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月刊誌『WiLL』2013年6月号「『エロエロ草紙』とその時代」 [お仕事(執筆・成果)]

4月25日(木)
月刊誌『WiLL』2013年6月号(ワック出版、4月26日発売)に「『エロエロ草紙』とその時代」という7200字ほどの文章を執筆しました。
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リードに「国会図書館で異例の人気」とあるように、国立国会図書館「近代デジタルアーカイブ」で圧倒的な人気を誇り、今年2月に「文化庁eBooksプロジェクト」というと国立国会図書館のデジタル化資料の中から13作品を電子書籍化して配信する実験事業でも、芥川龍之介の『羅生門』など近代文学の名作を抑えて堂々のダウンロード数1位に輝いた昭和5年(1930)の発禁本、酒井潔『エロエロ草紙』について、その内容、時代背景、著者、検閲の実態を解説し、日本近代の性欲の歴史の中に位置づけようとしたものです。
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↑ 酒井潔『エロエロ草紙』の表紙。
画像を拡大すると、中央に「五年十二月二日禁止 別本」という検閲官の書き込み(ペン書き)が見えると思う。
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↑ ドアの隙間から覗き見する少年の絵がある頁をめくると、乳房を露出した下着姿のモダンガールの絵がある構成の「禁断の楽園」。
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↑ 「エログロ舞踏会」と題した仮装舞踏会らしき絵。
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↑ 「好色な神様」という作品。
芸術性も高いが、当時として許されるエロ度を越えていた。
エロエロ草紙2.jpg
↑ 『エロエロ草紙』の内表紙。
絵の下に「昭和一二・九・一五・移管」という帝国図書館の丸印が捺されている。
検閲を担当していた内務省所蔵の発禁本が昭和12年(1937)に帝国図書館に移管され、それが戦後、国会図書館に受け継がれた。
エロエロ東京娘1.JPG
↑ 同じ「エロエロ」を書名にした書籍で、『エロエロ草紙』より半月早く出版された壱岐はる子『エロ・エロ東京娘百景』(誠文堂十銭文庫)。
国会図書館には所蔵されてなく、井上章一先生の「室町文庫」で閲覧・撮影させていただいた。

『エロエロ草紙』のことを取り上げた週刊誌記事はすでにいくつか出ていますが、たぶんいちばん詳しい解説になるはずです。
『WiLL』2013年6月号は、4月26日金曜日の発売です。
表紙でおわかりの通り、右派系の論説誌で、リベラルな方にはお求めにくいかもしれませんが、ご覧になっていただけたら幸いです。

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コメント 2

AJ.

目次では渡部昇一先生と堂々の横並びですね。

話し外れますが、渡部先生は、その昔、「知的生活の方法」で「妻という存在は知的生活の邪魔になるので、知的生活を送るには、同性愛者になるという方法もある」といった趣旨のことを書いていたと記憶しています。


ぜひ、今度、「女装と知的生活の方法」というテーマで対談していただけたらと思います。
by AJ. (2013-04-27 13:45) 

三橋順子

AJ. さん、いらっしゃいま~せ。
>目次では渡部昇一先生と堂々の横並びですね
あっ、ほんとだ! 目次、見てませんでした。
実は、私の大学院時代の先輩が同じ号に載っていて、そっちばかり気になっていました。
渡部昇一『知的生活の方法』は読んでますが、「同性愛者云々」は覚えていません。
だったら同性愛者はみな知的生活を送っているかといえば、そうではないわけで・・・。
知的生活に近づいて行こうとしたら、俗世の欲望を(食欲、性欲、出世欲)を抑制するのが近道だと思います。
私の理想は、鴨長明の方丈の生活ですが、まだそこまで離俗できません。

by 三橋順子 (2013-04-28 09:58) 

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