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GID学会認定医制度は、法律的には使えない [現代の性(性別越境・性別移行)]

1月11日(水)

「性別不合当事者の会」という団体が、GID学会に「要望書」を出したとのこと。
その中で、診断書の書き手をGID学会の認定医に限定するよう要望している。

「GID特例法」では、「性同一性障害」診断、戸籍の性別変更の申請のための診断書を書けるのは「その診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する」医師と規定する。

これは一般に、性同一性障害の臨床・診断経験が豊富な精神科医と解釈できる。

近年、問題視されている即日、診断書が出る(と言われている)クリニックの先生、実は日本で一、二を争う「臨床・診断経験が豊富な精神科医」なのだ。

そりゃあ、そうなる。
他の先生が3~6カ月かけるところを、1日なのだから、回転は早くなり、書く診断書の数も多くなるのは当然だ。

ということで、この先生、法律違反をしているわけではない(日本精神神経学会の診断と治療のガイドラインには抵触している可能性はあると、個人的には思うが)。

実際問題として、法律違反をしていないクリニックの診断書の効力を性別の変更を審判する家庭裁判所が認めない、というのはかなり難しい。

で、最近、戸籍の性別変更の診断書は、診断書の信頼性を高めるために、GID学会の認定医に限定せよ、という意見が出ている。

もっともな意見だと思う。

ただ、これを法律としてやれるか?となるとかなり難しい。
なぜならGID学会は、法人格のない、単なる任意団体で、そこの認定は、なんら法的な意味(資格)をもたないからだ。

そういう意味では、公益財団法人が出している「英語検定」や「漢字検定」よりも権威はない。

他の医学系の学会は、ほぼ法人格(公益社団法人か一般社団法人)を持っていて、そこが認定する専門医は、ぞれなりの権威をもつ。
GID学会はそうではない。

実は、そこらへんの問題、つまり「法人格のないGID学会が認定する認定医って、どれだけ意味があるのですか?」という意見(疑問)は、認定医制度が始まる際にあった(と、永世平会員の私は聞いている)。
しかし、なぜかうやむやになり、認定医制度が開始された。

なにが言いたいかというと、戸籍変更のための診断書を厳格化することには、私も賛成だが、それにGID学会の認定医制度を使うのは、実際にはなかなか難しいということ。

誤解のないように書き添えておくと、認定医制度の維持には理事の先生方がほとんど手弁当で尽力されているし、認定医を目指す方たちも、真剣に研修を受けている。
その意味は十分にあるが、法律的には使えないということ。


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