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ニューハーフ志望は、容姿もだけど年齢がシビアだった [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月28日(水)

2000年代初頭まで、ニューハーフ業界に入ろうとすると、容姿による選別も強烈だったが、それ以上に年齢による制約も強かった。

10代(中卒・高校中退)で店に入るのが当たり前の時代だったので、25歳以上の初心者はまず雇ってもらえない。

1990年代以前のニューハーフ業界は、16~18歳で入店、1~2年、黒服(男装)で見習い修業、19~20歳でニューハーフとしてデビュー、20代が全盛で、30歳でチーママ、35歳で独立して自分の店をもちママになる、という感覚。

25歳以上でスタートだと、お店として「使える」期間が短すぎる、ということ。

昔、新宿の路上で、お客さんを送りに出てきたママに、光栄なことに
「あら、うちで働かない」と声をかけられた(容姿はまあ合格ということ)。
「すいません、私けっこう年齢が行っていて、今37なんです」
と答えたら、
「まあ、残念」の一言で終わりだった(年齢で失格)。

また、「どうしても女になりたいから、雇ってください」と泣きながら懇願する人を、ママが「あなたは向いてないから(年齢・容姿的に無理)」と断るのを、傍らで見ていたこともあった。

志望者の気持ちも、ママの立場もわかるだけに、あれは切ない。

「女になりたい」と強く願い人たちが、容姿や年齢で、その望みを絶たれなくなるのは、2000年代に入ってから。
それは「性同一性障害」概念の流布の(数少ない)効用の1つだろう。

さらに言うと、1990年代までは「性同一性障害」治療の場でも、容姿が問われていた。
S医科大学のK先生などは、男性から女性への移行の場合、女性的外貌の獲得が難しい人は「治療」を進めるべきではないとはっきり論文に書いていた。
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栗林和

昭和50年代半ば頃、中洲のお店でどんなに頼み込んでもあんたには無理と断られ、12年ほど前、福岡市内の大学病院とジェンダークリニックを名乗るところで軒並み門前払いでした

若さと持って生まれた容貌が決め手だと身にしみて感じました
by 栗林和 (2020-11-26 12:29) 

三橋順子

栗林和さん、いらっしゃいま~せ。

お店が、年齢で「無理!」というのは、営業的な要素があるから、仕方がない面もあるけど、大学病院やジェンクリが年齢を理由に門前払いするのは、ひどいです。
診断基準に、年齢の規定はありませんから。
by 三橋順子 (2020-12-03 01:44) 

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