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2月17日(月)「Trans People in Asia and the Pacific:Trans men's identities:culture,society and health」-「WPATH 2014 Symposium in Bangkok」参加記(4日目の2) [現代の性(WPATH 2014)]

2月17日(月)
(続き)
午後の14時から15時30分のセッションは、Garden Roomで、国連4機関(WHO/UNAIDS/UNDP/UN Women)支援のスペシャセッション・シリーズ(連続シンポジウム)「Trans People in Asia and the Pacific」の第4弾(最終) 「Trans People in Asia and the Pacific: Trans men's identities:culture,society and health」(Organizer : Sam Winter, PhD.)。
プログラムには、2部構成で、前半は4人がプレゼンテーション、後半は別の3人によるパネル・ディスカッションと書かれていたが、なぜか最初からプレゼンではなくパネル・ディスカッション形式。
司会は、Giobal action for Trans* Equality の Justus Eisfeld氏。
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右からBhakti Shah (Nepal)、通訳の女性、Satya Rai Nagpaul(India)、司会者、Joe Wongさん(Singapore)、Kaspar Wan(Hong Kong)の各氏。
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途中から、後半のパネルディスカッションのメンバーも参加。
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加わったのは、
Cianan Russell(Thailand)右端
Dorian Wilde(Malaysia)右から2人目
Jack Byrne(New zealand)左端、立ってしゃべっている。

思ったこと2点。
今日はPresentationの予定がいきなりDiscussionになってしまったので、「Trans People in Asia and the Pacific」の4回のシンポジウムでプレゼン(報告)をしたのは、13人ということになる。
そのうちTrans Womanが12人で、Trans Manは1人だけ。
これはどういうことなのだろう?
Power Pointでしっかり資料を作ってきて、自国の状況を堂々とプレゼンしたのは、ほとんどTrans Womanなのだ。
話を聞いた限りでは、タイ、フィリピン、インド、ネパール、トンガで(そして日本も)、トランスジェンダーの社会運動組織を作って活動しているのは、Trans Womanが中心。

こうした状況になっているのは、やはりそうなる社会背景があるということ。
まず、アジア&パシフィックの第三世界の国々では、教育面でまだ男女格差がある。
男児として養育される子は比較的教育環境に恵まれるのに対し、女児として養育された子は恵まれないことが多い。
それが、性別移行後の社会的活動能力に影響している可能性がかなりある。
こういう説を述べると、「いや、アジア&パシフィックの国々の多くは男尊女卑の社会だから、Trans Womanは虐げられ、Trans Manの方が社会的に優位なのではないか?」という反論があるかもしれない。
しかし、アジア&パシフィックの国々では、学歴や資格のない男性(Trans Manには同様の人が多い)の就労環境は良くない。
それに対してTrans Womanの場合、セックスワークを含めれば就労機会はそれなりにあり、本人の才能と努力次第でかなり稼げる。
とりわけ、女性が働き者のタイやフィリピンでは、その傾向が顕著だ。
今回の参加者を見ていても、タイやフィリピン、そしてインドのTrans Womanは、それぞれ相当に社会経験が豊富で、社会を生きぬく能力(良い意味でのしたたかさ)も高いように思った。
それに対してTrans Manは、外見こそたくましいが、社会的にはひ弱な感じが否めなかった。

もう1つ思ったことは、今日のシンポジウムは、Trans Manがテーマだったが、なぜここに日本のFtMがいないのか?ということ。
日本では、MtFよりFtMの方が少なくとも2~3倍、最近は4~5倍?も多いのに。
これは以前から指摘されていることだが、日本の場合、トランスの「論客」はなぜかMtFが圧倒的に多く、FtMは少ない。
この点について、やはり「性別移行前の教育環境の男女格差」論で説明されることが多い。
たしかに、私や、1世代下くらいまではそうした傾向はあったと思う。
しかし、現在の30歳代後半~40歳代前半になれば、その理由は通用しないと思う。
今の30歳代後半~40歳代前半というと、私が男性大学講師時代に教えた学生に相当するが、すでに女子学生の方が優秀だった。
その傾向は、私が「女性」講師になって教えている現在の20歳代~30歳代前半になると、さらに顕著になる。
報告をさせても、レポートをを書かせても、女子学生の方が圧倒的に優秀だ。
日本のFtMの多くは、この世代に属する。
なのに、なぜFtMの「論客」が台頭しないのか? 私には不思議でならない。
いや、もう数年待てば、若いFtMの「論客」が続々と現れるのかもしれない。
それを期待しよう。

これで「Trans People in Asia and the Pacific」の連続シンポジウムは終了。
最後に、コーディネーターのSam Winter博士がシンポジウム開催に貢献した人を紹介。
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日本からは東優子さん(大阪府立大学教授)が「日本から2人連れて来てくれた」と紹介されたが、たまたま会場にいなかったので、代わりに「連れてこられた」2人が起立してお辞儀。

さて、今回の「Trans People in Asia and the Pacific」の連続シンポジウムには、Asiaからインド、ネパール、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、香港、中国、日本の10カ国、Pacificから、ニュージーランド、トンガの2カ国が参加した。
地域的に見ると、アジアと言っても、パキスタン以西の西アジアの国は参加していない。
やはり、イスラム教圏は宗教的規範による制約が強いのだろう。
この点については、今回のシンポジウムでマレーシアからの参加者が何度も指摘していた。
気になるのは、東アジアの韓国、台湾からの参加がなかったことだ。
台湾は、LGBTの運動が盛んな国であるにもかかわらず、なぜ参加者がなかったのか?
これは、実は簡単なことで、今回の企画が国連4機関の支援によるからだ。
台湾は、理不尽にも国連から弾かれてしまっているので、「お呼び(招請)」が掛からなかったのだ。

実は、最初、日本も「お呼び」ではなかった。
それを、東優子さんが頑張って2枠を取ってくださって、参加することができた。
なぜ、日本に「お呼び」が掛からなかったかというと、これは私の推測だが、国連4機関のうちUNDP(国際連合開発計画)の性格が関係していると思う。
UNDPの基本構造は、いわゆる「先進国」(具体的には経済協力開発機構=OECD34ヵ国)が資金を提供して、いわゆる「発展途上国(=低開発国)」の「開発」を支援・推進することにある。
日本はOECDのメンバーなので「開発」の対象ではないことになる。
そう推測すると、同じくOECDのメンバーである韓国に「お呼び(招請)」が掛からなかったことも理解できる。
また、同じ理由で、オーストラリアから当事者の参加がなかったことも理由がつく。
(自己反論 ではなぜ、ニュージーランドからは当事者が参加しているのか?)
つまり、UNDP(国際連合開発計画)が考えるAsia and the Pacificには、日本や韓国、オーストラリアは含まれていないということだ。
では、日本は欧米と同じ範疇なのだろうか?
たぶん、違うだろう。
欧米からの参加者の頭には、日本のトランスジェンダーについての具体的なイメージなんてないと思う。
そんなこと考えたこともないかもしれない。

つまり、日本はアジア&パシフィックではなく、といって欧米でもなく・・・、行き場がない孤立した立場ということ。
ごく小さな国際会議から垣間見えたことだが、それが、おそらくほとんどすべての国際会議での日本の立場なのではないかと思う。
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トンガのJoleen Mataeleさんと(会場で)
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フィリピンのKate Montecarlo Cordovaさんと(中庭のテラスで)。左は大河りりぃさん。
(続く)

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