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自民党、「LGBT法案」の今国会提出を断念 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

5月29日(土)

「LGBT法案」をめぐる動きを、詳細かつ的確に報道してきた『朝日新聞』二階堂友紀記者の記事。

最後の「(自民党は)性的少数者の人権を守る政党なのか」という問いかけいついて言えば、今回の経緯からして、「(自民党は)性的少数者の人権を守らない政党」であることが、自党議員の発言で明確になったわけで、それは法案が流れたことの大きな代償(「怪我の功名」)だと思う。

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<視点>反対派の主張、当事者不在

性的指向と性自認を理由にした差別は許されないとの認識のもと、多様性に関する理解を増進する。当然の理念をうたうLGBT法案に、自民党内の反発が噴き出した。

「差別の定義がはっきりしない」「訴訟が頻発する」「活動家に利用される」。反対派の典型的な主張に、左派が政治運動に利用するというものがあった。ある反対派は「これは闘争だ」と宣言したという。古いイデオロギー闘争に固執した反対論は、当事者不在にみえた。

多くの場合、同性愛者は異性愛者から生まれる。生まれた時の性別と異なる性別で生きるトランスジェンダーは、性別への違和感を知らない人から生まれる。性的少数者の子どもたちはいまも家のなかで、本当のことを言えず苦しんでいるかもしれない。いじめや自死の原因にもなっている。そんな現実を思うとき、自民党の議論は虚(むな)しく悲しい。

男が女を、女が男を愛することを当然視する社会は、異性愛を相対化する言葉を必要としてこなかった。生まれたときの性別に違和感のないシスジェンダーについても、同じことが言える。いまある法律のどこをみても性的指向と性自認の言葉は出てこない。この事実はそのまま、日本の法制度が性的少数者の存在を無視してきたことを意味する。

自民党議員の発言を挙げるまでもなく、性的指向や性自認を理由にした差別は厳然としてある。差別の法的な境界線を心配する前にやるべきことがあるだろう。性的少数者の人権を守る政党なのか、自民党のあり方が問われている。(二階堂友紀)

『朝日新聞』2021年5月29日朝刊
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14920675.html?pn=3
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