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「変態性欲」研究書シリーズ(その4)田中香涯『人間の性的暗黒面』(1922年) [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

9月4日(金)

「変態性欲」研究書シリーズ(その4)

田中香涯『人間の性的暗黒面』
1922年(大正11)7月5日刊行
発行所:大阪屋号書店(東京市日本橋区数寄屋町)
発行人:濱井松之助

全286頁。12.6×18.5㎝(四六判)
定価:2円30銭

【概要】
緒論と25本の論考からなる。
論考のテーマは、生殖腺、オナニー、同性愛、売春、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムなどが中心だが、入浴風俗など民俗的な関心も見える。
また、著者名が統一されてなく、本名(祐吉)と雅号(香涯)の両方が使われている。

【背表紙】
厚さは1.7cm。著者名は「田中祐吉」。
人間の性的暗黒面(田中香涯) (6) - コピー.JPG

【表紙】
なんの変哲もない黒褐色のクロスの表紙(文字無し)。

【内扉】
著者名は「田中香涯」。
人間の性的暗黒面(田中香涯) (1) - コピー.JPG

【目次】
緒論
性慾と生殖腺
手淫
同性愛  ←短い
男性間に於ける同性愛
女性間に於ける同性愛
性慾の顛倒せる一女性の故殺未遂事件に関する旧記録より ←女性同性愛の事例
売笑婦存在の理由一面(性的嗜好物としての売笑婦)
私娼としての芸者考
日本に於ける売笑婦の起源と成立
所謂変な女 ← 強姦偽訴事件
偉人と好色
淫婦の話
堕胎
殺人淫楽の話
共同浴場と性的風俗
立像に恋ひする男(ピグマリオニスト)
江戸時代に於ける性的犯罪の刑
虐待性好淫者ザード侯爵と殺生関白豊臣秀次
「サヂズム」の女
僧侶の妻帯
三度破鏡の嘆を見たる薄倖の美人
至親間の交会
弱きものよ、汝の名は女なり
貴婦人堕落の原因考察
マソヒスムスに関する説話
人間の性的暗黒面(田中香涯) (4) - コピー.JPG

【奥付】
著者名は「田中祐吉」
人間の性的暗黒面(田中香涯) (2) - コピー.JPG

【著者】
田中香涯(たなか こうがい 1874年~1944年)は、日本の病理学者、性科学者。
1874年(明治7)、大阪府北浜の漢方医の家に生まれる。本名は祐吉。
1894年(明治27)、大阪医学校本科(現:大阪大学医学部の前身)を卒業し、同校の病理学教室助手となる。
1906年(明治39)、母校の大阪府立高等医学校教諭に就任。
1910年(明治43)、大阪府高等医学校病理学教室病理解剖担当となり、ドイツに留学、医学博士号を取得(翌年帰国)。
1914年(大正3)、大阪府高等医学校を依願退職。
1923年(大正12)、雑誌『変態性欲』を刊行(~1926年)。
1944(昭和19) 没
(参照)
斎藤 光「〈20年代・日本・優生学〉の一局面」(『現代思想』21-7、青土社、1993年7月)
新井正人「田中香涯と検閲の問題―発禁になった本、ならなかった本」(『「内務省委託本」調査レポート』第11号、千代田区立千代田図書館、2015年2月)

【感想】
和・漢・洋、博覧強記であるのは間違いないが、文章はいろいろ詰め込み過ぎで、あまり読みやすいとはいえない。
この本だけからの印象だが、論理より知識の人のように思う。


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