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増加傾向の梅毒、感染経路の50%は男性同性間接触 [現代の性(HIV・性病)]

6月6日(金)
梅毒がまた勢いを取り戻し、若年層の男性に感染が広がってきていること、そして患者の多くは男性同性間接触が経路になっているについては、2か月前にもこのブログで取り上げた。
(参照)2014年4月6日「梅毒が若年層に増加 昨年1000人超、患者の多くは男性間の性的接触」
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-04-07

その時には、男性同性間接触の比率がどの程度なのか解らなかったが、根拠になる国立感染症研究所(IASR)感染症疫学センターのレポートを見つけたので紹介しておく。
 
「増加しつつある梅毒 ―感染症発生動向調査からみた梅毒の動向―」(IASR Vol. 35 p. 79-80: 2014年3月号)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-iasrd/4497-pr4095.html
(摘要)
2013年の梅毒総報告数1,226例(前年2012年の875例に対して1.4倍の増加)
人口10万当たり発生率は1.0(2012年は0.7)
性別は男性が989例(80.7%)、女性は237例(19.3%)
男性の人口10万当たり発生率は1.6(女性は0.4)。
年齢群別の発生率は、男性では25~29歳が3.9で最高、次いで35~39歳の3.4。
女性では20~24歳が1.3で最高く、次いで25~29歳の0.9。

感染経路は、男性では861例(87.1%)が性的接触。
その内、同性間性的接触が432例(50.2%)、異性/同性間性的接触11例(1.3%)、異性間性的接触309例(35.9%)。
女性は160例(67.5%)が性的接触、異性間性的接触が141例(88.1%)。

男性同性間接触が50.2%と半数を占めている。
その昔、梅毒は淋病と並んで「花柳病」の双璧で、買売春(女色)が主な感染源だった。
それが今は男性同性愛が主な感染源になりつつある。
この事実、男性同性愛者はもっと深刻に考えた方がいいと思うのだが・・・。
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梅毒、都市部の男性中心に拡大 昨年、21年ぶり千人超
梅毒の患者が増えている。国立感染症研究所の調べによると、昨年の患者数は1226人で、21年ぶりに1千人を超えた。今年も5月25日までで548人と、昨年を上回るペースで増え続けている。性行為で感染するため、疑いがあれば速やかに医療機関を受診し、感染を広げないよう呼びかけている。

都道府県別では、東京が172人と最も多く、大阪71人、愛知56人、神奈川36人、千葉20人と都市部で広がっている。患者の約8割が男性で、特に20~40代を中心に増えている。男性同士の性的接触による感染が多いが、最近は女性にも広がりつつあるという。

国内の患者数は戦後間もないころは10万人を超えていた。その後、治療薬の普及で減り、2001~05年は500人台で推移していたが、11年から3年連続で増えている。

梅毒は感染して2、3週間後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、2、3カ月後に全身に発疹が出る。その後、数年から数十年して大動脈瘤(りゅう)ができたり、認知症や歩行障害を起こしたりすることがある。妊婦が感染すると、赤ちゃんの手や足の骨が発達しなかったり、目や耳に障害が出たりする。

治療にはペニシリンが有効。早期なら2週間ほど薬をのみ続ければ治る。感染研感染症疫学センターの山岸拓也主任研究官は「パートナーとともにできるだけ早く病院を受診してほしい」と話す。(土肥修一)
『朝日新聞』2014年6月6日11時18分
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コメント 3

Gen

梅毒といえばジョニーデップが梅毒の末期患者を演じた映画がありましたが、人前で失禁したり、歩くのも膝ががくがくでみじめだなぁ、と思いました。
他にも思い出したことが。
昔、中国の悪名高い阿片窟・大観園(字は違うかも)にいる梅毒患者の女の人から実際に話を聞いたことがある、という人がいました。
その方はだいぶ前に亡くなったのですが、聞いた話を知人がしてくれました。
「その女の鼻先がもげて落ちそうになってプルプル震えていたんだよ、君」
と言われたそうです・・・。
本によると、そこはほんとに最下層の人が最後に集まる場所で、宿賃も最安。みんなアヘン中毒で、生きながら地獄にいるような状態で暮らしていました。男も女も身売りくらいしか稼ぐ手段がなくて、夫が妻を売るくらい当たり前、娘も売る、自分も売る、そこまでして阿片に浸るそうで。末期になるとわずかな宿賃すら払えなくなって路上に放り出され、死ぬ間際に待ち構えていた人々から身ぐるみはがされて身一つで冷たい躯をさらす・・・。
死人から服を剥ぐなんて気の毒だと思わないのか、と聞くと
「死人の服じゃ気味悪いから売れないだろ」
「汚れるからな」
「死ねば服はいらないだろ」
という答えが返ってきたとか。
で、その鼻がもげそうだった女の人は、この先生が話を聞く前にしてあげたわずかな親切のお礼にただで寝ることを申し出たそうで、私にはその先生がどうしたのかそこが気になりました・・・。
別に梅毒で亡くなったわけではないようですが・・・。
その女の人はもう人を誘えるような様子ではなくなっているのですが、末期でそういう区別もつかず、いまだに自分は魅力的だと信じ込んでいたようです。
他にも卑語や罵倒語の紹介があったり、客への仕返しに花柳病をうつすためのやり方などが満載で、全部読んだわけではないですが、非常に興味深い本でした。



by Gen (2014-06-14 01:47) 

三橋順子

Genさん、いらっしゃいま~せ。
すごい話ですね。その本の書名、覚えてらっしゃいますか?
梅毒が、多くの人から怖れられたのは、鼻部の軟骨炎による「鼻欠け」などもありますが、本当に怖いのは末期(感染後10年以上)の麻痺性痴呆(脳梅)なんですね。中には顕著な身体症状がなくて、突然、精神の変調をきたす人もいます。若いことに廓稼業だった女性が、人妻になり幸せに暮らしていたのに、突然、脳梅を発症するみたいな話は悲惨です。
現在の人は、抗生物質が効くと思っているので、とても軽く考えているようですね。
ただ、感染に気づかないで放置すると、上記のような突然・・・のパターンもあるのですけど。

by 三橋順子 (2014-06-14 02:17) 

Gen

なるほど、そうですか・・・。
知らないというのは怖いですねぇ。
花柳病といえば不名誉な病気でもあり昔は恐れられたのに、今は性感染症も軽く考えられてしまうのですね。
私など花柳病ではないですが、南京虫がものすごくかゆかったと読んで以来南京虫が怖くてたまりません。
今日本にいるのかも分からないけど。

私は昔の話にとても興味があり、色々読み漁っていた時期がありました。なので年齢に似合わず、花柳病だのサックだのという言葉の方が、今どきの言葉よりなじみ深いのです。
本は「極秘 魔窟・大観園の解剖」満洲国警務総局保安局編著(原書房)です。家にあるのは昭和57年9月10日版となっています。当時の価格では2300円です。
国立図書館ならあるかもしれません。


by Gen (2014-06-15 00:23) 

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