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『朝日新聞』2017年10月30日朝刊「性別変更 元に戻せない 思い込みで決断 後悔する人も」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月30日(月)

『朝日新聞』2017年10月30日朝刊「性別変更 元に戻せない 思い込みで決断 後悔する人も」
朝日新聞20171030 (2).jpg
この記事の件、最初、記者から話を聞いた時、「吃音→性同一性障害」の部分がまったく理解できなかった。

もう一度、説明してもらって「吃音→社会的疎外→社会活動する性同一性障害者→共感・羨望→性同一性障害者に同一化願望」ということなのか…と、理解したが、それはどう考えたって、性同一性障害の診断基準に適合しない。

「いったいどこの病院で診断書を出したのですか?」と尋ねると、そもそも性同一性障害の診断なしで、いきなりタイに行って手術してしまったとのこと。
現在ではほとんどないケースだが、2000年代初頭まではあった。

で、手術して帰国後、2003年7月に「性同一性障害特例法」ができて、戸籍の性別変更が可能になった(2004年7月施行)。
そこで、性別変更のために後付けで性同一性障害の診断書をもらおうということになった。
ここで診断書が出なければ、戸籍の性別変更はできないわけで、今回の再変更問題も起こらなかった。

ところが、難航したものの性同一性障害の診断書が出てしまった。
そこには、針間先生がコメントで述べているように「本人が強く主張すれば、その通り診断してしまうことはあり得る。先に性別適合手術を受けてきた場合はなおさらだ」という事情があった。
(そうしたケースがあるのは私も聞いていた)

とはいえ、性同一性障害の診断基準に合致しない人に性同一性障害の診断書を出してしまったわけで、あきらかに「誤診」。
(どこの病院が出したかも知っているが言えない。「はりま」ではない)

ということで、本人の過剰な思い込みと専門医の「誤診」の結果が、今回の性別再変更問題の原因である。
ただし、こうした事態は、きわめてレア・ケースである。
性別変更事例7000例の内、再変更の事態になったのは、確認できる限り3例のみ(0.04%)。
表沙汰になっていないケースを入れても1000例に1例くらいだろう。
あくまでも特異事例と考えるべきだと思う。

ただし、特異事例だから「自業自得」(自己責任)で放置すればいいかと問われると、研究者の立場からは「放置でいい」とは言えない。
なんらかの救済措置が必要というコメントになってしまう。

この方の場合、現状が性同一性障害だと思う。
だから、(現状)女性の性同一性障害者として、GID特例法に基づいて、女性から男性への性別変更の手続きをとるのがよいのではないか、とアドバイスをした。
GID特例法は、再変更は想定していないが禁止もしていない。
男性から女性に変更した時とは別の医師に診断書を書いてもらい、男性→女性の変更を申請した家裁とは別の家裁に女性→男性の申請すれば、法律&司法実務上の問題はないと思う。



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