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「超難関男子校ミス筑駒がハイレベル」になるわけ [現代の性(性別越境・性別移行)]

11月7日(木)
うん、たしかに、かわいい! ハイレベルだ。
一応、性別越境論の専門家なので、分析を加えてみよう。
私は、現代の若い男性の女装レベルの向上の理由を、次の5つに整理している。

(1) インターネットの普及による、女装に関する情報流通の増大
  → それによる女装テクニックの向上
(2) 顔や体形の変化
  → 三角顎、華奢な体格など男の子の身体が全体に女装向きの顔・体型に変化している
(3) 社会環境の変化
  → 身体のメンテナンスに気を遣う男の子が増え、日頃から女装に適した身体条件を整えることが可能になった
(4) 女性が男の子の女装を受け入れるようになった
  → 女性のサポートによる化粧やコーディネートなど女装レベルの向上
(5) 価値観の変化
  → 男の子が女装してかわいく、きれいになることが、自身にも周囲にもポジティブに認識されるようになった

メディアの取材などでも、いつもこの5つを説明している。
そうした、一般的な条件に加えて、知的レベルが高い学校の場合は、女装もよりハイレベルになる傾向が見られる。
また、ハイレベルなアマチュア女装者には、高学歴の人が目立つのも、以前から事実としてある。
私の新宿歌舞伎町「お手伝いホステス」時代(1995~2003年頃)に、新宿の女装世界でいちばんきれいな人は、麻布中・高校→東京工業大学→同大学院修士課程という学歴だった。
どうしてそういう傾向になるかというと、女装という行為は、周囲の女性をしっかり観察し、ファッションや化粧のポイントを把握して、男性である自分の身体の上に再構成する表現行為なので、それなりの知的能力が必要だからだ。

さらに、「ミス筑駒」の場合、優勝者が中学3年(15歳)であり、参加者の年齢層が中学・高校生、つまり、13~18歳であることも重要なポイントだ。
日本の中世寺院社会の華だった女装の稚児たちの年齢層は12~18歳だった。
また、江戸時代の男色世界では「十六歳を若衆の春といふなり」(『男色実語教』)と言ったように、「色子(陰間)」の「盛りの花」は15~18歳だった。
つまり、現在の中学生から高校生の年齢は、もともと男の子が女装してもっともきれいになる年頃だということ。

これが20歳を越えると、男性ホルモンの影響で身体の男性化が進み「散る花」に例えられるようになってしまう。
つまり、大学における女装コンテストよりも、偏差値が高い中高一貫校の女装コンテストの方がハイレベルになるのは、身体的・歴史的な裏付けがあるということだ。

そして、美しく女性的に装った少年を、男性・女性問わず愛でる(鑑賞する)のは、少なくとも1000年の歴史をもつ日本の文化伝統であり、けっして現代的な現象ではない。

ちなみに、私、若い頃、「筑駒」で半年間、教えたことがあります(病気休暇の先輩の代用講師)。

【参考文献】
三橋順子『女装と日本人』(講談社現代新書 2008年)
 第1章3節「女装の稚児―中世寺院社会における女装の少年―」
 第2章3節「陰間と陰間茶屋―江戸時代のニューハーフ―」
三橋順子「(講演録)『男の娘(おとこのこ)』なるもの―その今と昔・性別認識を考える―」
   (駒沢女子大学・日本文化研究所『日本文化研究』10号 2013年3月)
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超難関男子校の「ミス筑駒がハイレベル」と話題に

第62回筑波大学附属駒場中・高等学校の文化祭が11月2日~4日に開催された。3日に行われたミスコンテスト「2013年ミス筑駒」のレベルが高すぎるとネットで話題になっている。
62655-2.jpg
(左)2013年ミス筑駒  (右)2013年準優勝者=2012年ミス筑駒

筑駒は、首都圏模試で偏差値77(2013年10月23日更新)の超難関の男子校である。2013年度は103名が東京大学に合格している。

筑駒の裏情報サイト「闇駒」によると、昨年広まったツイートの影響もあり「ミス駒場」を改め、「ミス筑駒」となった。筑駒を代表するミスの争いは相当にハイレベルであったという。闇駒Facebookページや闇駒Flickrにはミス筑駒の写真が多数掲載されている。

闇駒Twitterによると、2012年のミス筑駒は今回、準優勝となり、2013年のミス筑駒に輝いたのは、仕草も歌声も女性らしい中3生だという。

《リセマム 工藤 めぐみ》
「リセマム」2013年11月7日(木)18時46分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131107-00000010-resemom-life

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コメント 8

Gen

おお、さすがするどい分析ですね。
女性でも好きな服を着るか似合う服を着るかはかなりの客観性が問われる作業です。
「好き」を捨て「似合う」を選ぶのは時に辛いですが、それをやらないと素敵になれません。
男性ならなおのこと、何度も鏡を見て、周りを見て、もう一度自分を見て、また周りの反応を見る、を何度も何度もやらないといけないし。
ミニスカートでカッコよく歩くのも気合と緊張感がなければなりませんしね。
どのくらい上半身を倒したら後ろからパンツが見えるのかお家でチェックしておくのも心得の一つですし。
ミニにかかとの高い靴でよろよろ歩いてる若い子を見ると情けなくなってきます・・・・。
女装男子の方がよほどエライ。
先生も訓練の末、今があるのですものね・・・・・。
by Gen (2013-11-10 00:26) 

鳥丼

真実はたぶん違うと思う。
おそらく綺麗な嫁さんを貰っている男の息子が多いからというのが本当のところだと思う。やるせない感じになるんで書きづらいところだけど。
by 鳥丼 (2013-11-10 18:56) 

三橋順子

鳥丼さん、いらっしゃいま~せ。
高学歴・高収入の男性が美人の奥さんをもらって、その子供は賢くかつ美形で筑駒に入るという図式ですね。
まあ、日本社会の階層分解によって、そういう傾向も徐々に強まって来ると思いますので否定はしませんが、男子進学高の女装レベルが高いのは、けっこう以前からのことなので。
by 三橋順子 (2013-11-11 00:21) 

三橋順子

お返事が前後しました。
Genさん、いらっしゃいま~せ。

>女性でも好きな服を着るか似合う服を着るかはかなりの客観性が問われる作業です。
はい、好きな服と、似合う服は違いますからね。

>どのくらい上半身を倒したら後ろからパンツが見えるのかお家でチェックしておくのも心得の一つです
その通りです。ミニスカートは「見えそうで見えない」から魅力的なのであって、見えてしまっては台無しですから。
状況を想定したシュミレーション的な考え方も必要です。

>ミニにかかとの高い靴でよろよろ歩いてる若い子を見ると情けなくなってきます
これも同感です。「それ履くなら、ちゃんとトレーニングしなさい」と言いたくなります。
by 三橋順子 (2013-11-11 00:26) 

ガジェット通信編集部

三橋様 はじめまして。
ガジェット通信というウェブニュース媒体を運営しております編集部の寄稿チームと申します。

超難関男子校「ミス筑駒がハイレベル」になるわけ
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08

こちらの記事を弊社媒体に寄稿記事として掲載させていただきたくご連絡申し上げました。
お手数かとは存じますが、詳細をお伝えしたく、ガジェット通信編集部(kiko at razil.jp)まで一度ご連絡いただければ幸いに存じます。
何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
by ガジェット通信編集部 (2013-11-12 11:53) 

三橋順子

ガジェット通信編集部 さま

拙い記事がお目にとまったようで、うれしいです。
kiko at razil.jp って、具体的にどこに連絡すればいいのでしょう?

by 三橋順子 (2013-11-13 02:49) 

若苗岬

お久しぶりでございます。
えっと、上の連絡くださいってのは
たぶん by ガジェット通信編集部 のリンククリックして
お問合せフォームまでたどり着いてくださいみたいな
ことではないかと・・・
まー不親切このうえない寄稿依頼だなぁとw
記事の旬を逃しちゃってるから無意味なコメントではあります^^;
by 若苗岬 (2014-07-09 22:29) 

三橋順子

若苗岬さん、いらっしゃいま~せ。
問い合わせフォーラムまでたどりついて、問い合わせをしたのですが、返事はありませんでした。
ずいぶん不親切で、いい加減な会社だなぁと思いました。
by 三橋順子 (2014-07-15 01:35) 

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