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水田で育てたサトイモ、収穫量が畑作の2・5倍 [生活文化・食文化・ファッション文化論]

3月9日(日)
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↑ ときどき買ってくる茹で子芋。学芸大学駅東口駅前の八百屋さんで売っている(200円)。

子供の頃から今に至るまで、里芋が大好物だ(炭水化物過多になるのであまり食べられないが)。
祖母や母が塩茹でにしてくれた里芋を、おやつにモグモグ食べていた(←昭和30年代の子供)。
私の故郷秩父は山がちで水田が少なく、その分、芋類の栽培が盛んだったからかもしれない。

大きくなって、栽培植物学を学んで、里芋がタロイモであること、とろろ汁にして食べていた自然薯がヤムイモの一種であることを知った。
 中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』(岩波新書 1966年)
タロイモもヤムイモも南方系の栽培植物で、日本列島の初期農耕文化(水田稲作以前)の重要な作物であった可能性が高いことを知った(イモ類は遺物として残りにくいので証明は難しいのだが)。
 佐々木高明『稲作以前』(NHKブックス 1971年)
また、秋の十五夜に里芋を供えるような習俗(芋名月)も、稲作以前の文化に起源する可能性があることも知った。
 坪井洋文『『イモと日本人 民俗文化論の課題』(未来社 1979年)

栽培植物学の本には、熱帯や亜熱帯の沼地や低湿地でタロイモが栽培されている写真が載っていた。
だから、タロイモがそういう環境で育つことは知識としてあった。
だから、今回の記事には違和感はない。
むしろ「今ごろ、なんで・・・?」という感じだ。

まあ、里芋好きとしては、輸入物ではない国産のおいしい里芋がたくさん出回るようになれば、うれしいことなので、湛水栽培をどんどん奨励してほしい。
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http://www.alohaainaecotours.com/wordpress/?p=1877
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↑ ハワイ島ワイピオ渓谷のヤムイモの湛水栽培
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水田で育てたサトイモ、収穫量が畑作の2・5倍
鹿児島大農学部の岩井純夫教授(園芸学)らの研究グループが、1月発行の学会誌にこんな研究論文を掲載した。岩井教授は「低コストで環境に優しい栽培法。休耕田の活用にもつながるのでは」と期待を寄せている。
サトイモは畑作で栽培されるが、奄美群島以南では、水田のように水を張った「湛水たんすい」の状態で育てる。実験は、水田用のサトイモの品種「大吉」を、土だけ入れた鉢と、水を張った鉢に植え、成長を比べた。
2011年から3年をかけ、計40個の鉢で実験。湛水状態で育てたサトイモは畑作状態に比べ、1株当たりの収穫量が1・5~3・9倍(平均2・5倍)となった。平均で、個数は2・3倍、1個当たりの重量も1・2倍に。味に違いはなかった。
岩井教授は収穫量が増えた理由について、「水を張ると気孔が開き、光合成が活発になるため」と分析。全体に養分が届きやすくなり、植物が吸い上げる水の量が増えていたという。
メリットはほかにも。一般的に水田での栽培は、畑作に比べて連作障害や害虫の発生リスクが少なく、農薬の使用を抑えて環境や食品の安全性に配慮しやすいという。低コストで栽培ができる可能性もある。
農林水産省の統計によると、1980年代に40万トン前後だった国内のサトイモ生産量は、低価格の輸入品に押され、2012年度には半分以下の17万2500トンに落ち込んでいる。
岩井教授は「鉢ではなく、実際に水田で育てた場合にも収穫量は増えるか、他の品種でも同様の成果が得られるかなどについて、研究を進めたい」と語る。
岩井教授らは来年度、県農業開発総合センターや協力農家の水田を使い、実証実験を行う予定。同センターも、近い将来の事業化を目指していくという。(峰啓)

『読売新聞』2014年3月9日14時05分
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20140308-OYT1T00504.htm?from=main7
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