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HIV感染、2003~06年の大阪で何が起こった? [現代の性(HIV・性病)]

12月2日(水)

11月30日の「日本エイズ学会」での報告報告を紹介した記事。
この記事にある「03~06年、大阪府での大規模な(HIV)感染拡大」という話、うかつにも私は知らなかった。
(まだ自分のことに精一杯で、余裕がなかった頃)
いったい何があったのだろう?
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大阪におけるHIV感染者、AIDS発病者のグラフを見ても、2003年あたりから増加傾向が強まるが、それは06年以降も同じで、03~06年だけに特異な状況は見られない。

Facebookの方で「詳しい方、ご教示いただけたら幸いです」とお願いしたら、この報告があったセッションに参加していた、某先生が解説してくださった。

① HIVに感染してから、時間が経つほど、感染が判明する可能性が増える(最終的にはエイズ発症し病院で判明)。
② 何年経つとどのくらいの人たちの感染が判明するか、という数式モデルがあり、その傾向が毎年変わらないという前提で、日本の発生動向に当てはめると、毎年どのくらいの人たちがHIVに感染したか、という推測が可能になる
③ そのモデルによって、毎年の推定感染数をグラフにすると、大阪の場合、2003~06年に急激な感染数の上昇がみられた。
④ 裏付けとして、大阪では2003~06年に、献血でHIVが判明した人たちの割合がピークを示していて、大阪人口全体として感染が増えたことと一致する。

なるほど、そうした数式モデル(推論)があったのか。
だから、表面的なグラフだけ見ててもわからなかったか。
納得、記事に載っていたグラフの意味が理解できた(ご教示、感謝)。

その推論が正しいとして、いったいその期間の大阪で何が起こったのか、ますます興味をひかれる。
相手を感染させる力が強いキャリアの人(スーパースプレッダー)が「ハッテン場」でやりまくっていたとか・・・。
でも、HIVの場合、そういうことがあのかな? スーパースプレッダーは、HIV領域でも存在します。

【追記(3日21時)】
上に記した疑問について、某先生が教えてくださった(感謝)。
⑤ HIVの初期感染状態(HIVに感染して数週以内)は、ウィルス量が極めて多く感染力も強いことが知られている。
⑥ 今回のエイズ学会(11/30)でも、国立感染症研究所の研究発表で、2002-2012年の調査でMSM(男性間で性行為をする人)集団の感染の30%近くは、初期感染状態の相手から感染したとのこと。
⑦ 以下は推測だが、2003~06年の大阪で、初期感染の状態で極めて感染力の強いごく少数のゲイが、感染ネットワークのトリガーになった可能性は十分あり得る。

なるほど・・・、私がイメージしたこと、必ずしも外れていなかった。
ごく少数の感染力の強いゲイが起点になって、乱交的な性行動を通じて、一気に感染が広まる可能性があるわけだ。

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HIV国内感染者約2万8千人 うち3割が未診断 大阪の大規模感染はピーク超える 日本エイズ学会

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年間の日本人HIV感染者数

国内でこれまでにエイズウイルス(HIV)に感染した日本人は約2万8千人で、そのうち3割の約8千人が自分の感染を知らないとする推定を、慶応大の加藤真吾専任講師(微生物学)が30日、東京都内で開かれている日本エイズ学会で発表した。

早期発見と治療につなげるため、検査の推進があらためて求められる。

加藤講師は今回、HIVの潜伏期間を示す欧州のデータと、日本のエイズ動向委員会が「患者」として公表する、発症によって感染が分かった人の数を使い、年に新規の感染者がどれくらい出ていたかを推定した。

その結果、実際に判明した感染者や患者は2014(平成26)年までの累計で2万490人だが、このほかに8120人の未診断の感染者が出ていた可能性があると分かった。

年次推移を見ると、新規感染者は03~06年、大阪府での大規模な感染拡大の影響で約1600人とピークを迎え、その後は1300人前後で横ばいが続いているとみられるという。

加藤講師は「休日や夜間に検査が受けられる体制を整えたり、郵送検査を活用したりするなど、検査が受けやすい環境をさらにつくっていくべきだ」と話している。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)は昨年、流行収束に向け、20年までに「感染者の90%が自分の感染を知り、その90%が治療を受け、さらにその90%が適切な治療でウイルスを抑える」との目標を掲げた。

『産経WEST』2015.11.30 17:01
http://www.sankei.com/west/news/151130/wst1511300057-n1.html
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