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ドキュメンタリー映画「恋とボルバキア」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月29日(日)

やっと時間が取れたので、小野さやか監督のドキュメンタリー映画「恋とボルバキア」(12月9日から「ポレポレ東中野」でロードショウ)を見せていただく。
ちなみに「ボルバキア」とは「宿主を性転換させる共生バクテリア」とのこと。

主な登場人物は8人。
インターセックスの人が2人、レズビアンが1人、女装者愛好男性が1人、残り4人は広い意味でのMtFのトランスジェンダー(内2人は知人)。

1990年代のトランスジェンダー世界を生きた私からすると、こうしたいろいろな「性」の形をもつ人たちに焦点を当てたドキュメンタリー映画が作られ、それが劇場公開されるとは、なんて素敵な世の中になったのだろうと思う。

しかし、そんな世の中になったのに、出演者たちが皆、辛そうなのが、とても気になる。
実際、泣いている場面が多い。

多様な(非典型な)「性」の形が存在することが広く世に中に知られた現在、彼女/彼らは、広い世の中で生きている。

1990年代の私たちはそうではなかった。
新宿歌舞伎町~三丁目界隈の小さな女装コミュニティをベースに生きていて、ときどき世の中に顔を出す程度で済んだ。
コミュニティには、時にやさしく、時に厳しく私たちを保護してくれるママがいて、いろいろなタイプの先輩たちがいた。
そこにはいろいろな制約もあったが、ママのアドバイスや、先輩たちの姿を見習って、自分の形を作ることができた。
そして、それが少しずつ自己肯定につながっていった。

今の若い人の世界は、そうではない。
もっと自由だが、もっとシビアだ。
自己肯定に至るのも容易でない。

そういう点で「大海原の魚」と「水槽の魚」に例えられると思う。

どちらが幸せなのだろう?
懐旧的な老人はふと思ってしまう。

でも、多様な(非典型な)「性」をもつ人たちにとって、この20年、世の中は確実に良い方向になっているし、これからも良い方向に行くだろうと信じて進むしかないと思う。

【まったく個人的な感想】
登場人物の中で1人だけ世代が近い(女装世界では先輩)相沢一子さんのパート(女装して高尾山登山など)がいちばん安心して見られた。
あとは、正直、かなり重かった(どうしても自分がきつかった頃と重ねてしまう)。
井上魅夜さんの「再起」の場面が見られて良かった(魅夜ちゃんは「餌付け」が上手)。


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