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性同一性障害の人の「適合手術」、保険適用を議論へ [現代の性(性別越境・性別移行)]

11月29日(水)

前から指摘しているように、2018年に国際的な疾病分類(WHOのICD)の改訂で「性同一性障害」という病名が消えるのに、日本国内で「性同一性障害」による性別適合手術への健康保険適用を行うことは矛盾しないのか?という疑問。

また、WHO他の国連諸機関が、公的な性別の変更に際して性別適合手術を法律で義務付けるのは人権侵害と勧告していて、日本の法律はその点で完全に抵触している。
それをそのままにして、性別適合手術に健康保険適応をしてよいのか?という疑問。

法的な性別変更と生殖権(子孫を残す権利)を安易にバーター(取引)してしまう法制度というのは、現代の国際的な人権感覚からして、かなり問題がある。
そこらへんの議論がまったくなされずに、生殖権を喪失する性別適合手術に健康保険を適用するのは、私的には大いに疑問がある。
順序として、まず法的な性別変更の要件から性別適合手術を外し、その上で純粋に医学的に治療効果があるのなら性別適合手術に健康保険を適用すべきだと思う。

さらに、実際問題として、性別適応手術に健康保険が適用されるのは、かなり限られた認定医療機関になると予想される(おそらく10カ所以下)。
それでは、年間1000例近い需要には応じられない。
手術をする認定医療機関が今後、増えていかないと、相変わらず海外での手術が主流になってしまう。

ちなみに、当然のことながら、海外での手術には健康保険は適用されない。
健康保険が適用されて費用が安くすむ国内の病院で3年以上手術の順番待ちをするか、約3~4倍?の費用を払って、すぐに手術してくれる海外の病院にするかの選択になると予想される。

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性同一性障害の人の「適合手術」、保険適用を議論へ

体と心の性が一致しない性同一性障害の人が、体を心の性に合わせる「性別適合手術」について、公的医療保険の対象にするかどうか、厚生労働省が29日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で議論してもらうよう提案する。2004年に性同一性障害者の性別変更を認める特例法が施行されたが、この手術が要件の一つとなっているためだ。

性同一性障害の人は精神保健福祉法上、精神障害と位置付けられている。特例法では「20歳以上」「婚姻していない」などに加え、性別適合手術を受けることが性別変更の要件となっている。手術には子宮や精巣などを摘出する多額のお金が必要なケースがあるが、今は公的医療保険の適用外だ。

特例法によって、これまでに性別を変更した人は約7千人いる。年々増えて16年は約900人で、厚労省は保険適用の可否について議論する必要性が高まっていると判断した。

『朝日新聞』2017年11月29日07時06分
http://www.asahi.com/articles/ASKCX6DVNKCXUTFK01K.html?ref=tw_asahi
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性別適合手術に保険適用へ 来年度、性同一性障害対象

厚生労働省は28日、心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人を対象にした性別適合手術について、来年度から新たに公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った。近年、性的マイノリティーへの社会的認知が広がっていることが背景にあり、社会保障制度でも支援体制を整える動きが始まったといえそうだ。

現在は高額な費用が壁となって手術をためらう人も多いが、保険が適用されれば最大3割の自己負担で受けることができる。厚労省は29日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提案する。

「共同通信社」2017/11/29 02:00
https://this.kiji.is/308286764265686113
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性別適合手術 保険適用 当事者、歓迎と懸念 「ホルモン療法にも広げて」

心と体の性別が一致しない性同一性障害(GID)の人に対する性別適合手術に、来年度から公的医療保険が適用される見通しとなった。2004年にGIDの人の性別変更を認める特例法が施行されて10年余。当事者たちは長年の訴えが届いたことを歓迎する一方、経済面や心理面の負担をより軽くする保険適用の拡大や制度変更を望む声も出ている。


子宮や卵巣を摘出したり陰茎を切除したりする性別適合手術の保険適用は、11月29日の中央社会保険医療協議会で厚生労働省が提案し、大筋で了承された。性同一性障害特例法は手術を戸籍上の性別変更の要件にしているが、今は保険の対象外。100万円を超えることもある費用はすべて自己負担だ。保険が適用されれば原則3割負担で、高額医療費の負担軽減措置もある。

20年近く保険適用を訴えてきた「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」前代表の山本蘭さん(60)は「活動の成果がようやく実る」と喜ぶ。金銭面から手術できないことで絶望し、自死を選んだ人もいたという。15年にGID学会による認定医制度はできたが、安全性はなお課題。手術のできる医療機関の地域格差もある。山本さんは「保険適用が医療の質の向上と医療機関の増加につながれば」と期待する。

体の性別は女性で男性として暮らす東京都内の大学生(22)は「戸籍上の性別変更を将来の選択肢として考えることができる」と声を弾ませる。ただ、体を心の性別に近づける効果のあるホルモン療法は、手術より一般的に行われているのに保険適用外のまま。「ホルモン療法も急いでほしい」と求めた。

一方、手術が要件となっている現行制度自体が人権侵害だとの批判もある。NPO法人「共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク」の原ミナ汰(た)代表理事(61)は「手術しやすくなることで、本人の意思に関わりなく周囲から戸籍の性別変更を求められ、手術に追い込まれてしまうのではないか」と懸念し、法改正を訴える。【藤沢美由紀】
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『毎日新聞』2017年12月1日 東京夕刊
https://mainichi.jp/articles/20171201/dde/041/040/027000c
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AJ

東京新聞によればホルモン療法は適用外。
もっぱら特例法が根拠のようです・・。
by AJ (2017-11-30 15:15) 

三橋順子

AJさん、いらっしゃいま~せ。

ホルモン療法だけ保険適用外というのは、まさに性器外形(性別適合手術)至上主義で、かなりひどい話です。

by 三橋順子 (2017-12-02 13:29) 

ルクス

概ねが健康体で産まれ健康や生命維持に直接影響のないモノが優先され

身体的な疾患で健康や生命維持に直接影響があるにも関わらず、戸籍や外生殖器の形状だけで治療方法決めつけられて、ホルモンが合わずに体調が改善するどころか悪化しても治療方法を選べず、体質に合ったホルモン治療が必要なのに保健適用されないで、複数の疾患を抱え短命に終わるのは何処かおかしい。

順番が違う

或る意味とばっちり

ハッキリ言って、迷惑

声がデカい者勝ち

難病対象候補の1つとして研究はされては居てもまだまだ遠いです。

健康や生活に著しい支障を来す場合は個別で対応できる様になったけど、対応してくれる病院は相変わらず極めて少ないのも変わらず(性分化疾患の一種のXXYと告げると厄介なモノが来た顔されるし、初耳されるし)最近やっと理解ある病院を見付けて、若年生更年期障害?で保健適用で治療できるようになりましたけど…声はデカくないけど、コツコツやってます。)

先ずホルモン治療を保健適用とした方が良しと思います。SRS後もホルモンは健康維持に必要ですからね。

SRSしなくても環境を整えることで生活に困難を来す当事者は圧倒的に減ると思います。

環境を整える前に先ずSRSを保健適用ありきはないでしょ!

安易です。

SRSは、保険適用外でOKです。

費用は自分で稼げ!
by ルクス (2017-12-04 10:35) 

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