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『風俗クラブ』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その4- [性社会史研究(性風俗雑誌)]

1月26日(土) 
 『風俗クラブ』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その4-

1950年代前半(昭和20年代後半)に刊行された『風俗〇〇』という書名の総合性風俗雑誌としては、『風俗草紙』と『風俗科学』が双壁だった。

『風俗草紙』(日本特集出版社)は、1953年(昭和28)7月~1954年(昭和29)10月?に2冊の増刊号を入れて全14冊刊行された。
『風俗科学』(第三文庫)は、1953年(昭和28)8月~1955年(昭和30)3月?に全19冊?刊行されたと推定される。

【参照】
『風俗草紙』の書誌 ―戦後性風俗雑誌の研究:その1―
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19
『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2-
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-2

ところが、もう一誌、同じ頃に『風俗〇〇』という書名の総合性風俗雑誌が刊行されていた。
それは、春光社(文京区湯島三組町)から刊行された『風俗クラブ』である。
表紙には「風俗と文化をむすぶ雑誌」と銘打たれているが、内容は「猟奇(サド・マゾ)」を中心に「アブ(男色、フェチ)」を加えたもので、『風俗草紙』と大差はない。
風俗クラブ2号.JPG
手元にあるのは、昭和29年(1954)5月1日発行の第1巻2号(1954年5月号)。
その編集後記に「本号は発行日遅延のため五月号とし、したがって四月号は休刊になりました」とあるので、昭和29年3月号が第1巻1号(創刊号)と推定される。
ネットで検索したところ、第1巻1号が昭和29年3月号であることが確認できた。

つまり、『風俗クラブ』は、『風俗草紙』より8か月、『風俗科学』よりも9カ月遅れて刊行された三番手の『風俗〇〇』だった。

しかし、現在のところ、第1巻1号と2号の2冊しか確認できていない。
おそらく3号雑誌に届いたか届かなかったか、いずれにしても、短命だった。
この業界、二匹目の泥鰌はいても、三匹目はいなかったようだ。
ということで、整理するほどのこともないのだが…。

【書名】 『風俗クラブ』(ふうぞくくらぶ)
【刊行時期】 1954年(昭和29)3月~1954年(昭和29)5月?
      全2冊?
【出版社】 春光社(文京区湯島三組町10)
【編集兼発行人】秋房酷
【版型】 A5版。表紙は原英夫。
【定価】100円(1巻2号)
【内容】
表紙に「風俗と文化をむすぶ雑誌」と銘打たれているが、内容は「猟奇(サド・マゾ)」を中心に「アブ(男色、フェチ)」を加えたもの。
【主な寄稿者】
角田澄夫、芳賀保、峯秀太郎、佐戸泉、丹阿弥春彦、葛飾八郎、茅野龍三郎、仙波健児、机吾老郎、南条繁夫、近藤恭、鮎川能里子、喜多玲子、木戸頼吉、中川常平、樫村貞司郎、城田大策、永龍一郎ほか
【備考】
第1巻第2号になるはずだった1954年(昭和29)4月号は発行日遅延のため休刊。
5月号が第1巻第2号となる。
風俗クラブ1号.jpg
『風俗クラブ』創刊号(1954年3月号、1巻1号)
(出典)http://www.smpedia.com/index.php?title=%E9%A2%A8%E4%BF%97%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96
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『風俗クラブ』の同性愛、女装・男装関係記事

1号が未調査なので、2号だけだが…、一応、リストアップ。

◎昭和29年(1954)3月創刊号(1巻1号)
内容不明

◎昭和29年(1954)5月号(1巻2号)
「男娼の異常生態調査」(本誌調査部)
「(そどみあ時代小説)修羅衆道」(城田大策)
「男色遍歴―あるソドミアの手記―」(近藤 恭)
「雌になる情鬼」(仙波健児)

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コメント 2

かずみ

何で表紙がカッパなのかが気になります。
by かずみ (2013-01-27 15:01) 

三橋順子

かずみさん、いらっしゃいま~せ。

はい、私もです。
すごく凶悪なカッパですね。
by 三橋順子 (2013-01-27 18:48) 

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