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『朝日新聞』教育欄「いま子どもたちは 男装/女装」(第2回) [現代の性(いま子どもたちは 男装/女装)]

7月25日(木)
『朝日新聞』朝刊の教育欄「いま子どもたちは 男装/女装」の第2回。

今日、針間克己先生(精神科医)に「男装女子の流行は、(性同一性障害の)FtM(Female to Male=女から男)の人たちの社会的受容がMtF(Male to Female)より進んでいることと、なにか重なる部分があるのだろうか?」と質問された。
「あると思います」返事をした。
日本社会は、だいぶ改善されたとはいえ、まだまだ男性優位・女性劣位社会である。
その中で、女性が男装女子のように「男をする」、FtMにように「男になること」は社会的な上昇であり、ポジティブな行為として好意的に迎えられる。
一方、女装男子のように「女をする」、MtFのように「女になること」は社会的な下降であり、ネガティブな行為(「よりによって女なんかになる」)として否定的に捉えられやすい。
さらに、そこに容姿の美的評価が加わる。
一般的には男装女子は「かっこいい」、「きれい」と受け取られ、社会的受容度は高くなるが、女装男子の場合、「かわいい」「きれい」という評価が与えられれば社会的に受容されるが、「きもい」となると一気に社会的受容度が下がり、さらには差別・排斥される(あっち行け!)。
女装男子、MtFの受難はまだまだ続く。
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(いま子どもたちは)男装/女装:2 
「女」と分かってる、けど夢見てたい
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男装喫茶「80+1」の店員たち。アニメや漫画に出てきそうな美少年をイメージして男装する=東京都豊島区

No.560
男装アイドルユニット「風男塾(ふだんじゅく)」は今月、9月に出す新曲のタイトルを発表した。
「男装レボリューション」
男装アイドルならではのタイトルだが、10代の女性ファンの間には戸惑いも起きている。
「ついに言っちゃったかあ。『わかってるけど、言わないで』って感じかなあ」
福岡市の高校3年の武富結莉菜(ゆりな)さん(17)は、残念がる。
彼女たちファンにとって、メンバーはあくまで「男」。男装した「女」と分かっているけれど、夢を見ていたい子もいる。
風男塾側もこれまで、あえて男装を強調してこなかった。
事務所によると、今回の新曲は、男装女子が増えている今だからこそ、男装ブームを起こすべく「勝負した」のだという。
風男塾のメンバーは、個人ではそれぞれ女性芸能人として活動している。男装のスターと対極にも見えるグラビアアイドルもいる。その両面性が売りでもあり、「どっちも好き」という女性ファンが少なくない。
鹿児島県志布志市に住む中2の山元果夏(かなつ)さん(14)は、「どっちも好きで、ブログとかチェックしてます。でも別人だと思ってます」と言う。風男塾は理想的な男性。本当は女性だと分かってはいるけれど、「理想の男性」にときめいていたい。
「でも、女だよね?」。この一言は、男装ファンの少女には、言ってはいけない。
女性店員が男装している「男装喫茶」でも、それは同じ。
7月半ば、東京・池袋の男装喫茶「80+1」で、制服姿の客の女子高生が、男装している店員と談笑していた。
「これ、持ってきたの」
女子高生がカバンから分厚いアルバムを取り出した。1年ほど前から店に通っている間に撮った男装店員との写真だった。
「おっ。懐かしいね~」。店員が笑いかけると、女子高生はほおを赤くしてはにかんだ。2人はあくまで「男女」なのだ。
まれだが、冷やかしで入店する客もいるという。スタッフは「そういう方には、お帰りいただきます」。(原田朱美)
〈+d〉デジタル版に男装喫茶の店員のインタビュー
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307240707.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201307240707
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(以下、デジタル版のみの掲載)
「恋人や友だちのような聞き役」 男装店員、人気の秘密
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東京・池袋の男装喫茶「80+1」で働く(左から)朝丘涼さん、竹村ロッシ瑛二さん、高嶋恵斗さん
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東京・池袋の男装喫茶「80+1」で働く(左から)竹村ロッシ瑛二さん、朝丘涼さん、高嶋恵斗さん

【原田朱美】10代女性の来店が年々増えているという「男装喫茶」。東京・池袋の「80+1」の男装店員たちに人気の秘密を聞いてみた。
取材に応じてくれたのは、朝丘涼さん、高嶋恵斗さん、竹村ロッシ瑛二さん。3人とも10代に人気が高い。ちなみに年齢は、非公表とのこと。
2006年から働く朝丘さんは一番の古株。「男らしくふるまうというより、女性っぽさを出さないようにしています」と言う。「お客さんはオタクの女性が多いんですが、オタクの人って想像力が豊か。あまりキャラクターを作り込まず、想像してもらう部分をつくるよう意識しています」
たしかに3人とも、話してみると「男を演じている」という力みはない。
竹村さんは「女だからこそ、例えば、お客さんの髪形の変化に気づくこともできるし、気づいたら『髪、かわいいね~』って言える」。高嶋さんは「完璧な男を求められているわけでもないと思う」と話す。店員たちは自分のことを「俺」「僕」と言うが、それ以外では驚くほど「素」のままだ。店員と客は「男と女」の会話を楽しんでいるが、それを第三者が聞くと、女性同士の会話だと感じる人もいるかもしれない。
男装喫茶には、それぞれのカラーがある。ビジュアル系バンドのような男装や、ナチュラルな男装など。「80+1」はナチュラル系だ。店員がイメージする外見は、漫画やアニメでの美男子。朝丘さんは「リアルな男性よりは、アニメや漫画の男性キャラを参考にします。最近は、K―POPの男性アイドルも」。
10代女子は男装店員に何を求めているのか。
朝丘さんは言う。
「大人のお客さんは男装スタッフを客観的に眺めて『かっこいい』『かわいい』と言ってくれる。10代だと、恋人や友だちのように、自分と1対1で向き合う存在というか、自分だけのキャラクターだと思う人が多いです」
10代の女の子たちは、学校や友だちとの人間関係など、男装店員によく悩み相談をするという。
竹村さんは「うまくアドバイスできなくて、難しいです。泣き出す子もいて。ずっとそばにいてあげることもできないし」。
朝丘さんは「聞き役に徹し、相手を否定しすぎないようにしている」と言う。悩みを聞いているうちに、つい正論で助言してしまい、相手が「それはわかってるもん。そういうのを期待してるんじゃないもん」とすねてしまったこともある。女の子には、「どうすればいいか」を教えてほしいのでなく、「聞いてほしいだけ」ということがままある。
池袋は「腐女子の聖地」とも呼ばれる。そのせいか、「80+1」の客の多くはオタクの女性という。
高嶋さんは「ふだん人目を気にして大声で話せないけれど、ここだと、自分の好きな世界を堂々と語れるという人が多い。それを『僕』が友だちのような存在として聞いているという感じです」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307240379.html

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虎丸

胸まであるロングヘアーは切らずに、束ねて服の後ろに隠して、男性風の髪型に似せて男装する。

これが不思議なのですが、
本気で男装したいなら、ロングヘアーを切ってショートヘアーにすればいいのでは?と思います。

つまり、
10代女子は、本当に男性になりたいのではなく、
中身は女の子だけど、一時的にコスプレ感覚で理想の男の子に男装したいということなのでしょうか?
変身願望的な何かなのだろうか?

あと、タイトルの今子供たちは?の子供って高校生までを言ってるんですか?
by 虎丸 (2013-11-17 00:19) 

三橋順子

虎丸さん、いらっしゃいま~せ。

現代の男装は(女装も)、コスプレ感覚がかなりあるように思います。
と言うか、もともと男装・女装は、男と女を「行ったり来たり」、男女リバーシブルを楽しむのが本来ですから。
性同一性障害のような「行ったっきり」とは、かなり感覚が違うと思います。
「いま子どもたちは」のタイトルですが、記者さんの話では、だいたい18歳以下という設定とのことです。
ですから、高校生は含まれますね。

by 三橋順子 (2013-11-17 01:51) 

Gen

記事を読んで素朴な疑問が・・・・。
女装家である先生は「男」に戻る瞬間ってあるのですか??
それとも常に「行ったきり」でしょうか??
両方の要素を容認してるところに先生の魅力があるように思えます。
私が「女してる」のは習慣と世間の人々との円滑なコミュニュケーションのためです。
いい部分も分かっているし、捨てる気もないなら良さを最大限に活かして生きるのが妥当なところだと思ってます。
by Gen (2013-11-18 00:01) 

三橋順子

Genさん、いらっしゃいま~す。
最近はぜんぜん「行ったり来たり」してませんね。
圧倒的に「女している」ことが多いので、「女装」してるという感覚もほとんどありません。
ただ、自分が男性として生まれて男性として育ったことは確かなことですし、今でも身体の基本形は男性であるわけで、それを否定するのは愚かなことだと思います。
私は、自分が「双性」(Double-Gender)であることを、私の人生においてポジティブに考え、プラスの要素にしていけたらいいなと思っています。


by 三橋順子 (2013-11-18 00:40) 

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