画『老ナルキソス』を観る。

短編映画の名手としての評価が確立しつつある東海林監督の長編映画として注目していたが、お世辞ではなく、ストーリー的にも映像的にも完成度が高い。

絵の美しさ、人物造形の巧みさ(繊細さ)に加えて、ストーリーの構造性が際立っている。
現代の高齢ゲイと若者ゲイ。
高齢ゲイの現状と若い頃(回想シーン)。
現代の若者ゲイの中での2パターン(異なる「家族」観や職業)。
高齢ゲイの中での2パターン(社会・家族秩序への適応差)。
4つの対比が絡まるストーリーで、2時間近くの長尺を飽きさせない。

人物造形では、主人公のゲイ老人・山崎は、尊大で自己承認欲が高く、社会不適応なのに小金は持っていて、性欲は強いという、ほんとうに嫌な奴(でもよくいる)。
だいたい、80歳近くになって、孫みたいな若者を買うという根性がいやらしい。
それを田村泰二郎さんが熱演している。

逆に、水石亜飛夢さんが演じる、山崎に買われる青年レオ君は、いかにもゲイ受けする容貌・身体に加え、性格的にも(ちょっと屈折しているが)魅力的な青年で、好感度が高い(応援したくなる)。

ここらへん『片袖の魚』もそうだったが、監督のキャスティングのうまさが光る。

脇役では、おねえのバーのママ役の日出郎さん(そのままだけど)、結果的に充実した人生を送った老ゲイを渋く演じた村井國夫さんが注目。

間違いなく、日本の「男性同性愛者の物語」を描いた映画として、国際的に高く評価されるだろう。
1年後、また監督に映画祭のトロフィーを見せてもらえるのが楽しみだ。
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