SSブログ

「娘は結婚するまで男性と性交渉をもってはいけない」という性規範 [性社会史研究(一般)]

12月24日(金)

「娘は結婚するまで男性と性交渉をもってはいけない」という性規範は、江戸時代の武家の儒教的倫理観と、明治期に入ってくるキリスト教的倫理観が、不思議に共通していて、それが合体して明治政府の学校教育によって、一般庶民にまで広められたと思われる。

逆に言えば、江戸時代の庶民、都市の中・下層の町人の娘や農村の娘が、そうした性規範をもっていたとは、とても思えない。
たぶん史料的にも見当たらないと思う。

つまり、「娘は結婚するまで男性と性交渉をもってはいけない」という性規範は、武家の性的規範が(武家がなくなった)明治時代において庶民に広められた「侍(さむらい)ゼーション」([コピーライト]梅棹忠夫先生)の1つであると考えられる。

この性規範が、再び浮上するのは、戦後、1950年代。
アメリカ進駐軍にバックアップされたキリスト教系女性団体が「純潔教育」という形で、学校教育に入ってくることで、1960年代にかけて再度、普及される。

現在、「経口中絶薬が許可されると『性の乱れ』につながる」などと言っている連中の思想的背景は、だいたいそこらへんにある。



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。