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1963年の「ホモ小説」の設定分析 [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

4月2日(金)

昨日入手した『風俗奇譚』1963年1月臨時増刊号に掲載されている5本の「ホモ小説」の設定分析。
①「秋のうた」(露蓮蔵)
高校3年生の悠二と健一。
若い理科教師と悠二。
国語の老教師と健一。

②「あるキリシャ的ホモの一こま」(江田三四郎)
高校2年の順一、柔道部の先輩の景太(23歳)。

③「そどむのみやどの」(本郷 巧)
男300人だけが暮らす南海の孤島が舞台。
紅須(23歳)と太一(17歳)。

④「甘美な夜」(香東啓二)
啓二(19歳)と田村(32,3歳)

⑤「三味線しぐれ」(間宮 浩)
旅回り一座の三味線弾き清吉(中年)と新人役者の進(20歳前後)、

すべて、日本の男色文化の特徴である「年齢階梯制」、つまり、大人の男性と少年(若者)、もしくは年長の若者と年少の若者という組み合わせで、必ず年長者が能動、年少者が受動という関係性が、フィクション(小説)の中で貫徹されている。

逆に言えば、大人の男性同士の性的関係性というファンタジーは、ここには見られない。

当時の現実としてそうした大人の男性同士の関係性がなかったとは言わないが、少なくともファンタジーとして主流ではなかったことは間違いない。

男性同性愛の世界で「年齢階梯制」が希薄化し、大人同士の関係性が主流になるのは、もう少し後(1970年代?)だと思われる。


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