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「LGBT差別禁止」84社が明文化 100社調査 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

12月26日(日)

これが建前でなく本当ならうれしいことだけど、現実には、トランスジェンダーへの就労差別は、まだまだひどいと聞いている。

その点、LGBとTとの状況の差はかなりある。

現状、3都県(茨城県、東京都、三重県)しかない「性的指向及び性自認を理由とする差別」禁止条例を、増やしていくこと。
そして、国レベルでの、包括的な差別禁止法の成立につなげること。

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「LGBT差別禁止」84社が明文化 100社調査、課題も浮かぶ

LGBTなど性的少数者の権利を守る取り組みについて国内主要100社にアンケートしたところ、「差別禁止の明文化」が8割を超えた。大企業で取り組みが進みつつある一方で、課題も浮かぶ。性的少数者の苦悩は見えにくくニーズの把握は難しい。法律の整備など国による後押しが足りない、との指摘も多い。

幅広い業種の大企業100社を対象に朝日新聞が11月後半に尋ねた。性的少数者に関する取り組みについて、実施済みや実施予定の施策を複数、挙げてもらった。

「差別禁止の明文化」が最も多い84社。「社内研修の実施」が81社、「相談窓口の設置」が75社だった。「同性パートナーにも配偶者と同じ福利厚生を一部または全て適用」は51社だった。

損害保険大手、SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長は「同性パートナーを配偶者とみなし、配偶者として制度を使えるように、住宅手当、慶弔休暇、介護、育児休業などを見直している」と話す。

電機大手、NECも「配偶者」の対象に事実婚やパートナー関係にある相手を追加。同性婚を含む事実婚も法的な婚姻関係と等しく扱えるように社内の規定を改めた。

課題も聞いた。
「当事者のニーズや意見を把握するのが難しい」とした企業が70社あった。日本生命保険の朝日智司専務は「L、G、B、Tはそれぞれの事情が異なり、意識も違う。ニーズをつかむことに課題を感じている」とした。

「法整備など国による後押しが足りない」は34社。野村ホールディングスは「国レベルでの差別禁止などの法整備がなく、地方では理解も不足している」と指摘。地方支店で勉強会などを開いているという。

性的少数者の差別を禁止する法律はない。同性婚は法律上認められていない。性的少数者への理解を増進しようという法案の国会への提出を、自民党は今年見送った。否定的な意見が党内に根強かった。

一方、自治体では同性カップルを公的に認める「パートナーシップ制度」が広がりつつある。性的少数者の権利拡大に取り組むNPO法人「虹色ダイバーシティ」によると、導入自治体は約130にのぼり、人口では日本全体の4割をカバーするが、地域差はある。

食品大手、味の素は「パートナーシップの証明書を発行する自治体としない自治体があり、居住地で不平等が生じる」と指摘する。

〈LGBT〉 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれた時に割りあてられた性別と自認する性別が一致しない人)の頭文字を取った言葉。性的少数者はこれらに限らない。電通が昨年末に全国6万人を対象に実施した調査では、性的少数者に該当すると8・9%が答えた。

〈同性パートナーシップ制度〉 同性カップルの関係を公的に認める自治体の制度。2015年に導入した東京都渋谷区は、区内の企業などにパートナーシップ証明の「十分な尊重」と「公平かつ適切な対応」を求めている。虹色ダイバーシティによると、これまでに全国約130の自治体が2200組以上のカップルを公的に認めた。法律上の婚姻とは異なり、子どもの共同親権、所得税や相続税の配偶者控除などは認められない。

「施策があるのと使えるかは別の問題」
 LGBTなど性的少数者の権利を守ろうとする取り組みが、大企業で進みつつある。権利の保護に取り組むNPO法人、虹色ダイバーシティ(大阪市)の村木真紀代表は大企業の取り組みを歓迎しつつ、中小企業や地方へ広げていくことなどを課題に挙げる。

――性的少数者を守るため、実施済みもしくは実施予定の取り組みを朝日新聞が主要100社に聞いたところ、「差別禁止の明文化」が8割超にのぼりました。

「差別禁止の明文化や相談窓口の設置、社内研修の実施といった取り組みの広がりは、虹色ダイバーシティの調査などでも確認できていますが、朝日新聞の今回の調査では、大企業が調査対象になっていることもあって、割合がずいぶん高いと評価できます。性的少数者の権利を守る取り組みは、企業が従業員をどれだけ公平に扱おうとしているか、世界の人権課題にどれだけ敏感かという、企業姿勢のバロメーターでもあります」

――大企業で取り組みが進み始めたのはいつごろからですか。

「2015年以降です。同性カップルを公的に認める同性パートナーシップ制度を、東京都渋谷区と世田谷区が導入したことが大きかったです。これまでに同じ趣旨の制度を導入した自治体は約130に上り、日本全体の人口の4割ほどをカバーしています。そこに事業所のある企業は制度を無視できなくなるし、制度をきっかけに福利厚生を求める人もいる。当事者からの声が自治体にも企業にも要望として届くようになりました」

――主要100社に課題も聞くと「当事者のニーズや意見を把握するのが難しい」との指摘が7割の企業から出ました。

「施策をとっている企業でも、LGBTなど性的少数者から申し出がない、相談窓口を設けても相談にきてくれない、と悩む声はけっこうあります。施策があるのと、それを使えるくらい環境がいいかは別の問題です。制度を使える状況ではない、使うメリットよりもカミングアウトするリスクの方が高い、という事情もあると思います」

「LGBTが職場でカミングアウトする相手はだれなのか。虹色ダイバーシティの調査では、上司よりも同僚や部下の方が多い。取引先やお客さままで全面的にカミングアウトしている人は、まだまだ少ない。それはハラスメントの多さとも関係しています。いじりやからかいを含む差別的言動、アウティング(本人の同意なく性に関する情報を公表すること)、性的経験などプライベートなことを聞く、カミングアウトを強要させるといった被害の声が届いています。LGBTのメンタルヘルスはよくなっておらず、自殺率も高い。そこの改善には、まだ至っていません」

「LGBTなど性的少数者には、自分は社会に認められない、公平に扱われないのではないか、という疑念があります。会社が本当にやる気なのか、を見ています。施策を積み上げていくことは大事だと思います」

「パートナーシップ制度、混乱は起きていない」
――具体的に教えてください。

「同性パートナーに家族としての福利厚生を適用すること。トランスジェンダーが自認する性別で働けるようにすることです。ニーズを知るために先行企業で実施しているのが、LGBTやアライ(性的少数者の社会課題に対してともに行動する人)による従業員グループをつくり、そこから声を吸い上げるやり方です。グループでランチ会をしたり、オンラインで研修を企画したりするところもあります。当事者が言い出しにくい、声を聞きにくいイシューなんだということを前提として施策を組み立てる必要があります」

――課題として「法整備など国による後押しが足りない」を挙げた企業が34社ありました。

「東京のような大都市圏で、大企業で施策が進む一方、地方、そして中小企業で働くLGBTが取り残されている現状があります。だからこそ、差別を禁じ、同性婚を認める法律の整備が必要なんです。現状では、各地に従業員を抱える企業が従業員を公平に扱えない。ビジネスにも悪影響が出ます」

「LGBTがハラスメントを受けるのは、社内からだけではありません。お客さまや取引先からも受けることがある。その意味でLGBTの従業員はまだまだ守られていません」

「15年以降にパートナーシップ制度の導入が広がって言えることは、同性同士の関係を認めることで社会に混乱は起きていない、ということです。同性婚を認めることに反対される方は『慎重な検討を』とおっしゃいますが、もう十分、証明されたのではないかと私は思います」

「結婚していなくても、LGBTであっても、シングルマザーでもシングルファーザーでも、職場で不利に扱われないと確信できないといけない。LGBTであることが不利にならないということを、経営トップが自分の言葉で、繰り返しメッセージとして伝えていかなくてはいけないと思います」(土居新平)

『朝日新聞』2021年12月26日 6時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASPDT54BTPD7ULFA00N.html?pn=16&unlock=1#continuehere
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