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Ⅹ線脱毛の話 [生活文化・食文化・ファッション文化論]

10月2日(水)

レベッカ・M・ハージク著『脱毛の歴史 ムダ毛をめぐる社会・性・文化』(東京堂出版。2019年7月)の第4章で、20世紀前半のアメリカでX線照射による脱毛が盛んにおこなわれていたことが紹介されている。

強いX線(放射線)を浴びると、毛頭組織が破壊され脱毛が起こることは広島・長崎の原子爆弾被害などで、よく知られているが、それ以前には、そんなことに使われていたのだ。
ちょっと、衝撃だった。

私の父は放射線の専門医で、敗戦直後の東京で、胸部X線検査のため、あちこち巡回し、防護設備も不十分な状況で大量被曝した。
そのせいで、脛の皮膚のあちこちが白いケロイド状になっていて、脛毛がほとんどなかった。
ああ、こういうことを利用していたのだと思ったが、あまりに個人的なことなので、書評には書かなかった。

亡父は、けっこう重い放射線障害で、一時は長生きできないと思われていた(結局、92歳で老衰死)が、当時、X線脱毛を受けた女性たちは健康被害を起こさなかったのだろうか?

同じころ(1910~20年代)のアメリカで、放射性物質(ラジウム)が成分の夜行塗料を扱う工場で働いていた女性に被曝による健康被害が続出した話を思い出した。


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コメント 2

葉月

こんにちは、お久しぶりです。
私が持っている昭和始めの日本の婦人雑誌の美容の記事の中にも、X線照射の脱毛が紹介されていて、届いて読んだ時びっくりしました。
by 葉月 (2019-10-03 03:23) 

三橋順子

葉月さん、いらっしゃいま~せ。

アメリカでは一時期かなりブームだったようですから、欧米の新奇なものに敏感な日本に入っているのも当然かもしれません。
でも、現代の知識からしたら、怖いです。
X線検査より、ずっと1回の線量が高いと思います。
by 三橋順子 (2019-10-03 12:29) 

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