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「日本学術会議」の法学委員会・LGBTI分科会の提言書「トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月24日(木)

内閣総理大臣の諮問機関である「日本学術会議」の法学委員会・LGBTI分科会の提言書「性的マイノリティの権利保障をめざして(Ⅱ)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」がやっと公表された。

全文(ダウンロード)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-4.pdf
概要版
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t297-4-abstract.html?fbclid=IwAR2vrPpHKV96BYxW0f8u19QbbXdzFSbQr4Cf1TjPXNcWUV1WAYSnicQQc5M

「提言」の要点。
①「医療モデル」から「人権モデル」への転換。
②「GID特例法」を廃止し、新たに「性別記載の変更手続に関する法律(仮称)」を制定。
③ 国際人権基準に則した形での性別変更手続の簡素化。
④ 性自認やジェンダー表現を「個人の尊厳」ないし「性的自己決定」として明確に保障する根拠法(性的マイノリティの権利保障法)の制定。

提言1
トランスジェンダーの権利保障のために、国際人権基準に照らして、性同一性障害者特例法に代わる性別記載の変更手続に係る新法の成立が必須である。国会議員あるいは内閣府による速やかな発議を経て、立法府での迅速な法律制定を求めたい。
トランスジェンダーの人権保障のためには、本人の性自認のあり方に焦点をあてる「人権モデル」に則った性別変更手続の保障が必須である。現行特例法は、「性同一性障害」(2019年WHO総会で「国際疾病分類」からの削除を決定)という「精神疾患」の診断・治療に主眼を置く「医学モデル」に立脚しており、速やかに廃止されるべきである。特例法に代わる新法は「性別記載の変更手続に関する法律(仮称)」とし、国際人権基準に則した形での性別変更手続の簡素化が求められる。

提言2  
トランスジェンダーを含む性的マイノリティの人権が侵害されることがないよう、性的マイノリティの権利保障一般について定めた根拠法が必要である。国会議員あるいは内閣府による速やかな発議と立法府における迅速な法律制定が望まれる。関係省庁及び自治体は、より実効性の高い権利保障政策の立案・実行・評価に努めるべきである。
トランスジェンダーを含む性的マイノリティの権利保障を真の意味で実現するためには、性自認やジェンダー表現を「個人の尊厳」ないし「性的自己決定」として明確に保障する根拠法の制定が不可欠である。国会議員あるいは内閣府及び法務省は、①「性的指向・性自認・ジェンダー表現・性的特徴」に基づく差別およびハラスメントの禁止、②実施されるべき措置、③人権保障の履行確保制度を盛り込んだ根拠法の法案策定を進めて立法府に発議すべきであり、立法府での速やかな法律制定が望まれる。内閣府・法務省・文部科学省・厚生労働省・外務省・スポーツ庁などの関係省庁及び自治体は、これまで以上に実効性の高い性的マイノリティの権利保障政策を立案・実行し、適正に評価するよう努めるべきである。根拠法は、このような政策の指針および評価基準とされるべきである。

提言3  
「人権外交」(外務省)の方針に基づき、日本も国連人権諸機関から求められている包括的な差別禁止法の制定を目指すべきである。性的マイノリティの権利保障法は、包括的差別禁止法の制定に向けた第一段階として位置付けられる。中央省庁や自治体が連携して包括的な差別禁止政策を推進し、当事者団体・教育機関・企業・専門家・市民等の協力のもとに、国際人権基準に適った多様性に富む日本社会を築くことが期待される。
日本政府は、国連自由権規約委員会から、性別・人種・宗教などを含む包括的な差別禁止法の制定を勧告されている。社会構造に起因する差別の多くは、複合的かつ交差的であるため、個別の差別禁止法では十分に対応できない。したがって、性的マイノリティの権利保障法は、あくまで包括的差別禁止法制定に向けた過渡的なものと認識されるべきである。今後、日本政府と市民が協力して包括的差別禁止法の制定に向けた取組を進め、国際人権基準に適った多様性に富む日本社会を築くことが期待される。
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