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「わいせつ物頒布等の罪」についての警察の「線引き」 [事件・事故]

12月4日(木)
ろくでなし子さん再逮捕、北原みのりさん逮捕事件の続報。

ろくでなし子さんの逮捕容疑、「わいせつ電磁的記録媒体頒布」に「わいせつ物陳列」が加わっているようだ。

北原さんは、黙秘してるようだ。
まあ、彼女の主張からしたら当然だと思うが、ということは当分、出られないだろう。
最悪、拘置期限ぎりぎりまで拘留されて、起訴になるかも。

引用記事の中で、警視庁幹部が「性風紀の維持のため、これ以上はダメだという一定の線引きは必要」と言っている。
今回の逮捕から見えてくる、警察の「線引き」を推測してみた。

(1)男女を問わず、自分の性器を模したものを作って、自分で(限られた特定の人たちで)遊んでいるのは摘発しない。
(2)男性器・女性器を模した物(二次元の写真、三次元の模型)を不特定多数の人に頒布する場合は摘発(刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」の「頒布」容疑)。
(3)それが電子データーであっても、不特定多数の人に頒布すれば摘発(同「電磁的記録媒体の頒布」)。
(4)それが特定個人に結びつく場合は、いっそう厳しく摘発(今回のろくでなし子さんの場合)。
(5)男性器・女性器をそのまま模した物を男性器の模型、女性器の模型として陳列もしくは販売したら摘発(刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」の「陳列」・「販売」容疑)。
(6)男性器・女性器を模した物であっても、デフォルメされているものは、芸術性があると認めて摘発しない。
(7)男性器・女性器を模したと思われる物であっても、他の物に置き換えている場合は、販売目的で店頭に並べても摘発しない。
たとえば、「男根型バイブレーターに見えるかもしれませんが、これは首を振るこけし人形です」という言い逃れは、現実にそれなりに通用している。

つまり、北原さんがろくでなし子さんの作品を「女性器に見えるかもしれませんが、これは襞が寄った菱餅です」と主張していれば、逮捕されなかったかもしれない(言うはずないが・・・)。

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女性器かたどった作品陳列の疑い、ライターと漫画家逮捕

女性器をかたどった「作品」を陳列したとして、警視庁は3日、漫画家五十嵐恵(42)=東京都世田谷区、ペンネーム・ろくでなし子=とアダルトショップ経営渡辺みのり(44)=東京都文京区、ペンネーム・北原みのり=の両容疑者をわいせつ物陳列の疑いで逮捕し、発表した。五十嵐容疑者は「陳列したものはわいせつ物には当たらない」と否認し、渡辺容疑者は黙秘しているという。

五十嵐容疑者は自身の女性器の3Dデータを配布したとして、7月にわいせつ物頒布等の疑いで逮捕されたが、処分保留のまま釈放されていた。今回は再逮捕で、逮捕容疑に別のわいせつ物頒布等容疑も入っている。

保安課によると、両容疑者は昨年10月~今年7月、文京区内の渡辺容疑者の店のショーケースに五十嵐容疑者の女性器をかたどったわいせつ物を陳列した疑いがある。

五十嵐容疑者は昨年10月、女性器の3Dデータがダウンロード出来るサイトのURLを延べ48人にメールしたほか、今年5月、3Dデータを記録したCD―Rを17人に送った疑いも持たれている。

渡辺容疑者は女性向けのアダルトグッズストア「ラブピースクラブ」代表で、ライターとしても活動。7月の五十嵐容疑者の逮捕について、「女性器はわいせつ物ではない」とツイッターでつぶやくなど、警察の捜査を批判していた。

■弁護士「表現活動の弾圧だ」 警察側「性風紀維持のため」
女性器をかたどった作品がわいせつ物かどうか。五十嵐容疑者側と警察の見解は激しく対立する。

「明らかに不当逮捕だ」
7月の逮捕時から五十嵐容疑者を弁護する須見健矢弁護士は憤る。前回は逮捕の6日後、証拠隠滅や逃走の恐れがないとして、裁判所が勾留取り消しの決定をした。4カ月後の再逮捕。「自白を取ろうとしているとしか思えない。今回は作品の陳列での立件も加わった。表現活動の弾圧だ」

甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法)は前回と同じわいせつ物頒布等容疑での再逮捕について、「釈放後、処分も出ていないのに、いかがなものか」と捜査手法に疑問を呈する。陳列容疑も「見たい人だけが来るアダルトショップで、見たくない人に見せたわけではない。犯罪性があるのか根本的に疑問がある」。

司法の場では、「わいせつ性」の基準は時代ごとの「社会通念」で変化するとの考え方が定着している。女性学研究家の田嶋陽子さんは「警察の言うわいせつの定義は古い。多様性の時代に表現の自由はきちんと確保されるべきだ」と指摘する。

警視庁幹部は「性風紀の維持のため、これ以上はダメだという一定の線引きは必要だ。過去の判例などに照らしながら、粛々と逮捕した。今後も適正に取り締まっていく」と話す。(山本孝興、山岸玲)

『朝日新聞』2014年12月4日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11488713.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11488713

【こっそり追記】
こういうこと書くと、また叱られるので、下の方にこっそり書くが、今回の件を、「女性器だから…」「女性だから…」逮捕された、「女性への弾圧」という捉え方をするのは、たぶんかなり見当違い。
今のご時世、フェミニズムの女性たちがそう考えたくなる気持ちはわからないではないが・・・。

警察の性器に対するわいせつ基準は、男性器・女性器ほとんど差はない。
ともかく「モロ見えはNG」「そのままの写真・模型はNG」ということ。
男性器でも手加減はない。

ニューハーフ専門誌に長く関わっていたので、その点で編集長が苦労していたことをよく知っている。
ニューハーフ誌の場合、ペニスがあることが読者にイメージできないと、「ただの女性ヌード」になってしまい意味がなくなってしまうので、編集部としてはなんとかリアルなイメージを残したいのだが、残し過ぎると警察から呼び出されて始末書を書かされる。
それが何回か繰り返えされれば発売禁止になって大打撃(事実上、廃刊に追い込まれる)。
たぶん男性同性愛誌業界でも同様だろう。

今回のケースの特異性(画期性)は、女性が女性器の模型を作って摘発されたことにあるのだが、男性が女性器の模型を作ったら、もっと厳しく摘発されただろうし、女性もしくは男性が男性器の模型を作っても、やはり摘発だったと思う。
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Neico

こんにちは。検索からお邪魔します。
【こっそり追記】部分に共感するところがあり、TBさせていただきました。
同じ女性から見ても見当違いの主張をされていると思います…。
by Neico (2014-12-09 20:46) 

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