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「変態(クィア)上等」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

9月7日(土)

1990年代、女装世界の先輩たちは、男から誘われたらまず断ることなく、「寝た男の数が『女』の勲章」と言ってはばからない人もいた。

私の世代になると、男と寝るか寝ないかは、その時の気分で自分で決めるというタイプが多くなる。

実際、
男「おい、順子、ホテルに行こう」
私「嫌」
男「お前、今、『嫌』って言った?」
私「だって、今夜はそういう気分じゃない」
という会話で、「あいつ、俺の誘いを断りやがった。生意気だ!」と言われたこともある。
私にしてみれば、「寝る寝ないは自分で決める」は当たり前のことだったが。

逆に言えば、そういう気分の時に誘われれば、ほとんど断らなかった(まあ、相手の清潔度にもよるが)。

お陰様でというのも変だが、人並み以上にモテた(よく誘われた上にリピート率が高かった)。
「誘蛾灯の順子姐さん」の二つ名は、それだけの実績があってのことなのだ。

遅い青春時代、ずいぶん楽しく気持ちの良い思いをさせてもらった。
夜を共にした男たちには感謝している。

というようなことは、拙著『女装と日本人』(講談社現代新書、2008年)にちゃんと書いてある。
自著に書いてあることを、今更、隠す馬鹿はいないだろう。

だから、自分が性的に品行方正だったなんて言うはずがない。
私の旗指物1つは「変態上等!」だし、自分でも「変態(クィア)」だと思っている。

そもそも「変態(クィア)」でなにがいけないのだ?
「僕も変態、私も変態」の方が、世の中ずっと楽しいだろうに。

性経験が豊富な人やセックスワーカーを、否定し馬鹿にする傾向って、ほんとうに嫌だし、愚かなことだと思う。
「お前、何様だ?」って言いたくなる。

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↑ 1994年10月、大阪・京橋のラブホテル街で。

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