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同性パートナーの関係を「事実婚」に準じて認定、宇都宮地裁真岡支部 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

9月18日(水)

元同性パートナー間の損害賠償訴訟で、宇都宮地裁真岡支部が、生活実態を評価して、同性パートナー関係を異性間の「事実婚」に準じると認定。
地裁レベルの判断とはいえ、画期的な判決。

ややこしいので、時系列的に整理。

2010年、原告女性Aと被告女性Bは同居を開始。
2014年、米国で結婚証明書を取得。
2015年、日本で結婚式を挙げた。
その直後、被告女性Bが「原告女性Aと子育てしたい」と出産を希望したため、会員制SNS(交流サイト)を通じて精子提供に応じた被告男性Cとの間で人工授精を行った。
原告女性Aは、子育てのための新居を単独で購入し、人工授精の費用も負担。

2017年1月、被告女性Bと被告男性Cの不貞行為が発覚し、関係が破綻。
2018年夏、被告女性Bは被告男性Cとの子どもを出産。
2018年秋、被告男性Cは性別適合手術を受け、性別を女性に変更。

レズビアンのカップルが子育てを希望し、精子提供を受けたが、その精子提供者とデキてしまい、レズビアンカップルが破綻。
女性Aが元同性パートナーの女性Bとその恋人男性C(現在は女性)に対して、 精子提供・子育て準備(家の購入)の費用の一部を請求した訴訟。

精子提供者の男性が、女性に性別変更したことを除けば、それほど複雑なケースではない。
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金額からして、精子提供の費用+慰謝料という感じだろうか?

同性パートナーの関係を「事実婚」と認定できるかどうかが争点だったが、裁判官は、男女間の婚姻と何ら変わらない実態を有していて、内縁関係と同視できる生活関係にあったと認め、法的保護の対象になるとした。
ただし、慰謝料は、異性カップルより減額した。

毎日新聞20190825.jpg
↑ 『毎日新聞』2019年9月25日
毎日新聞20190825-2.jpg

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同性カップル法的保護認める判断

同性のカップルが破局した場合、相手に慰謝料を支払う必要があるか争われた裁判で、宇都宮地方裁判所真岡支部は同性のカップルであっても男女の内縁関係と変わりないと認められる場合は、異性のカップルと同じように法律上保護されるべきという判断を示しました。
原告側の弁護士などによりますと、同性婚が認められていない日本でこうした判断が示されるのは初めてだということです。

原告の30代の女性は、7年にわたって同居し、同性婚が認められているアメリカで婚姻手続きもしたパートナーの女性が第三者と関係を持ったことで破局したとして、この女性らに対し賠償を求める訴えを起こしました。
裁判では、同性婚が認められていない日本で同性カップルでも、異性のカップルと同じように法律上、保護の対象となるかどうかが争点となりました。

18日の判決で、宇都宮地方裁判所真岡支部の中畑洋輔裁判官は、「価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい状況になっている。世界的に見ても同性婚を認めている国が存在するし、国内で同性のカップルを公に認める制度を導入する自治体も出てきている。『婚姻は両性の合意のみに基づく』としている憲法24条も、同性婚を否定する趣旨とまでは解釈されない」などと指摘しました。
そのうえで、「同性のカップルであっても実態として男女の内縁関係と変わりないと認められる場合は、異性のカップルと同じように法律上保護されるべき」という判断を示しました。
一方、慰謝料の額については、異性カップルと同じ程度とは認めず、原告の請求より少ない、110万円を支払うよう命じました。

同性のカップルを巡っては、最近では、自治体が結婚に相当する関係と認める、いわゆるパートナーシップ制度を導入する動きが広がっていますが、法的な効力はありません。
原告側の弁護士などによりますと、同性カップルでも生活実態によっては異性のカップルと同じように保護されるべきという判断が示されたのは初めてだということで、18日の判決は注目を集めそうです。

被告代理人の和地郁枝弁護士は、判決について「主張が認められず、厳しい判決であると認識しています。控訴については、被告らと協議し、対応していきたい」とコメントしています。

同性婚は、日本では認められていませんが、海外では認める動きが広がっています。
家族法やLGBT=性的マイノリティーの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授によりますと、同性婚を認めたのは2001年のオランダが最初で、それ以降、ヨーロッパや南米を中心に増え、ことし5月にはアジアで初めて台湾で認められるなど現在は、27の国と地域に広がっています。

一方、日本では20あまりの自治体が同性のカップルを結婚に相当する関係と認める、いわゆるパートナーシップ制度を導入しています。
しかし、この制度は、同性カップルの関係を公に承認することで社会生活を送りやすくするのが狙いで、法的な効力はないため、男女の夫婦のように配偶者としての権利を行使することはできません。
こうしたなか、日本で同性どうしの結婚が認められていないのは法の下の平等などを定めた憲法に違反するとして、全国の同性カップルが、国に賠償を求める集団訴訟をことし2月以降、東京など5か所で起こしています。

18日の判決について、家族法やLGBT=性的マイノリティーの問題に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「同性カップルの関係が正当な理由なく破棄された場合、異性カップルと同じように損害賠償責任を負わなければならないという司法判断が出たもので非常に画期的だ」と評価しました。
そして、「この判決が同性婚の議論や立法化に向けた大きな一歩になると思うし、同性婚を巡って現在争われている裁判にも大きな影響があるのではないか」と指摘しました。
また、「『婚姻は両性の合意のみに基づく』としている憲法24条を同性婚を否定する趣旨とまでは解釈されない」などとしたことについては、「憲法制定当時、同性婚は想定されておらず、積極的に同性婚を排除する趣旨ではなく保護しても憲法違反にはならないという踏み込んだ判断をした」と指摘しました。

一方で、「今回の判決では、同性婚が認められていない現時点では、同性カップルの法的な保護の程度を男女の法律婚や事実婚と比べて差があっても仕方ないと判断し慰謝料を減額している。不貞行為による苦しみや悲しみは男女であろうが同性であろうが一緒なので法的な権利の平等化に向けて課題が残る部分もあった」と述べました。

「NHKニュース」2019年09月18日 17時59分
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190918/1000036410.html
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元同性パートナー一部賠償 事実婚巡り宇都宮地裁支部

長期間同居し、米国で結婚した同性パートナーの不貞行為をきっかけに関係が破綻したとして、30代女性が約630万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、宇都宮地裁真岡支部(中畑洋輔裁判官)は18日、請求の一部を認め、元パートナーの女性に110万円を支払うよう命じた。

同性婚が法律で認められていない中、同性カップルが婚姻に準ずる「事実婚(内縁)」に当たるかどうかが争点だった。

訴状などによると、原告女性と被告女性は2010年に同居を開始。14年に米国で結婚証明書を取得し、翌年に日本で結婚式を挙げた。直後から被告女性が「原告女性と子育てしたい」と出産を希望したため、会員制SNS(交流サイト)を通じて精子提供に応じた被告男性との間で人工授精を行った。

17年1月、被告女性と被告男性の不貞行為が発覚し、関係が破綻。その後、被告女性は被告男性との子どもを出産し、被告男性は性別適合手術を受け、女性への性別変更が認められた。原告女性は子育てのために準備していた新居を単独で購入し、人工授精の費用も負担した。

原告側は、長期間の同居や結婚式など「事実婚の状態にあったのは明らか」で、同性愛者も事実婚による法律上の保護を受けるべきだと主張。被告側は「単なる同性カップルの関係にすぎない」とした上で、同性婚は法整備がされておらず、法的保護を受けられる段階にないと反論していた。
〔共同〕

『日本経済新聞』2019/9/18 14:28
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49928310Y9A910C1000000/
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同性カップルの「事実婚」認定 「法的保護の対象」 宇都宮地裁真岡支部

米国で結婚し、日本国内で長期間一緒に住んだ女性の同性カップルが一方の不貞行為によって破綻したとして、30代女性が元交際相手らに約630万円の損害賠償を求めた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部の中畑洋輔裁判官は18日の判決で、2人の関係を「事実婚」と認定し、法的保護の対象になるとした。

中畑裁判官は、2人の関係について、男女間の婚姻と何ら変わらない実態を有していて、内縁関係と同視できる生活関係にあったと認めた。

『産経新聞』2019.9.18 16:45|
https://www.sankei.com/affairs/news/190918/afr1909180022-n1.html

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