田原香風『日本男色考』(1947年) [性社会史研究(性別越境・同性愛)]
9月5日(土)
田原香風『日本男色考』
1947年(昭和22)1月31日刊行
発行所:茜書房(東京都世田谷区若林)
発行人:加藤幸雄
全74頁。15×21㎝(菊判)
定価:15円
【概要】
74頁の薄手の本ながら、奈良時代から明治時代まで、日本の男色を通史的に記述している。
同類の先行する論考として、岩田準一「本朝男色考―歴史文学に現はれたる男色―」(1930~31年にかけて『犯罪科学』に断続的に掲載)があるが、未完であり、男色の通史としては最初の書籍ということになる。
出版社の茜書房は、代表的なカストリ雑誌の1つ『猟奇』を刊行していた。
【表紙】
著者名は「田原香風」。
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【内扉】
著者名は「田原香風」。
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【目次】
1 男色の起源
2 外国に於ける男色の起源
3 男色発生の原因
4 奈良朝時代
5 平安朝時代
6 鎌倉時代
7 足利時代
8 徳川時代
9 明治時代
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【奥付】
著者名は「田原秀風」。「秀風」は誤植と思われる。
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【著者】
田原香風 経歴はまったく不明。『日本男色考』のほか、『猟奇』3号(1947年1月)(茜書房)に『徳川将軍閨門秘史』という著作の広告が見えるが、実際に刊行されたかどうかは未確認。

【出版事情】
敗戦から1年3カ月しか経っていない戦後の社会的混乱期に、こうしたテーマの書籍が刊行されたことが、まず驚き。
私蔵の本には、9×12.5cmほどの紙片が挟まれていて、ガリ版刷りで次のように記されている。
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「『日本男色考』一五円五十銭にて御送申上ます。本書は一千部限定出版にて特別会員の方をのぞきますと、市場には僅か百五十部程しか出ておりません。何時の日にか特殊本として出帆界の話題になる書籍と確信致ます。貴家の書架に是非御保存置き下さい。
代金は会費の中より差引きました。猟奇の三号は十五円になりました。近日中に発送の運びとなりました。大変お待せ致しましたがあとしばらく御待下さい。
一月二十七日 株式会社 茜書房 旧特別会員各位」
『日本男色考』が1000部限定の出帆であり、その大部分(約850部)が茜書房の「特別会員」に頒布され、市場に出たのは150部程であったことがわかる。
実際、私蔵の本の奥付には「315」の印が捺されていて、これが会員番号だと思われる。
この「特別会員」は、おそらく『猟奇』の送付を受けるメンバーだと思われる。
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今回購入した本には、こうした番号はなく、市場に出た150部程のうちの1冊と推定される。
【感想】
著者の経歴がまったく謎だが、史料の引用がしっかりしていて、専門的な訓練を受けた歴史研究者ではないか?と疑っている。
当時、これだけのレベルを書けるのは誰だろう?
田原香風『日本男色考』
1947年(昭和22)1月31日刊行
発行所:茜書房(東京都世田谷区若林)
発行人:加藤幸雄
全74頁。15×21㎝(菊判)
定価:15円
【概要】
74頁の薄手の本ながら、奈良時代から明治時代まで、日本の男色を通史的に記述している。
同類の先行する論考として、岩田準一「本朝男色考―歴史文学に現はれたる男色―」(1930~31年にかけて『犯罪科学』に断続的に掲載)があるが、未完であり、男色の通史としては最初の書籍ということになる。
出版社の茜書房は、代表的なカストリ雑誌の1つ『猟奇』を刊行していた。
【表紙】
著者名は「田原香風」。
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【内扉】
著者名は「田原香風」。
20-20E382B3E38394E383BC-ff3c0.jpg)
【目次】
1 男色の起源
2 外国に於ける男色の起源
3 男色発生の原因
4 奈良朝時代
5 平安朝時代
6 鎌倉時代
7 足利時代
8 徳川時代
9 明治時代
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【奥付】
著者名は「田原秀風」。「秀風」は誤植と思われる。
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【著者】
田原香風 経歴はまったく不明。『日本男色考』のほか、『猟奇』3号(1947年1月)(茜書房)に『徳川将軍閨門秘史』という著作の広告が見えるが、実際に刊行されたかどうかは未確認。

【出版事情】
敗戦から1年3カ月しか経っていない戦後の社会的混乱期に、こうしたテーマの書籍が刊行されたことが、まず驚き。
私蔵の本には、9×12.5cmほどの紙片が挟まれていて、ガリ版刷りで次のように記されている。
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「『日本男色考』一五円五十銭にて御送申上ます。本書は一千部限定出版にて特別会員の方をのぞきますと、市場には僅か百五十部程しか出ておりません。何時の日にか特殊本として出帆界の話題になる書籍と確信致ます。貴家の書架に是非御保存置き下さい。
代金は会費の中より差引きました。猟奇の三号は十五円になりました。近日中に発送の運びとなりました。大変お待せ致しましたがあとしばらく御待下さい。
一月二十七日 株式会社 茜書房 旧特別会員各位」
『日本男色考』が1000部限定の出帆であり、その大部分(約850部)が茜書房の「特別会員」に頒布され、市場に出たのは150部程であったことがわかる。
実際、私蔵の本の奥付には「315」の印が捺されていて、これが会員番号だと思われる。
この「特別会員」は、おそらく『猟奇』の送付を受けるメンバーだと思われる。
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今回購入した本には、こうした番号はなく、市場に出た150部程のうちの1冊と推定される。
【感想】
著者の経歴がまったく謎だが、史料の引用がしっかりしていて、専門的な訓練を受けた歴史研究者ではないか?と疑っている。
当時、これだけのレベルを書けるのは誰だろう?
2020-09-06 18:30
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