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東京国立博物館「円空展」と上野公園の桜 [お勉強(博物館・美術館)]

3月20日(水)

自由が丘で講義を終えて、東急東横線で中目黒駅へ、向かいのホームの東京メトロ日比谷線に乗り換えて、さらに銀座駅でメトロの銀座線に乗り換えて上野へ。

東京国立博物館で開催中の特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」を見る。
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円空(1632~95年)は江戸時代前期の飛騨国の仏師。
諸国の霊山を巡り、訪れた土地の山林の木を素材にして、生涯で12万体の仏像を彫ったと伝えられる。
丸木を割った時の切断面、節や鑿跡(のみあと)がはっきり残り荒々しいが、素朴な優しさを感じさせる独特の作風。
今回の特別展は、代表作「両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)」を所蔵する岐阜・千光寺(せんこうじ)の円空仏61体を中心に岐阜県高山市所在の100体を展示。
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↑ 両面宿儺坐像(千光寺)
本館1階中央の広い展示室1室だけの展示だが、入るといきなり高さ2m以上の大作が並んでいる。
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↑ 飯山寺(いいざんじ)の金剛神立像 
私の円空仏のイメージは比較的小さな作品だったので、その迫力に驚く。
さらにその迫力に圧倒されたのは、立木にそのまま刻んだという金剛力士像。
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↑ 金剛力士像・吽形(千光寺)
高さ(現状)2mを超える巨像で、造形的にはいろいろ歪んでいるのだが、生々しい不思議な迫力がある。
円空という人は、かなりとんでもない人だったらしく『近世畸人伝』という書物に、立木に梯子を掛けて鉈を振るう姿が描かれている。
創作意欲を刺激されると、生きている木も素材にしてしまったらしい。
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一方、円空の作仏は、よく言えば早彫り、悪く言えば粗雑であることも間違いない。
三十三観音立像など、せっかく彫るのだったら、もうちょっと目鼻をちゃんと…と思わなくもない。
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↑ 三十三観音立像(千光寺)
さらに小品だと、「う~ん」と唸ってしまうものもある。
たとえば、宇賀神像。
宇賀神というのは、頭が翁で身体が蛇という人面蛇身なのだが・・・、そう言われれば、そうかなぁ、という感じ。
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↑ 宇賀神像(千光寺)
最後の方に展示されていた歓喜天も異色だった。
千光寺の秘仏で、本来は7年に1度の開扉とのこと。
このタイプの歓喜天は象頭人身の男女が抱擁し合う形で表されるが、13.5cmの小像ということもあって、表現はじつに簡略。
歓喜天をけっこうたくさん見ている私でもそう言われれば「象頭かなぁ」という感じ。
歓喜天の形を知らない人だと「なんだこれ?」という感じなのではないだろうか。
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まあ、それも含めて円空仏の魅力なのだろう。
私は民芸好きの母の影響で、子供のころに円空仏を知った。
しかし、今まで円空仏をまとめて見る機会はなかったので、今回の展覧会で円空仏の魅力を再認識することができた。
飛騨の千光寺、いつか行ってみたいな。

今日は、袖をまくりたくなるくらいの陽気。
博物館のお庭の桜も満開。
でもこの木は、花の着き方からソメイヨシノではなさそう。
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上野公園の桜はもうこんな感じ。
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祝日とあって、人出も多い。
思いがけず日本の桜に当たった外国人観光客が桜をバックにうれしそうに記念撮影していた。
私たちが以前、10年以上、お花見をしていた大きな桜の木も5分咲き以上。
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もう十分にお花見ができる。
ただ、あまりに早い開花で上野公園はまだお花見の準備が整っていない。
雪洞こそ吊ったが、膨大な量のゴミを収容する大分別ゴミ箱の設置はまだだし、露店もほとんど出ていない。
驚いたのは、濃いピンク色の桜と白い桜がいっしょに咲いていたこと。
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白いのはソメイヨシノだが、ピンク色は早咲きのオオカンザクラ。
オオカンザクラは今、満開。
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早咲きのカンザクラが満開の頃に、ソメイヨシノが5分咲きになるなんて、東京では初めてではないだろうか。
少なくとも私は記憶がない。
桜を眺めながら、山下へ。
仲御徒町駅まで歩いて、メトロの日比谷線に乗る。
(続く)

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真樹猫ちゃん

歓喜天と申すは、天竺のガネーシャとかいう変化のものと聞いておりみゃす。その昔(役の行者の頃)、怪しい変化の一味がガネーシャを拉致してきて以来、この国では怪しいことが絶えみゃせぬ。今も、吉野の山奥ではガネーシャが生息しているとか。
最近の報告では、お館様は仏事に熱心にという話でごにゃいみゃしたが、
円空に習い造仏でもされるのかと思いきや、歓喜天の修法などを・・・?
by 真樹猫ちゃん (2013-04-01 21:29) 

三橋順子

真樹大姉様、いらっしゃいま~せ。
歓喜天の修法は、大姉様に紹介していただいた文覚上人様に教えを受けました。
そう言えば、大姉様が熱心に御信心の「金目教」でも歓喜天は礼拝の対象とか・・・。

by 三橋順子 (2013-04-02 15:33) 

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